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cinema

2012-08-21 19:19


『ダークナイト ライジング』の核描写, 米でも批判

『ダークナイト ライジング』の核描写, 米でも批判

公開以来、期待値が高かった分、批判も相次いでいるクリストファー・ノーラン監督『ダークナイト ライジング』。特に日本人が観て首をかしげたくなるのが、クライマックスでバットマンが、宿敵ベインが仕掛けた中性子爆弾からゴッサムシティの人々を守るため、市内から6マイル=約10km以上離れた“安全な”海上に投げ、市民が爆発を見守るシーンだ。加害半径が10kmというのだから、いったいどれだけ放射能について無知なのか製作者の見識を疑ってしまう。

しかし、もちろん本国アメリカでも、劇中の卑小化された核の危険性について指摘する声は多数あり、映画編集技師のマイケル・R・ミラー(編集を手がけた主な作品:『レイジング・アリゾナ』『ミラーズ・クロッシング』『ゴースト・ワールド』)が、ニュースサイト“Truthout”に書いた文章もその一つ。ちなみにミラーが自身のブログに書いている骨太な映画記事は、映画関係者や映画ファンからの支持が高い。

8月7日付Truthoutの「ダークナイトのキノコ雲」と題した記事で、ミラーは次のように述べる。
「確かにコミックブックのスーパーヒーローたちは、武器について厳密ではなかった。スーパーマンに熱中していた読者は、石炭をぎゅっと握ればダイヤができると信じていた。(略)ただ、それで子供がバーベキュー用の石炭を触るのと、批判能力の欠如した人間を、水素爆弾をイランに落とせば中東問題を解決できると信じこませるのとはわけが違う」「ごく狭い範囲に限定された核戦争などありえない」「なぜこの映画に関わった俳優やスタッフのうち誰もこの点をつっこまなかったのか」「映画を観に行く人たちは、批判眼を持って作品を鑑賞し、核兵器が安全に爆発することなどありえないと否定する責任がある」。

Truthoutの記事より
http://truth-out.org/opinion/item/10720-the-dark-knight-rises

マイケル・R・ミラーのブログ“filmmaker's diary”
http://filmmakersdiary.blogspot.jp/

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