8月31日からスタートしたヴェネチア国際映画祭2011のヴェニス・デイズ(インディペンデント部門)で『スプリング・フィーバー』(2010年)のロウ・イエ監督による最新作『LOVE AND BRUISES(花)』がワールドプレミア上映された。
今作はパリにやってきたばかりの北京出身の女性が、フランス人の肉体労働者と出会い、異なる人種や文化、暴力と優しさ、愛と傷のはざまで揺れ動く様を描く物語。フランス生まれの中国人モデル兼女優コリーヌ・ヤンと、ジャック・オーディアール監督『アンプロフェット』(2009年)のタハール・ラヒムがふたりを演じている。
イエ監督は「中国ではこの映画は上映されないでしょう。自分が知る限り、不可能だと思います」と語っているが、『天安門、恋人たち』(2006年)で政府から言い渡された、5年間の中国国内での表現活動禁止処分の期限が切れたので、本国に戻り映画製作をしたい意向。すでに検閲機関にプロジェクトを提出、返事を待っているところだという。彼の前作『スプリング・フィーバー』はその禁止期間中に撮影を敢行、中国では上映禁止となりながらも2009年カンヌ映画祭で脚本賞を受賞した。
今作はこのあと、9月8日に開幕するトロント国際映画祭の、先鋭的な作品を対象としたヴァンガード・プログラムにて北米プレミアが行われる。
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▼ヴェネチア映画祭会場で登壇するロウ・イエ監督