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日程2013年03月04日
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時間19:30
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会場クリエイティブスペース amu
――重要なのは循環(circulation)することなのです。やりたいことを探しうろつくこと、自分とは違う人と出会うこと、そして活動に出会うことが重要なのです。
ジャン・ウリ(精神科医/ラ・ボルト精神病院院長 1924-)
「心」と「社会」は一体である
現代の「心と社会」の状況は複雑化しています。
たとえば、人間関係の解決法として、家族代行業、友人代行業といったサービスが登場しました。この代行業は、個人と社会のさまざまな問題をお金で解決します。そこには孤独な人のメンタルサービスとしての可能性がある一方で、本当の孤独を隠し、本当の解決を遠ざけてしまうかもしれません。
また、うつを始めとする「病い」の形が多様化しています。企業では「病い」で休職する社員を対象に「本当に病気なのか」という検査も始まっています。これが過剰になれば「病い」が管理につながってしまいます。しかし時には「病い」というラベルをはがすことが、本人に改善をもたらすこともありえます。
このような「心と社会」をめぐる状況は困難だと思います。
実は「心」と「社会」は、近代という時代が生み出した言葉です。この2つの概念がつくられて、逆に、本来はつながっていた「心と社会」のつながりがかえって断たれ、そのひずみが今、あらわになっているのです。
新しい人=第3の人を編集する
この講座では、新しい精神医学を押さえながら、現代社会の諸断面を「散歩」します。そして、アートを手がかりに「新しい人間=第3の人」の誕生を考えていきます。「強い人」でも「弱い人」でもない、「第3の人」のあり方です。
そのためにまず、近代に「心」と「社会」、2つの言葉が同時に生まれた背景を説明します。
また、アーティストの大西伸明さんの仕事(http://nobuakionishi.com/)から、私たちが見過ごしているもの=「無意識を編集する方法」を探ります。
2つの視点から、既存の意味にしばられた私たちの「心と社会」をいったん解体して、編集し直します。
嘆くのではなく、編集してみましょう。
与えられたラベルを、ゆるやかに外し、強い人でも弱い人でもない、しなやかな「第3の人」になってみることへの挑戦をします。
「第3の人」は、「心」と「社会」の間を自由に歩き回ることができます。それは、フリーズしてしまった私たちの精神を、再び動かすための散歩でもあります。その感覚がつかめれば、すこしは息がつけるはずです。
精神医療とアートと編集のボーダーをゆっくりスリリングに歩いてみましょう。
現代の精神医療に興味のある方
アートと意識の関係に興味のある方
現代アートの可能性を探りたい方
新しい編集のあり方を考えている方
お気軽にご参加ください。
大西伸明《akaenpitu》2004, Painting on Resin