アメリカのシンガー・ソングライター、テイラー・スウィフトが、6月30日よりスタートするアップル社の新しい音楽ストリーミング・サービス「Apple Music」で、最新アルバム『1989』の配信を行わないという声明文を6月21日に発表した。
テイラー・スウィフトの声明に先立ち、アップル社のiTunes担当のロバート・コンドリックが「Apple Music」の収益について、レーベル・アーティストに米国内で71.5パーセント、米国外で平均73パーセントを支払うものの、3ヵ月間あるユーザーの無料試用期間中については支払いは行わないと明かしたことが報じられていた。
テイラーはこれに反発し、「進歩的なアップル社が作家やプロデューサー、アーティストに3ヵ月分の収益を支払わないことがショックで残念だった」と書いている。そして、自身の問題ではなく、これから音楽シーンで活動する若いクリエイターのために必要なことだと説明。「幸いなことに『1989』の売上で、私とバンド、スタッフ、ライヴを行うためのマネージングチームをサポートすることができます。しかし、これからデビュー・シングルをリリースするようなキャリアのアーティストやバンド、著作権使用料で借金を賄おうとする若いソングライターたち、そしてアップルのクリエイターのように疲れを知らず取り組む音楽プロデューサーたちには、支払われないのです」
彼女は「これは単なる子供っぽい不満ではありません。アップルをリスペクトするからこそ公式にはなかなか声を上げられない、私のまわりのアーティスト・作家、プロデューサーみんなが同じ気持ちなのです」と、この要望がアップルに作品を提供しようとする人たちの総意であることを強調し、「クリエイターに公平なストリーミングの方式になることを望みます」と綴っている。
そして、「私はアップル社が有料のストリーミング・サービスをスタートさせたことは素晴らしいと思いますが、たとえファンのための無料トライアルのサービスだとしても、アーティストや作家、プロデューサーたちに3ヵ月の無料期間中の収益を支払うことはできるはずです。方針を変えること、この問題が深刻な影響を与える音楽業界の人々の心を変えるのはまだ遅くありません。私たちは無料のiPhoneがほしいわけではありません。どうか私たちに、何の対価もなく音楽を提供させることをやめてください」と声明を締めくくっている。
テイラー・スウィフトは昨年、定額制音楽ストリーミング・サービス「Spotify」からアルバム『1989』を含む全ての作品から引き上げていた。
テイラーによるアップルへ宛てた公開状に対し、6月22日、アップル社の上級副社長エディー・キューがツイートで返信。「アップルは、アーティストにいつもきちんと支払いされるよう対応します。ユーザーの無料トライアル期間中でも、アーティストに対して支払います。テイラー・スウィフトとインディーズ・アーティストのみなさんの言いたいことは分かります」とツイートしている。
▼アップルの上級副社長エディー・キューのツイート
Apple will always make sure that artist are paid #iTunes #AppleMusic
— Eddy Cue (@cue) 2015, 6月 22
#AppleMusic will pay artist for streaming, even during customer’s free trial period
— Eddy Cue (@cue) 2015, 6月 22
We hear you @taylorswift13 and indie artists. Love, Apple
— Eddy Cue (@cue) 2015, 6月 22
【テイラー・スウィフト公式Tumblr】
To Apple, Love Taylor(2015.6.21)
http://taylorswift.tumblr.com/post/122071902085/to-apple-love-taylor
【re/code】
Here’s What Happens to Your $10 After You Pay for a Month of Apple Music(2015.6.15)
http://recode.net/2015/06/15/heres-what-happens-to-your-10-after-you-pay-for-a-month-of-apple-music/
【BBC】
Apple Music changes policy after Taylor Swift stand(2015.6.22)
http://www.bbc.com/news/entertainment-arts-33220189
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Spotifyは音楽家の敵ではないとCEOが声明(2014-11-14)
http://www.webdice.jp/topics/detail/4475/