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終了シリーズ「呪術」à Le Tabou vol.1 帆苅祥太郎

新進気鋭のキュレーター原田裕規氏、そしてアーティスト帆苅祥太郎氏による美術展示。11/14にはトークイベントも!!

  • 日程
    2012年11月05日 ~ 2012年11月27日

  • 時間
    00:00

  • 会場
    Le Tabou

LeTabouにて気鋭のアーティスト帆苅祥太郎ほかり・しょうたろうの作品展示。11/14には関連イベントも開催。

このたびLe Tabouでは、シリーズ企画展「呪術」を開催いたします。

シリーズ第一回目を飾る帆苅祥太郎は、1984年に東京に生まれ、大学で彫刻を学んだのち、ギャラリーやアートフェアでの展示などを中心に活動を行っている気鋭のアーティストです。
近年では、上海のOffice339におけるレジデンスプログラムへの招聘やART TAIPEI 2012への出品、Mercedes-Benz Fashion Week TOKYOにおけるファッションデザイナーとのコラボレーションなど、その活動の幅を海外や他ジャンルにまで広げています。

本シリーズのタイトルとした「呪術」という言葉は、美術において「不純」とされるものを追求していくために名付けました。
とりわけ、近代以降の美術は、ホワイトキューブ=美術館やギャラリーなどの白い壁に囲まれた展示空間を発明することで、ノイズ=視覚以外の諸要素を排除した「純粋なもの」を追い求めてきた経緯を持ちます。

そんな美術にとって最も重要となる「視覚」によって得られる表象には、「視覚表象」と「運動表象」という大きく二通りの分け方があると考えた彫刻家がいました*1。ここで言う「視覚表象」とは、何らかの造形物に対して一定の距離を保った状態で網膜上に映る、純粋に二次元的な全体像のこと。「運動表象」とは、対象の全体を一目では捉えられないほど近付いた場合に、全体を把握するために目を動かす運動行為によって得られる断片的に繋ぎ合わされる像のことを指し示しています。

この運動によって得られる像は、純粋に二次元的な全体像とは対照的に、立体的な印象を持つことになります。その立体的な像は、原則的に対象に近付くことによって得られるものであるが故に、「運動表象」的になればなるほど=対象に近付けば近付くほど、対象の表面そのものへの印象を強めていきます。

対象に近付く運動によって得られる像は、突き詰めれば、純粋視覚の外側に位置付けられます。目前にある像が持つ印象を加速させるために、限界まで像に接近してみましょう。像は立体的な印象からやがて表面そのものが持つ印象を強めていき、最終的には対象とゼロ距離地点まで近付くこと=触れることによって、視覚は機能しなくなり、代わりに触覚によって得られた情報をもとに頭の中で合成される像へと変質します。
この印象が、純粋に視覚のみによって得られる印象と端的に異なる点は、それが豊かな色彩を持たない代わりに豊かな形を持っているということです。

造形美術の世界を注意深く観察すると、作品の色彩があたかも「最初からなかったかのように」特定の印象と結び付かない作品を見つけることができるでしょう。そうした作品が特定の印象を喚起させる雄弁な色彩を持たないわけは、それが「目を閉じた手探りの世界」の印象によって形づくられているからです。

視覚を失った世界で立ち現われてくる像は、明るく照らされた空間でこそ知覚可能な――色彩に代表される――印象には依らず、たとえ全ての光を失った真っ暗な部屋であろうと、目を閉じた状態であろうと知覚可能な――それでもなお音や匂いになることを拒み、ぎりぎりのところで質量を伴った物体であり続ける――「黒い塊」へ変容します。

本展出品作の「黒い太陽」は、まさにそうした「黒い塊」を具現化したような作品です。あくまでその作品の知覚を支えるのは視覚であるものの、作品が与える印象はむしろ、光を失った人が手探りで得る形の印象に近いものです。
「黒い塊」が感じさせる印象は、「近代美術」という視覚のフレームが支えきれなかった「芸術」の持つ重量でもあります。
そこで得られる体験は――純粋に視覚的な体験のみに依存しないからこそ――例えば、音楽の体験に近いものも感じさせます。

しかし、厳密には、その体験は音楽の体験とも異なってきます。「黒い塊」から感じる重量は、音だけにも光だけにも支えることができないように思われるからです。その塊は、音や光をはじめとした諸要素が交ざり合ったところに出現する「真っ黒」な存在として立ち上がります。それは一方で、美術も音楽も含む総合的な「文化」が放つ色彩として、他方では「芸術」が持つ重みとして顕現する――「黒い塊」としか呼びようのない――存在になるのです。

本展の会場は、「黒い太陽」をより黒く、より重く変容させる祭儀場と読み替えることもできるでしょう。そこでは帆苅の作品のみならず、店内のありとあらゆる音や物が「黒い太陽」を「より黒く」「より重く」させる装置としても読み替えられます。またそこにおいて、お客様には、「見るだけ」を強いるのではなく、「触る感覚」や「聴くこと」も含めた、音楽や美術といったフレームを意識させないご鑑賞をお楽しみ頂けるように努めました。
およそ一ヶ月の展覧会会期を通して、普段とは異なったLe Tabouの空間と帆苅作品をお楽しみ頂けましたら幸いです。

企画者:原田裕規(美術家)

*1 アードルフ・フォン・ヒルデブラント(Adolf von Hildebrand、1847-1921) ドイツの彫刻家。
理論家としても知られ、『造形芸術における形の問題』(1893)などを著す。

帆苅祥太郎 ほかり・しょうたろう プロフィール
1984年東京生まれ。アーティスト。 2007年、和光大学表現学部芸術学科卒業。2012年 、Office339(上海)にて滞在製作。

個展
2008年 「Behind the Sun」CASHI、東京

グループ展
2012年 「Art Taipei 2012 」台北
2010年 「Group Show II」CASHI、東京
2009年 「誠実な草」CASHI、東京
2009年 「Emergind Director’s Art Fair ULTRA 002」スパイラル、東京
2009年 「SUPER ART PARTY」PARTY、福島
2008年 「Emergind Director’s Art Fair ULTRA 001」スパイラル、東京
2008年 「100 degrees Fahrenheit vol.0」CASHI、東京
2008年 「101Tokyo 2008」(Contemporary Art Fair) 旧練成中学校、東京

原田裕規 はらだ・ゆうき プロフィール
1989年山口県生まれ。美術家。 現在、武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科在籍中。

個展
2007年 「原田裕規展」新地ギャラリー、広島
2007年 「原田裕規展」Art Space Hap、広島

企画
2012年 「心霊写真」展、22:00画廊、東京
2012年 「ラッセン展」CASHI、東京

グループ展
2011年 「児島ゼミ有志によるオープンゼミ展」武蔵野美術大学、 東京
2006年 「第10回フラッグアート展」神田町通り、岐阜

シリーズ「呪術」à Le Tabou vol.1 帆苅祥太郎
日時: 2012年 11月1日(木)-11月27日(火) 11:00-21:30 ※水曜定休
場所: LeTabou
費用: 無料

関連イヴェント:「触れる音、聴こえる形」
今回の展示作家、帆苅祥太郎さん、聞き手として企画者の原田裕規さんをお迎えしてのトークと合わせて、
当店スタッフが帆苅氏の作品からインスピレーションを受け選んだディスクを数枚ご紹介いたします。
美術作品との素敵なコラボレーションをした店内にて、ムジーク(musikelectronic geithain)を使用した透明感あふれる音を堪能し、感覚に訴えることのできる時を是非お楽しみいただけたらと思っております。

日時: 2012年 11月14日(水) 18:30開場 19:00開演
場所: LeTabou ≫アクセス
費用: 無料
定員: 15名(要予約)

ご予約について
本ワークショップは予約制となります。
参加人数、参加者のお名前を全て記載の上info@letabou.jpまでメールにてご予約いただくか、
03-6206-4322までお電話で参加希望の旨をお伝え下さい。 定員に達し次第、募集は終了させていただきます。

キーワード:

アート / ECM / クラシック / 呪術 / 展示 / 彫刻


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