▲「学生ハンスト実行委員会」のロゴマーク
安保関連法案制定を阻止するために、現役の大学生たちが8月27日(木)より国会正門前でハンガーストライキを決行することを発表。webDICE編集部は、主催する「学生ハンスト実行委員会」の上智大学2年・井田敬さん(19歳)に電話で話を聞いた。
「安倍政権は今回、民意を無視して強行採決し、安保関連法案を通しました。いざ戦争となれば、殺し殺される関係に置かれてしまいます。この法案を止めるのはもう議会の力ではありません。これに対して僕らは、日常の生活を犠牲にしてでも抗議しなければいけないと思い、ハンストを行うことにしました」
▲電話インタビューに答えた「学生ハンスト実行委員会」井田敬さん(左)、そしてメンバーの元木大介さん(右)
「学生ハンスト実行委員会」は、専修大学の沖縄・辺野古ゼミによる抗議活動の現地報告会などをきっかけに知り合った現役大学生を中心に、11名で構成。ハンガーストライキは井田さんのほか、元木大介さん(専修大学4年)、嶋根健二さん(専修大学4年)、木本将太郎さん(早稲田大学1年)の4人が実行する。
井田さんは今回の行動にあたり、同世代の学生グループSEALDs(シールズ)による安倍政権への抗議活動や、2014年の香港雨傘革命でリーダ格の学生ジョシュア・ウォンさん(当時18歳)が行ったハンガーストライキに勇気づけられたと語る。
「本当に止めたい、と思ったときに限られた条件と選択肢のなかで出てきたのがハンストでした。僕らも生命をかけてやるという覚悟はあるんですが、今回だけではなく、この先にも繋げられるような行動をしていきたいと思っています」
8月13日の声明文発表後の反応については、「思っていた以上に良かったものの、なかには否定的な反応もありましたし、『どうせカンパ目当てだろ』といった誹謗中傷もありました」と明かす。
「安保関連法案に反対している方からも『命を守るために戦争に反対するのに、なぜ命を犠牲にしようとするのか』という声がありました。そうした意見の方も僕らのことを心配してくださっているので、理解していただけるように、これからも説明を続けていきたいと思っています。僕らは、ただ命を犠牲にしようとするのではなく、そのリスクを負ってでも、この法案に反対するんだ、という意思表示をしたいんです」
そして今回のハンガーストライキ実行においては、実行者の健康管理のケアについてもきちんと準備がなされていることを井田さんは強調する。
「実行中は水を欠かさず飲むようにしますし、知り合いのドクターが毎晩体調のチェックをしてくださいます。ドクターの指示に従えない場合は、ハンストを中止する、という決まりも作りました」
ハンガーストライキは8月27日より、30日に開催される10万人規模の国会前抗議行動に合流しつつ、無期限で実施。初日は午後2時より午後8時まで、2日目以降は午前10時から午後7時まで、場所は参議院議員会館前、30日のみ国会正門前で行われる。睡眠をとる関係上、夜間は国会周辺ではなく屋内にてハンガーストライキは継続される。[※8月21日時点の最新情報に修正しました(webDICE編集部)]
「安保関連法案制定を阻止するためにどのように表現したらいいか、意思表示の仕方について、模索しているところです。でも、決してパフォーマンスとしてやりたくないですし、僕らが30代や40代になったときに『国会前でハンストしたな』とか、思い出話のように語ってしまいたくないんです」
【声明文】
安保関連法案制定を阻止し、安倍政権を打倒するための学生ハンスト実行委員会私たち「安保関連法案制定を阻止し、安倍政権を打倒するための学生ハンスト実行委員会」は、安全保障関連法案の審議即時停止と安倍政権退陣を求めて、8月27日より無期限ハンガーストライキを開始することをここに宣言します。
安全保障関連法案(以下、安保法案)は多数の批判と抗議を押し切って7月16日に衆議院を通過し、現在参議院で審議中です。憲法上のいわゆる「60日ルール」を含めても今国会での法案の成立は確実と言われています。
安保法案で法制化される集団的自衛権はアメリカなどの同盟国が主導する軍事行動に日本が直接参加することを許すもので、「戦争法案」としての本質は明らかです。戦後日本はアメリカと日米安保という実質的な軍事同盟を結び、東アジアにおける軍事的緊張関係の一端を担ってきましたが、安保法案の制定がかかる緊張をエスカレートさせる危険は目に見えており、先の大戦への反省を無視した愚かな行為です。またこの法案は国内の多くの憲法学者が指摘するように明白な違憲立法であり、法学上のクーデターというべきものです。まさしく安保法案は世界の民衆を分断し戦争を準備する、本来的に民衆に敵対する法律です。一切の正当性もなく、拒絶する以外にはありません。
では法案成立を阻止し、戦争を止めるために私たちは何をするべきなのでしょうか。
私たちは自らの生活に代えてでも安倍政権の戦争準備を拒否し、世界中のあらゆる戦争に加担することを拒否するという姿勢を直接行動によって示していくべきだと考えます。現在の沖縄・辺野古での反基地運動が、自らの平和を希求すると共に、基地を通じて世界の民衆が殺害されていくことを実力で拒否しているのと同様に。
私たちによるハンガーストライキは、戦争によって犠牲になりうるあらゆる人々と協力し、戦争への動員・協力を共に拒否するよう呼びかける直接行動の一過程です。そのために私たちは生命をかける覚悟でたたかいます。安保法案審議停止・安倍政権退陣に向けて共に行動しましょう!【呼びかけ人】(ハンスト実行者は井田、元木、嶋根、木本の4名)
井田敬(上智大学2年) 元木大介(専修大学4年) 嶋根健二(専修大学4年) 木本将太郎(早稲田大学1年) 安井遼太郎(慶應大学3年) 土田元哉(慶應大学2年) 梶原康生(専修大学3年) 手塚(東京福祉大学) 坂田圭太(立正大学3年) 徳山陽一(都立産技高専5年) 匿名希望(高校2年)
「学生ハンスト実行委員会」公式ブログより(2015-8-13)
http://blogs.yahoo.co.jp/hansutojitsu/55670908.html
「学生ハンスト実行委員会」公式Facebook:
https://www.facebook.com/Hungst.co.jp
「学生ハンスト実行委員会」公式Twitter
https://twitter.com/hansutojitsu
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