1969年から1970年に製作されるはずだったものの未完成に終わったカルトSF映画『SATURATION 70』の展覧会が、ロンドンのTHE HORSE HOSPITALで9月27日まで開催されている。
THE HORSE HOSPITALのHPによると、「60年代カウンター・カルチャーの『オズの魔法使い』」と称される今作は、カントリー・ロックの元祖グラム・パーソンズ、ママス・アンド・パパスのマイケル・フィリップスといったポピュラー・ミュージック・シーンで影響力を持つアーティストに加え、ブライアン・ジョーンズの当時5歳の息子ジュリアンが出演。グラム・パーソンズとザ・バーズのロジャー・マッギンがオリジナル楽曲とスコアを担当し、『2001年宇宙の旅』参加直後のダグラス・トランブルが製作と特殊効果を担当することになっていた。
今作の脚本と監督を務めるトニー・ファウツは、1967年に脚本をサム・シェパード、主演と音楽をローリング・ストーンズ、特殊効果をダグラス・トランブルが担当する映画『Maxagasm』のプロジェクトに着手。ファウツとトランブルはその準備の際に、ロサンゼルスのジャイアント・ロックでのUFOコンベンション(UFOを呼ぶための集まり)のことを知り、それがエイリアンたちが生態系破壊から地球を救うために地上に降り立つ、という『SATURATION 70』のストーリーの元になったという。
現在日本で公開中のドキュメンタリー『ホドロフスキーのDUNE』で描かれているアレハンドロ・ホドロフスキー版『DUNE』と同じく、『SATURATION 70』は『ブレードランナー』などその後のSF映画の潮流を先取りしたプロジェクトだったが、撮影が途中まで進んでいたものの、資金繰りの失敗により完成まで至らなかった。
構想から40年以上を経て行われる今回のエキシビションでは、脚本の一部や未発表のスチール、撮影シーンを展示。そして唯一現存する映像として、グラム・パーソンズのバンド、フライング・ブリトー・ブラザーズによる「ワイルド・ホーセズ」(ローリング・ストーンズがパーソンズのために捧げた曲)が使われた5分間のショーリールが上映されるとのことだ。
【THE HORSE HOSPITAL】
「SATURATION 70」2014.9.6-9.27
http://www.thehorsehospital.com/now/saturation-70/
【THE GUARDIAN】
Saturation 70: the Gram Parsons UFO film that never flew(2014.9.5)
http://www.theguardian.com/music/2014/sep/05/saturation-70-the-gram-parsons-ufo-film-that-never-flew
[写真:THE HOSE HOSPITAL HPより『SATURATION 70』のスチール]
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映画『ホドロフスキーのDUNE』
渋谷アップリンクほか全国順次公開中
監督:フランク・パヴィッチ
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ミシェル・セドゥー、H.R.ギーガー、クリス・フォス、ニコラス・ウィンディング・レフン
2013年/アメリカ/90分/英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語/カラー/16:9/DCP
配給:アップリンク/パルコ
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/dune/