5月24日(現地時間)まで開催されている第68回カンヌ国際映画祭で、コンペティション部門以外の各賞の受賞結果が発表された。
【ある視点部門】
■グランプリ
グリーア・ハコナーソン監督『Rams(Hrutar)』
■審査員賞
Dalibor Matanic監督『The High Sun(Zvizdan)』
■監督賞
黒沢清監督『岸辺の旅』
■ある視点・才能賞(Un Certain Talent Prize)
コルネリウ・ポルンボユ監督『The Treasure(Comoara)』
■新人賞(Promising Future Prize)
Neeraj Ghaywan監督『Fly Away Solo(Masaan)』
Ida Panahandeh監督『Nahid』
【第54回批評家週間】
■長編部門 ネスプレッソ大賞・グランプリ
サンチアゴ・ミトレ監督『Paulina(La Patota)』
■長編部門 France 4 ・ヴィジョナリー賞
セサル・アウグスト・アセベド監督『Land and Shade(La tierra y la sombra)』
■長編部門 SACD賞
セサル・アウグスト・アセベド監督『Land and Shade(La tierra y la sombra)』
■短編・中編部門 The Sony CineAlta ディスカバリー賞
Fulvio Risuleo監督『Chickenpox(Varicella)』
■短編・中編部門 カナル・プリュス賞
Andrei Cretulescu監督『Ramona』
■Distribution Grant from Foundation Gan
Clement Cogitore監督『The Wakhan Front(Ni le ciel, ni la terre)』
【シネフォンダシヨン部門】
■第1位
Pippa Bianco監督『HARE』
■第2位
Ignacio Juricic Merillan監督『LOCAS PERDIDAS(Lost Queens)』
■第3位
Maria Guskova監督『The Return of Erkin(VOZVRASHENIE ERKINA)』
Ian Garrido Lopez監督『VICTOR XX』
【監督週間】
■長編部門 アート・シネマ・アワード
Ciro Guerra監督『Embrace of the Serpent(El Abrazo de la Serpiente)』
■長編部門 レーベル・エウロパ・シネマズ賞
Deniz Gamze Erguven監督『Mustang』
■長編部門 SACD賞
アルノー・デプレシャン監督『My Golden Days(Trois souvenirs de ma jeunesse)』
■短編部門 Illy賞・最高賞
ファイザル・ブリファ『Rate Me』
■短編部門 スペシャル・メンション
ペーター・チェルカスキー監督『The Exquisite Corpus
【国際映画批評家連盟賞】
■国際映画批評家連盟賞・コンペティション部門
ラズロ・ネメス監督『Son of Saul(Saul fia)』
■国際映画批評家連盟賞・ある視点部門
Neeraj Ghaywan監督『Fly Away Solo(Masaan)』
【エキュメニカル審査員賞】
■エキュメニカル審査員賞
ナンニ・モレッティ監督『My Mother(Mia madre)』
■エキュメニカル・スペシャル・メンション
ステファヌ・ブリゼ監督『The Measure of a Man(La loi du marche)』
ブリランテ・メンドーサ監督『Taklub』
【L’Oeil d’Or】
■L’Oeil d’Or賞
Marcia Tambutti監督『Beyond My Grandfather Allende』
■L’Oeil d’Or賞・スペシャル・メンション
Stig Bjorkman監督『Ingrid Bergman - in Her Own Words(Jag ar Ingrid)
【クィアパルム賞】
■クィアパルム賞
トッド・ヘインズ監督『Carol(原題)』
■クィアパルム賞・スペシャル・メンション
ヨルゴス・ランティモス監督『The Lobster』
【パルムドッグ】
■パルムドッグ
Lucky
ミゲル・ゴメス監督『Arabian Nights(As mil e uma noites)』
■パルムドッグ・審査員賞
ボーダー・コリー犬の父子
ヨルゴス・ランティモス監督『The Lobster』
ある視点部門では、アイスランドのグリーア・ハコナーソン監督の『Rams』がグランプリを獲得、そして日本からは黒沢清監督の『岸辺の旅』が監督賞を受賞した。黒沢監督は2008年『トウキョウソナタ』での同部門審査員賞受賞に続く栄誉となった。
『Rams』はアイスランドの人里離れた渓谷を舞台に、長く仲違いしていたふたりの兄弟が、飼っている羊を救うために和解するという物語。日本ではギャガによる配給が決定している。
『岸辺の旅』は、湯本香樹実が2010年に発表した同名小説を深津絵里と浅野忠信を主演に映画化。3年の失踪後、突然戻ってきた夫から「俺、死んだよ」と告げられた妻が、ふたりで「死んだ夫」が失踪してからお世話になった人々を訪ねる旅に出る、という物語。黒沢監督は授賞式で「ほんとうに驚いています。ささやかな作品のなかからひとつの輝きを審査員の方々が発見してくださったんだと思います。そういうことが起こるのがカンヌ映画祭なんだと感動しています」と喜びを語った。『岸辺の旅』はショウゲート配給で、10月1日よりロードショーが決定している。
ある視点部門に出品されていた河瀬直美監督『あん』、そして監督週間出品の三池崇史監督『極道大戦争』は受賞を逃した。
併催の批評家週間では、アルゼンチンのサンティアゴ・ミトレ監督の『La Patota』が最高賞を受賞、 コロンビアのセサル・アウグスト・アセベド監督『Land and Shade(La tierra y la sombra)』がFrance 4 ・ヴィジョナリー賞とSACD賞の2冠に輝いた。
同じく併催の監督週間では、コロンビアのCiro Guerra監督『Embrace of the Serpent』がアート・シネマ・アワードを、トルコ出身のDeniz Gamze Erguven監督『Mustang』がレーベル・エウロパ・シネマズ賞を、フランスのアルノー・デプレシャン監督『My Golden Days(Trois souvenirs de ma jeunesse)』がSACD賞を受賞した。
学生の作品から選ばれるシネフォンダシヨン部門ではアメリカのPippa Bianco監督『HARE』が1位となった。
国際映画批評家連盟賞には、コンペティション部門からハンガリーのラズロ・ネメス監督『Son of Saul(Saul fia)』、ある視点部門からインドのNeeraj Ghaywan監督『Fly Away Solo(Masaan)』が選ばれた。
独立部門のひとつエキュメニカル審査員賞にはナンニ・モレッティ監督『My Mother(Mia madre)』が受賞。また、新設のドキュメンタリー作品を対象とするL’Oeil d’Orには、チリのMarcia Tambutti監督による『Beyond My Grandfather Allende』が受賞した。
LGBTをテーマにした作品から選ばれるクィアパルムについては、これまでグザヴィエ・ドラン監督『わたしはロランス』(2012年)やマシュー・ワーチャス監督『パレードへようこそ』(2014年)が受賞してきたが、今年はトッド・ヘインズ監督の『Carol(原題)』が受賞となった。『Carol(原題)』はパトリシア・ハイスミス原作の映画化で、ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラを主演に、50年代のニューヨークを舞台に上流階級の夫人とデパートの店員の同性愛を描く作品。日本ではファントム・フィルムによる配給が決定、2016年新春公開予定となっている。
優れた演技の犬に贈られるパルムドッグには、ミゲル・ゴメス監督の3部作6時間の大作『Arabian Nights』出演のマルチプー(マルチーズとトイプードルの交配種)Luckyが選ばれた。
カンヌ国際映画祭公式サイト
http://www.festival-cannes.fr/jp.html
批評家週間公式サイト
http://www.semainedelacritique.com/EN/index.php
監督週間公式サイト
http://www.quinzaine-realisateurs.com/en/