世界中で人気のベルギーの漫画シリーズで、スティーヴン・スピルバーグも映画化した『タンタンの冒険』のなかのエピソードについて、アフリカ・コンゴ民主共和国出身の男性が出版差し止めを求めていた裁判で、2月10日、ブリュッセルの法廷はその訴えを却下した。
1931年にオリジナル版、1946年に新版が出版され、日本でも『タンタンのコンゴ探検』というタイトルで福音館書店で発刊されているこの物語は、当時ベルギーの植民地だったコンゴ(旧ザイール)をタンタンと相棒である犬のスノーウィが訪れるという内容。今作での黒人住民の描かれ方について、コンゴ国籍の会計士・ムブツ・モンドンド氏が「人種差別をあおっている」と訴えていた。
ベルギーの裁判所は『タンタンのコンゴ探検』出版当初の1931年、そして新版が発刊された1946年に、作者のエルジェが故意に物語を人種的憎悪を扇動することを意図していた証拠はないと、販売停止の訴えを退けた。
なお現在、この作品をはじめとするタンタン・シリーズをエルジェが当時どのような心境で描いていたかを捉えたドキュメンタリー『タンタンと私』が渋谷アップリンクほかで公開されている。
『タンタンと私』公式HP http://www.uplink.co.jp/tintin/
【CBC NEWS】Tintin in the Congo ban tossed by Belgian court(2012.2.13)
http://www.cbc.ca/news/arts/story/2012/02/13/tintin-congo-belgian-court.html