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2009-07-23 23:24


革命的判決!! 賃貸契約の更新料は無効 京都地裁

これは、すごい判決だ!!!!

日本の生活のしにくさの問題は家賃の高さと、敷金、礼金、それに更新料など大家に有利な契約がまかり通っているところ。

当然、大家側は控訴するだろうが、全ての賃貸住宅住まいの人は、判決が出る迄今後更新料を払わないという手を取ればいい。

賃貸住宅の更新料は無効 借り主勝訴の初判断 京都地裁
http://www.asahi.com/housing/news/OSK200907230099.html

キーワード:

家賃 / 大家 / 更新料


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コメント(1)


  • 四宮隆史(弁護士)   2009-07-25 21:33

    画期的な判決ですね。

    これまで、「法定更新の場合は更新料特約は適用されない」という判断を下した判決はありましたが、「消費者契約法に反しているから無効」と断言した判決は初めてでしょう(「法定更新」の意味は末尾をご参照のこと)。そういう意味で、まさに「革命的」な判決と評価できますね。

    ただ、今回の判決が、どういうケースにまで効力が及ぶのか(判決の「射程範囲」などと言ったりしますが)は、判決文を精査してみなければ何とも言えないので注意が必要です。

    例えば、今回の判決で、裁判官は、「更新料が賃料に比べて高額」であることを理由に、「賃借人に著しく不利な特約」だと判断したようですが、そうであれば、例えば、「更新料が賃料1か月分」であったり、「半月分」であったりした場合は、「著しく不利な特約」とはいえないのか・・・?という疑問が残ります。

    また、「更新後の賃借期間にかかわらず更新料を支払わなければならない」ことも、特約無効の理由にあがっているようですが、だとすれば、逆に、更新料2か月分をいったん更新時に徴収はするものの、更新してすぐに転居する場合には日割計算で更新料を返金する、という内容の契約だった場合には無効にはならないのか・・・という疑問も残ります。

    さらに、今回は、いわゆる「敷引特約」も同時に争点になっていて、敷金(保証金)35万円のうち30万円は「絶対返さない」という敷引特約が消費者契約法違反だと判断されています。

    今回のケースの「敷引特約」は、あまりにも合理性がない(そもそも敷金は返還されるのが原則であるはずなのに、35万円のうち30万円もの金額を、最初から返さない前提とするのは、さすがに合理性が見当たらない)ので、この「敷引特約」も含めて、全体的に契約の内容が、「賃貸人に一方的に有利」になっていることも影響しているように思います。

    あと注意すべきは、今回は「更新料特約が消費者契約法に反して無効」となっているので、消費者契約法の適用がない場合(例えば、賃借人が法人の場合や、個人であってもSOHOのようにオフィスとして使用する場合など)は、今回の判決の「射程範囲」外となります。

    以上のとおり、今回の判決が「画期的」であるからこそ、その判決が及ぶ範囲を、ある程度正確に捉えて、慎重な対応をした方が望ましいでしょう。

    しかし、こういった「画期的」な判決が下級審であっても積み重ねられることで議論も活発になるし、法改正にもつながっていくので、良いことですよね。
    法律の趣旨・目的は「賃借人保護」にあるのに、実務上は、賃貸人に一方的に有利な契約になっているケースが多いのは紛れもない事実ですからね。

    (今回の判決と、分野は全く違いますが)著作権法のフェアユースの議論などは、まさに、こういった画期的な判決をベースにして議論をしていく方が、建設的かつ実効力のある法改正につながるはず、と改めて感じた次第です。

    ※ 「法定更新」とは
    建物の賃貸借について期間の定めがある場合、当事者が期間満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます(借地借家法26条1項)。これを「法定更新」と呼びます。
    ちなみに、「法定更新」の場合には更新料特約は適用しない、という判断が何故下されたか、というと、「法定更新」の場合には、賃貸人が「何もしなくても契約が更新される」ので、「契約の更新手続に必要な費用相当分」という性質のある更新料を賃借人が支払う合理性はない、という考え方が可能だからです。