アイルランドで5月22日、同性婚を憲法で認めるための改正の是非を問う世界で初めての国民投票が実施された。現地のニュースメディア「アイリッシュ・インディペンデント」によると、現時点ですべての投票結果は出ていないものの、改正賛成派が62パーセントと反対派38パーセントを大きく上回り、同性婚が合法化される見通しとなった。これにより、アイルランドは世界で20番目の同性婚を認める国、そして憲法で同性婚を認める世界初の国になった。
アイルランド文化に詳しい早稲田大学教授の栩木伸明氏は、アイルランド映画で8月5日にDVDがリリースされる『ダブリンの時計職人』の劇場公開時のトークイベントで、国民の85パーセントがカトリック教徒であるこの国に浸透しているカトリック的価値観が、アイルランド人のイノセントな気質に深く影響を及ぼしていると指摘。男女関係に厳しく、伝統的家族観を重んじていることから、90年代前半まで離婚やコンドームを店頭で販売するのも禁止。そして、1993年まで同性愛も刑罰の対象になっていた。
しかし、2011年に同性カップルに結婚と同等の社会保障や税制を認めるシビル・パートナーシップ制度が施行。その後憲法改正へむけての動きが高まるなか、2015年1月にはレオ・バラッカー保健相が、アイルランドの閣僚として初めて同性愛者であることを公表していた。
現時点で世界で同性婚を認める国は、オランダ、ベルギー、スペイン、カナダ、南アフリカ共和国、スウェーデン、ノルウェー、ポルトガル、アイスランド、アルゼンチン、デンマーク、ウルグアイ、ニュージーランド、フランス、イングランド、ウェールズ、ブラジル、ルクセンブルク、スコットランド、アイルランドの計20ヵ国となった。
※フィンランドは、2014年11同性婚法が成立、2017年3月施行。
※スロベニアは、2015年3月同性婚法が成立。
※ベトナムは、2015年1月婚姻家族法を改訂、同性婚禁止を撤廃したが同性婚カップルへの法的な権利保障はない。
※アメリカ合衆国とメキシコは、地域により同性婚を容認。
【Irish Independent】
Marriage Referendum 2015(2015.5.23)
http://www.independent.ie/irish-news/referendum/
【Irish Independent】
Ireland could be the 20th country to recognise same-sex marriage(2015.5.22)
http://www.independent.ie/irish-news/referendum/ireland-could-be-the-20th-country-to-recognise-samesex-marriage-31242110.html
【ハフィントンポスト】
アイルランド、同性婚を憲法で認めるか 世界初の国民投票を実施へ どんな条文案?(2015.5.22)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/05/22/ireland-lgbt-marriage-referendum_n_7419502.html
(写真:「アイリッシュ・インディペンデント」サイトより)
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映画『ダブリンの時計職人』公開記念、栩木伸明さんが語る「アイルランドのイノセンス」(2014-04-01)
http://www.webdice.jp/dice/detail/4158/
女装とは自由の本質を露呈させる行為― 男装をやめた東大教授、安冨歩さんが語る『わたしはロランス』(2015-04-30)
http://www.webdice.jp/dice/detail/4679/
DVD『ダブリンの時計職人』
2015年8月5日(水)発売
監督:ダラ・バーン
出演:コルム・ミーニイ、コリン・モーガン、ミルカ・アフロス
TCBD-2688
価格:4,104円(税込)
発売元:アップリンク
販売元:TCエンタテインメント
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