先ほど警視庁記者クラブの人からメイプルソープ裁判の当事者としてのコメントをということで電話がありました。
現在、ワーナー・ブラザース配給で『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』は六本木のTOHOシネマズだけではR-18指定のレイティングで無修正で上映されています。その他の館ではR-15指定の上映です。
今回、警視庁がその六本木のTOHOシネマズの上映が刑法175条の猥褻物陳列にあたる恐れがあるという事で調査を行いました。
問題は、主人公たちがバンコクのクラブでばか騒ぎして、そこのトランスジェンダーの店員の男性器が3カ所見えたシーンです。
警視庁は東京税関、映倫、ワーナー・ブラザースに調査をした結果、今回は立件を見送りました。
見送った理由は、静止画でもないし、全体はコメディでエロを強調した作品でもないということが理由らしいです。
まず、この作品は税関を通関しているので、税関は猥褻物として認識はしていません。国家が猥褻ではないと認めた作品です。
それを自主規制機関の映倫が審査をし、一番厳しいレイティングであるR-18として公開しているので全く法的には問題ではありません。
警視庁が犯罪として立件を見送ったというのは当たり前と言えるし、もし立件するなら、東京税関も当事者として立件する事になり、東京税関は国の組織なので、警視庁は国を犯罪者として立件する事になります。
立件は見送ったが、警視庁はワーナー・ブラザースにDVD化する際は静止画として見る青少年もいるのでボカシをいれるよう要請しましたが、この要請は法的拘束力を持つものではありません。
ただ、レンタル店などではR-18の作品を一般作と別に陳列するところもあるので、メーカーとしてはパッケージ化する時にはあえて無修正のR-18バージョンを販売するかはビジネスとしては考えるところです。
税関は、最近では男性器に限ってはセックスシーンでなく、バスタブとかのシーンで勃起していなければ通関しています。
新聞記者の人に聞くとメイプルソープ写真集の最高裁判例を鑑みて、警視庁は今回は立件見送りということらしいです。立件しても裁判に持ち込まれたら負けると判断したのでしょう。
『映画からボカシをなくせ』ということで、10年をかけて裁判闘争を行って来たのでその判例が立件見送りに役立ったのだとしたらこれほどうれしいことはありません。
今回の件で、税関、配給サイドが自主規制を行う事が今後ないことを願います。
(浅井隆)
メイプルソープ写真集裁判、最高裁猥褻の基準見直し!映画からボカシがなくなる!?
http://www.webdice.jp/dice/detail/27/