アメリカのシンガー・ソングライター、テイラー・スウィフトが、リリース初週にアメリカだけで128万枚を売り上げた最新アルバム『1989』を含む全ての作品を定額制音楽ストリーミング・サービス「Spotify」から引き上げたことについて、「Spotify」のCEOで共同創業者、ダニエル・エク氏が公式の声明文を発表。この声明文「$2 Billion and Counting」の全文邦訳が、音楽ブロガーのジェイ・コウガミ氏が運営する「All Digital Music」にて掲載されている。
この声明文のなかでエク氏は、「テイラー・スウィフトは全くに正しいと思います。音楽はアートであって、アートには本物の価値があります。そしてアーティストはそのために対価を受け取る資格があります」と主張するとともに、「Spotifyはこれまでソングライターとアーティストにロイヤリティを分配するためにレコード会社、音楽出版社、著作権団体に20億ドル(2,300億円)以上を支払ってきました」と明かした。
エク氏は「Spotify」が無料のサービスを多数のユーザーに提供し、興味を持ったユーザーが有料会員となることで収益を得る「フリーミアム」のシステムをとることによりこの20億ドルの支払いが可能になったと説明。「ファンのための無料音楽でアーティストは稼げない」「Spotifyはロイヤリティを支払うが、その額はほんのわずかなので、生活できるほどの収入にならない」「Spotifyはフィジカルとダウンロード両方の売上に悪影響を与える」という3つの言説が誤解であることを説明している。
「私たちは異なるアイデアを提示します。私たちは(無料と有料の)両方を組み合わせた、『フリーミアム』モデルが成長性とマネタイゼーションを実現し、最終的にはファンが愛する音楽にアクセスでき、アーティストには彼らの素晴らしい作品の対価が支払われる新しい音楽の経済モデルを作り出すと信じています。なぜフリーと有料をつなぎあわせたのか?それは、音楽サブスクリプションを売ることで最も難しいことは、いたるところに存在する大量の無料音楽が最大の競争相手だからです」
■【All Digital Music】
SpotifyのCEOダニエル・エク、テイラー・スウィフトの楽曲引き下げや音楽業界の”経済モデル”について声明文を発表【全訳公開】(2014.11.13)
http://jaykogami.com/2014/11/9882.html