アメリカのドキュメンタリー映画監督、アルバート・メイスルズが3月5日、すい臓癌のためニューヨーク・マンハッタンの自宅で亡くなった。享年88歳。
メイスルズ監督は1926年11月26日、ボストン生まれ。1960年、ダイレクト・シネマの最初の映画とされるロバート・デュー監督の『プライマリー』に撮影監督として参加。弟のデイヴィッドとともに、ドキュメンタリー映画の製作会社「メイスルズ・フィルム」を設立し、ビートルズが初めてアメリカツアーを行った際のドキュメンタリー『The Beatles: The First U.S. Visit』(1964年)、1969年のローリング・ストーンズの全米ツアーを収めた『ローリング・ストーンズ・イン・ギミー・シェルター』(1970年)、ジャクリーン・オナシス・ケネディの叔母とその娘の数奇な生活を描く『グレイ・ガーデンズ』(1975年)など、多くの重要なドキュメンタリー作品を手がけた。1987年の弟デイヴィッドの死後は、ひとりで映画製作を続行していた。
メイスルズ監督の作品は、日本ではアップリンクの配給により2011年の監督作『ポール・マッカートニー THE LOVE WE MAKE~9.11からコンサート・フォー・ニューヨーク・シティへの軌跡』、撮影を担当した『ソウル・パワー』(2010年)、『消えたフェルメールを探して』(2008年)『ジプシー・キャラバン』(2008年)などの作品が公開されている。
また、2005年に非営利団体「メイスルズ・ドキュメンタリー・センター」を設立し、ニューヨークのハーレム125丁目で劇場「メイスルズ・シネマ」を運営。フォーラム・ディスカッション付きの特集上映を行い、インディペンデント映画作家と観客の対話の場を設けるほか、レクチャーや朗読、音楽ライヴなど多分野にわたるクリエイティブな企画のために門戸を開いていた。
「メイスルズ・シネマ」の館内(「メイスルズ・シネマ」公式HPより)
2015年は、大陸横断列車エンパイア・ビルダーをテーマにした『In Transit』が4月のトライベッカ映画祭でプレミア上映、そして93歳のインテリア・デザイナー/ファッション・アイコン、アイリス・アプフェルを描く『Iris』が4月29日より公開されることになっている。
■「メイスルズ・フィルム」公式HP
http://mayslesfilms.com/
■「メイスルズ・シネマ」公式HP
http://maysles.org/mdc/
【NEWSWEEK】
Albert Maysles, Iconic Director of ‘Grey Gardens,’ Has Died(2015.3.6)
http://www.newsweek.com/albert-maysles-iconic-director-grey-gardens-has-died-311984