12月25日より全米で公開されるクエンティン・タランティーノ監督の新作『The Hateful Eight』のために、アメリカ・ボストンの企業が120台の70mmフィルム映写機を調達したことが明らかになった。
『The Hateful Eight』は2012年の『ジャンゴ 繋がれざる者』以来3年ぶりとなるタランティーノ監督の新作で、65mmフィルムで撮影、70mmフィルムで上映されることが既に報じられていた。「ボストン・グローブ」紙によると、今作を全米で配給するワインスタイン・カンパニーは、公開初日に100館で上映するため、ボストンのライト&サウンド社に70mmフィルム映写機の入手を依頼した。ライト&サウンド社は1977年創立、映写機をはじめとするAV機器製造やコンサルティングを行ってきた。
タランティーノ監督は、ロサンゼルスにある35mmフィルム上映専門の老舗映画館「ニュー・ビバリー・シネマ」を2007年に買い取り、自らプログラミングを担当するほどのフィルム愛好家で知られる。ワインスタインの配給部門最高責任者エリック・ロミは「私たちはタランティーノのヴィジョンを実現させるために、絶対にやり遂げることにした」とコメント。ライト&サウンド社は、小さなインディペンデントの映画館やコレクターなど、現在入手困難となっている映写機を求めて全米を奔走し、既に動かなくなった機器の修復に数ヵ月をかけ準備したという。また同社は、劇場ごとに2名の上映技師を配属させるために、計200名のスタッフの訓練と雇用も行っており、その多くは引退したベテラン技師とのこと。ライト&サウンド社の創設者チャピン・カトラーは、「映画という体験を甦らせる、新たな扉を開いていることを感じてほしい」と語っている。
「ボストン・グローブ」紙の記事より
『The Hateful Eight』は、南北戦争から10年後のワイオミングを舞台に、馬車に乗り合わせた2人の賞金稼ぎと囚人を中心にした男女計8人を巡るドラマが描かれる。出演は、サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン。また音楽を『荒野の用心棒』のエンニオ・モリコーネが担当している。
なお、今作はデジタルの上映素材も用意されており、70mmフィルム映写機のない映画館でも上映される。
【Boston Globe】
Big-screen experience of ‘The Hateful Eight' built in Boston(2015.11.17)
https://www.bostonglobe.com/business/2015/11/17/big-screen-blockbuster-built-boston/yKjwEGYsoZtAEiFJXZlEHJ/story.html
『The Hateful Eight』公式サイト:
http://thehatefuleight.com/