英国映画協会(BFI)の発行する映画誌、サイト&サウンド・マガジン(Sight & Sound Magazine)が「歴代ドキュメンタリー映画ベスト50」を発表。340人の評論家、プログラマー、映画監督の投票により同数同位を含む56作が選ばれた。また、アメリカのインディペンデント映画オンライン・オンデマンド・サービス「FANDOR」が、そのなかからベスト30を6分にまとめた動画を公開している。
1位はロシアのジガ・ヴェルトフ監督の『カメラを持った男』。今後日本公開となる作品のなかでは、パトリシオ・グスマン監督が天文学の聖地アタカマ砂漠を舞台に、ピノチェト軍事政権下のチリの歴史を描くドキュメンタリー『光ノスタルジア:祈りの大地、願いの宇宙』(2015年公開)が12位にランクイン。2014年の日本公開作品では、『アクト・オブ・キリング』が19位、『リヴァイアサン』が30位。日本からは、原一男監督の『ゆきゆきて、神軍』が23位となっている。
1位『カメラを持った男』ジガ・ヴェルトフ監督(1929)
2位『ショア』クロード・ランズマン監督(1985)
3位『サン・ソレイユ』クリス・マルケル監督(1982)
4位『夜と霧』アラン・レネ監督(1955)
5位『The Thin Blue Line』エロール・モリス監督(1989)
6位『ある夏の記録』ジャン・ルーシュ&エドガール・モラン監督(1961)
7位『極北の怪異』ロバート・フラハティ監督(1922)
8位『落穂拾い』アニエス・ヴァルダ監督(2000)
9位『ドント・ルック・バック』D・A・ペネベイカー監督(1967)
9位『グレイ・ガーデンズ』アルバート・メイスルズ、デイヴィット・メイスルズ、エレン・ホヴデ、マフィー・メイヤー監督(1975)
11位『哀しみと憐れみ』マルセル・オフュルス監督(1969)
12位『グリズリーマン』ヴェルナー・ヘルツォーク監督(2005)
12位『糧なき土地』ルイス・ブニュエル監督(1933)
12位『光ノスタルジア:祈りの大地、願いの宇宙』パトリシオ・グスマン監督(2010)
15位『オーソン・ウェルズのフェイク』オーソン・ウェルズ監督(1975)
15位『アップ・シリーズ』ポール・アーモンド監督、マイケル・アプテッド監督(1964-)
17位『フープ・ドリームス』スティーブ・ジェームズ監督(1994)
17位『鉄西区』ワン・ビン監督(2002)
19位『アクト・オブ・キリング』ジョシュア・オッペンハイマー&クリスティーヌ・シン監督(2012)
19位『The Battle of Chile』パトリシオ・グスマン監督(1975-78)
19位『あの家は黒い』フォルーグ・ファッロフザード監督(1963)
19位『英国に聞け』ハンフリー・ジェニングス&スチュアート・マカリスター監督(1942)
23位『ゆきゆきて、神軍』原一男監督(1987)
24位『米国ハーラン郡』バーバラ・コップル監督(1976)
24位『ゴダールの映画史』ジャン=リュック・ゴダール監督(1998)
24位『セールスマン』アルバート・メイスルズ、デイヴィット・メイスルズ、シャーロット・ズウェリン監督(1968)
27位『チチカット・フォーリーズ』フレデリック・ワイズマン監督(1967)
28位『キャプチャリング・ザ・フリードマンス』アンドリュー・ジャレッキー監督(2003)
28位『ローリング・ストーンズ・イン・ギミー・シェルター』アルバート・メイスルズ、デイヴィット・メイスルズ、シャーロット・ズウェリン監督(1970)
30位『リヴァイアサン』ルーシァン・キャスティーヌ=テイラー&ベレナ・パラベル監督(2012)
31位『暗闇のレッスン』ワーナー・ヘルツォーク監督(1992)
31位『マルメロの陽光』ビクトル・エリセ監督(1992)
33位『夜間郵便』 ハリー・ワット&バジル・ライト監督(1936)
33位『プライマリー』ロバート・デュー監督(1960)
35位『クラム』テリー・ツワイゴフ監督(1994)
35位『ティモシーのための日記』ハンフリー・ジェニングス監督(1946)
37位『クローズ・アップ』アッバス・キアロスタミ監督(1989)
37位『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白』エロール・モリス監督(2003)
37位『演技する都市 ロサンゼルス』トム・アンダーセン監督(2003)
37位『マン・オン・ワイヤー』ジェームズ・マーシュ監督(2007)
37位『僕は黒人』ジャン・ルーシュ監督(1959)
37位『ジェイソンの肖像』シャーリー・クラーク監督(1967)
37位『ニースについて』ジャン・ヴィゴ監督(1930)
37位『ロジャー&ミー』マイケル・ムーア監督(1989)
37位『獣の血』ジョルジュ・フランジュ監督(1948)
37位『ウォー・ゲーム』ピーター・ワトキンス監督(1965)
47位『カロデン』ピーター・ワトキンス監督(1964)
47位『ウォールデン』ジョナス・メカス監督(1969)
47位『東から』シャンタル・アケルマン監督(1993)
47位『Handsworth Songs』ジョン・アコムフラー監督(1986)
47位『The Hour of the Furnaces』フェルナンド・E・ソラナス&オクタビオ・ヘティノ監督(1968)
47位『四季』アルタヴァスト・ペレシャン監督(1975)
47位『意志の勝利』レニ・リーフェンシュタール監督(1935)
47位『戦場でワルツを』アリ・フォルマン監督(2008)
47位『福祉』フレデリック・ワイズマン監督(1975)
47位『工場の出口』ルイ・リュミエール&オーギュスト・リュミエール監督(1895)
■【BFI】
Critics’ 50 Greatest Documentaries of All Time
http://www.bfi.org.uk/sight-sound-magazine/greatest-docs
■【FANDOR】
The World’s Greatest Docs, All in One Video(2014.10.9)
http://www.fandor.com/keyframe/the-worlds-greatest-docs-all-in-one-video
『光ノスタルジア:祈りの大地、願いの宇宙』
2015年公開
監督:パトリシオ・グスマン
配給:アップリンク
フランス、ドイツ、チリ/2010年/スペイン語・英語/カラー、モノクロ/90分
▼「The Greatest Documentaries of All Time」
▼『光ノスタルジア:祈りの大地、願いの宇宙』予告編