(写真上)YouTube社のロバート・キンセル氏
一昨日、Google傘下のYouTube社のコンテンツ事業担当部長ロバート・キンセル氏が、かねてより噂されていた新有料サービス(広告なしで音楽が視聴・ダウンロード可能な定額制サービス)について、米ファイナンシャルタイムズのインタビューに応えた。
インタビューの中でキンセル氏は、同サービスを年内にも提供開始するとし、「音楽市場の95%を占めるレーベル(メジャー3社=ソニー、ワーナー、ユニバーサル)とは契約できた」と語り、残り5%のインディレーベルは新サービスから外れることを明らかにした。
これに対し、インディレーベルの楽曲権利会社であるマーリン・ネットワーク社長のチャールズ・カルダス氏は、インディレーベルの市場は音楽業界全体の32.6%を占めているとし、欧州のインディレーベル団体WIN(the Worldwide Independent Network)の代表アリソン・ウェンハム氏は、YouTubeが市場について完全に誤った判断をしていると語っている。
WINのメンバーによると、同種の音楽のストリーミング配信サービスを行なっているSpotifyやRdioやDeezerなどと比べYouTubeの提示条件があまりに悪く、またメジャー3社にだけは、YouTube側から新サービスのアドバンスとして10億ドル(約1千億円)が支払われたという。
あるインディレーベルの代表は、YouTubeが提示した契約内容では、有料サービス開始とともに無料サービスの内容強化がはかられ、SpotifyやDeezerなど月9.99ドルを払っているユーザが減ってしまうことが明らかだったため、契約を拒否したと語っている。
インディーズレーベルへの脅しともいえるYouTubeの強引なやり方に対し、すでにWINは欧州委員会に申し立てをし、米国のA2IM(the American Association of Independent Music)も同様に連邦取引委員会に調査を依頼している。
なお、契約交渉が決裂したインディレーベルのミュージックビデオがどのようにブロックされるかについて、YouTube側が名言していないため、ガーディアン紙は「1.有料サービスだけでなく無料サービスでもブロックされる」「2.ビデオはブロックされずに広告収入が得られないようになる」「3.有料サービスでだけブロックされる」という可能性を推測している。
■6/17付『THE FINANCIAL TIMES』の記事より
YouTube to block indie labels as it launches paid music service
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/ea6728e2-f568-11e3-afd3-00144feabdc0.html?siteedition=intl#axzz34u2T8YFF
■6/18付の『The Guardian』の記事より
Will YouTube really block indie labels if they snub its new music service?
http://www.theguardian.com/technology/2014/jun/18/youtube-indie-labels-music-service