6月26日に連邦最高裁判所の判決によりアメリカ全州で同性婚が合法化となったが、Variety誌が『スター・トレック』シリーズのヒカル・スールー役で知られゲイであることを公表している日系アメリカ人二世の俳優ジョージ・タケイ氏(78歳)にインタビューを行っている。
タケイ氏は2005年、68歳のときに同性愛者であることをカミングアウト。2008年にパートナーのブラッド・アルトマン氏と挙式。以降、同性愛者の人権を守る活動を続けている。
タケイ氏はこのインタビューで「俳優という仕事に打ち込んでいたので、長い間同性愛者であることを隠してきた。ティーンの頃、私の憧れは俳優のタブ・ハンターだった。彼はスターだったけれど、ゲイであることを公表してからのキャリアは下り坂になってしまった。彼が私のお手本だったんだ」と、カミングアウトまでの逡巡を語っている。
しかし「カミングアウトしたときは、自分のキャリアを失うのを覚悟していた。でもそれは杞憂だった。『ゲイのジョージ・タケイ』として、それまでよりも多くの仕事の依頼もらうようになったんだよ」と、カミングアウト後の変化について明かしている。
『スター・トレック』のファンの反応については、「ファンは私の性的指向を受け入れてくれた。『スター・トレック』のファン・コミュニティーにはLGBTの人がたくさんいる。それは番組が、自分が社会の一部だと思えない様々な境遇の人々のためのものだったから。『スター・トレック』は〈受け入れること〉についての物語だった。そして、どんな外見でも受け入れる多様性があることが、スターシップ・エンタープライズの強さの秘密なんだ」と、作品のコンセプトがLGBTにオープンなファンを集める理由だと分析している。
「他の『スター・トレック』出演者はあなたがゲイであることを知っていたのか?」という質問には「私から話したことはなかったけれど、撮影中は週末に決まってパーティーがあり、そんな時に他の男優たちは妻や恋人の女性と一緒なのに、私はボーイフレンドを連れていった。だから口には出さないけれど、私がゲイであることを知ってサポートしてくれたんだと思う」と答えている。
彼は自身のカミングアウトの後のLGBTをとりまく大きな変化を賞賛するとともに、「私の父は『アメリカの民主主義は素晴らしいが、同時に誤りを犯しがちだ』と教えてくれた」と、第二次世界大戦中に日系であったことから家族と強制収容所に収容されてしまった子供時代の経験を告白している。
タケイ氏は最後に、「アメリカ建国当時は女性や黒人に権利はなかった。それが現在では、女性も選挙に立候補することができ、議会やホワイトハウスにアフリカ系アメリカ人がいるのが普通になっている。アメリカの歴史は、より多くの人々に平等が広がるまでの物語であり、LGBTの人々が全ての権利を持つアメリカ市民として認識される日までの物語なんだ」と述べている。
【Variety】
George Takei on Same-Sex Marriage, Why ‘Star Trek’ Fans Are Gay Friendly(2015.6.24)
http://variety.com/2015/film/news/george-takei-same-sex-marriage-1201529072/
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http://www.webdice.jp/topics/detail/4767/