渋谷ユーロライブでの『レストレポ前哨基地』先行プレミア上映会にて、小林よしのり氏
全米公開時に、その圧倒的にリアルな描写で、アカデミー賞をはじめ25もの賞に選ばれた戦場ドキュメンタリーの傑作『レストレポ前哨基地』が、11月28日(土)から渋谷アップリンク他で本邦初劇場公開される。
公開に先駆け、去る25日に先行プレミア上映会が渋谷ユーロライブで開催された。上映後、社会問題に斬り込み、数々の論争を巻き起こしている漫画家の小林よしのり氏と、元防衛研究所所員で多くの紛争地に自ら赴いている「自衛隊を活かす会」呼びかけ人の加藤朗氏、映画監督でありながら現役自衛隊員としてイラク復興人道支援活動の経験のある佐野伸寿氏の3名がゲストに登場し、今作で描かれる戦場の現実と、日本の安全保障について議論を交わした。
かねてから安保法制は「アメリカの戦争に付いていくためだけ」のもので、「日本はアメリカの侵略戦争に巻き込まれてはならない」と主張する小林よしのり氏は、「911後、アメリカが“テロとの戦い”の名の下に、アフガン・イラク戦争に突き進んで行った当時から、わしはアメリカを批判してきたが、この映画はアメリカの失敗を実証していて非常に興味深かった。タリバンも村人も一体になってしまっていて、タリバンを選別してやっつけるのは無理があることが、この映画を観ればよくわかる」と力説。
映画『レストレポ前哨基地 PART.1』より ©GOLDCREST FILMS, OUTPOST FILMS.
また、元・防衛省防衛研究所職員で現在は桜美林大学の国際学研究所所長である加藤朗氏は、長年、中東のゲリラの問題を研究し、数多の紛争地域を訪れた経験から、「この映画を観て、アメリカはベトナムの時から進歩がない、同じ失敗をまたやっていると思った。アメリカは技術信仰があり、兵器で敵を排除できると思っている。だが、ベトコンにしてもタリバンにしても、戦略ではアメリカに勝つ。結局、この映画の舞台であるコレンガル渓谷から、アメリカは撤退せざるを得なかった」と解説した。
渋谷ユーロライブでの『レストレポ前哨基地』先行プレミア上映会にて、右より、小林よしのり氏、加藤朗氏、佐野伸寿氏、浅井隆(アップリンク代表)
二人の意見を受け、映画監督/プロデューサーであり現役自衛官でもある佐野信寿氏は、「戦場をありのままに描いた質の高いドキュメンタリーで楽しめた。私がプロデュースしたカザフスタン映画には、旧ソ連軍でアフガニスタンを経験した人がほとんどの作品に登場するし、アフガンはソ連に色々な影を落とした。この映画を観ていても感じたが、(第一大戦前のイギリス帝国と同様)ソ連はアフガニスタンに攻め込んで崩壊し、2001年の911でアメリカが侵攻してから大国ロシアに戻っていったように、アフガンに介入する国は没落していく」と語った。
なお、公開初日となる28日(土)渋谷アップリンクでは、19:00の回上映後に、日本人で唯一レストレポ基地で従軍取材をした経験がある戦場カメラマンの横田徹氏を迎えてのトークイベントも行われる。
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緊急公開が決定した戦場ドキュメンタリーの監督インタビュー(2015-05-08)
http://www.webdice.jp/dice/detail/4909/
『レストレポ前哨基地 PART.1』
『レストレポ前哨基地 PART.2』
11月28日(土)より、渋谷アップリンクほか全国順次公開
『レストレポ前哨基地 PART.1』
監督:ティム・ヘザリントン、セバスチャン・ユンガー
原題:RESTREPO : one platoon, one valley, one year
2010年/アメリカ/93分
『レストレポ前哨基地 PART.2』
監督:セバスチャン・ユンガー
原題:KORENGAL : this is what war feels like
2014年/アメリカ/84分
【公開初日来場者プレゼント&アフタートーク】
渋谷アップリンクでの初日11月28日(土)[19:00より上映]は、来場者全員に映画B2ポスターをプレゼント。また、ゲストに日本人で唯一、レストレポ基地で従軍取材をした経験がある報道カメラマンの横田徹氏を迎えてアフタートークを開催。文藝春秋社から発売されたばかりの横田氏の新刊『戦場中毒 撮りに行かずにいられない』のサイン会もあり。
詳細は下記より。
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