瀬戸桃子監督『PLANET Σ』より © Les Films de l'Arlequin 2014
第65回ベルリン国際映画祭の受賞結果が2月14日に発表され、短編部門で瀬戸桃子監督の『PLANET Σ』が新設されたアウディ賞を受賞した。アウディ賞は、出品された短編の中から、芸術性と革新性を重視し、既に映画界で活躍している監督に贈られる。
瀬戸桃子監督は1980年生まれ。フランスを拠点に映像アーティスト/ドキュメンタリー映像作家として活動を続け、2012年に日本で公開された『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』では助監督と編集を務めている。
瀬戸桃子監督
『PLANET Σ』は、瀬戸監督がこれまで発表してきた『PLANET』シリーズの第3弾。ロッテルダム映画祭、ロカルノ映画祭等で上映された2008年の『PLANET A』、ベルリン映画祭短編部門の正式出品作となった2011年の『PLANET Z』に続くもので、氷に覆われた惑星が海底火山の噴火によって温暖化し生命が復活する様子をスローモーション、タイムラップ写真、接写の技術を使って表現した12分間の作品だ。
瀬戸桃子監督『PLANET Σ』より © Les Films de l'Arlequin 2014
瀬戸監督はwebDICEの電話取材で「びっくりしました!(笑)コマーシャル性よりも、芸術性の高いアバンギャルドな作品に賞を与えたいと審査員の方たちが選んでくださったのは、嬉しかったですね」と受賞の喜びを語った。2011年以来ベルリン映画祭は2度目の参加となるが、会場によっては500人規模の会場が満席となるなど、上映は盛況だったという。ミニマルな自然現象をつぶさに捉え宇宙的なスケールの大きさで描くこの『PLANET』シリーズ、今回は新たな試みとして昆虫を登場させた。受賞した『PLANET Σ』のようなアーティスティックな作品と並行してドキュメンタリー作家としても活躍する瀬戸監督だが「今回のような実験的な作品でも、発見が30パーセント、考えていたことが70パーセントくらいのバランスで、撮影でサプライズがあるところはドキュメンタリーに近いと思います」と自身の映像作家としてのスタンスを明かした。
【ベルリン国際映画祭公式HP】
瀬戸桃子監督『PLANET Σ』
https://www.berlinale.de/en/programm/berlinale_programm/datenblatt.php?film_id=201502265
PRIZES OF THE INTERNATIONAL SHORT FILM JURY
https://www.berlinale.de/en/das_festival/preise_und_juries/preise_internationale_kurzfilmjury/index.html
瀬戸桃子公式HP:http://www.setomomoko.org/
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