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投稿者:20202


11月

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12月

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終了古屋俊彦個展 "非周期的結晶" Toshihiko FURUYA solo exhibition“aperiodic crystals"

  • 日程
    2011年11月24日 ~ 2011年12月24日

  • 時間
    15:00

  • 会場
    代々木八幡/代々木公園

古屋俊彦個展 "非周期的結晶"
Toshihiko FURUYA solo exhibition“aperiodic crystals"
会期:2011年11月24日(木)-12月24日(土)
時間:15:00〜19:00 *イベント時〜22:00
休廊日:日・水 休廊
入場:ドリンクオーダー(300円〜)
会場:20202(ツーオーツーオーツー)
   渋谷区富ヶ谷1-14-20 森林ハイツ202
   03-3465-5065
   http://www.shinrin20202.jp/

非周期的結晶
 煉瓦は非常に古くから使われている建築材料である。煉瓦が紀元前四千年期のメソポ
タミアで文字とほぼ同時期に生まれたことは偶然ではないだろう。煉瓦積みの自由度は
文字の自由度に似ている。しかし、煉瓦積みは構造上の必要性から常に周期的配列の形
を取った。一旦積まれた煉瓦は固定した配列を非常に長い時間保つ。もしも、構造上の
必要性がない部分で、非周期的配列が作られていたならば、それは人為的な構築物とし
ては画期的なものになったはずだが、周期的配列の反復は過剰に徹底していた。文字は、
数を数えるために作られた粘土による幾何学的立体造形の小片を粘土板上に押しつけ、
その小片の輪郭線をなぞることで生まれたが、数を表す反復的な書き込みの本体は周期
的配列から脱却していたとは言えない。文字が非周期性を得るのは、後に粘土板の枠線
に記号を詰めていくときに、枠線そのものが引き延ばされることによって記号が線的な
連鎖の形を取るようになってからである。この線的な連鎖の形は、従って文字記号の内
部的な要因から得られたのではない。外から与えられた粘土板全体の輪郭線とその中に
先に書き込まれた枠線が一方的に記号を連鎖させ、それによって非周期性が可能になり、
実際にそれが実現したのであるから、同じことが煉瓦積みでも可能だったと考えること
はできるだろう。粘土板上の書き込みよりも、煉瓦積みの方が、文字の本来の姿に近い
のだ。もしも、数を数えるための粘土小片が小さな煉瓦の形を取り、枠の中に納められ
るようになったならば、平面上の書き込みとしての文字よりも本物の文字が作られたこ
とになる。なぜならば、文字は本来は線によってのみ成り立つのであり、線は立体造形
であり、亀裂である。立体造形物の隣接による亀裂が固定したものとして十分に長く存
続するならば、本来の形ではないものに写されてかろうじて存続を許された粘土板より
も確実なものになっただろう。従って、非周期的な煉瓦積みは、この五千年間の文字と
呼ばれてきた文字の仮の姿を本来の姿に取り戻すものになるだろう。
 そこで、今回の実験だが、枠線に沿って常に自由度を保ったまま煉瓦を詰めていき、
非周期性が輪郭線の中で隙間なく完結できる条件を探ることにある。煉瓦を隙間なく敷
き詰めることができる場合とできない場合、途中までは確実にできるが最後にできない
とわかる場合もある。途中までは必ずできる以上、再試行によってほとんどの場合は完
結できるのだが、どのくらいやり直せばよいかはそれ以前の敷き詰め方によってある程
度は決まるようでもある。少しづつ遡ってやり直せばよいが、いくらやっても絶対にで
きない形がある。その中で最も極端な場合には、すべての配置が同じになる。直線によ
る枠内に納める場合、線に沿って並ぶ記号には大きな自由度があり、特に周期性からは
ほぼ完全に解放される。このようにして煉瓦による非周期的結晶は比較的簡単に作れる
ことがわかった。しかし、この五千年間、我々は煉瓦による非周期的結晶を作って来な
かったのだ。それがなぜだったのかは、それこそ謎ということになるだろう。非周期的
結晶はことによると一般的には認識できないものなのかもしれない。そして、このこと
が今回の実験の現場で確認できるかもしれない。

古屋俊彦連続トークイベント
12/3(土)第1回「偶然性と固定性」
open : 19:00 start:19:30
charge : 1000円
ゲスト: 佐藤実 m/s

12/10(土)第2回「古代芸術と実験芸術」
open : 19:00 start:19:30
charge : 1000円
ゲスト: 駒形克哉

12/17(土)第3回「方法とその生産物」
open : 19:00 start:19:30
charge : 1000円
ゲスト: 中ザワヒデキ

プロフィール
古屋俊彦(ふるや としひこ)
神奈川県横浜市生まれ
千葉県松戸市在住
法政大学大学院人文科学研究科哲学専攻修士課程修了
美術出版社第十一回評論募集入選
明治大学兼任講師
法政大学兼任講師

2005年  「筆跡と光跡」(川崎市市民ミュージアム、川崎) 出展
2001年  「偶然の振れ幅」(川崎市市民ミュージアム、川崎) 出展
2000年  「文字と音響との交換に於ける回帰的な伝達の遅れ」
     (川崎市市民ミュージアム、川崎) 個展
1999年  「チバ・アート・フラッシュ 99 世紀の黎明」
     (千葉市民ギャラリー稲毛、千葉) 出展
1998年  「古屋俊彦 連鎖構造の決定をめぐるギャンブルのルール」
     (宮城県美術館、仙台) 講演、公開制作、個展
1997年  「第2回東京調査団展 記号の重量」(和敬塾本館、東京) 企画、出展
1996年  「ソニックパーセプション 4」(川崎市市民ミュージアム、川崎) 出展
1995年  「MinMプロジェクト」(アートフォーラム谷中、東京) 出展
     「第1回東京調査団展 物語の鍵」(和敬塾本館、東京) 企画、出展
     「コトバをめぐる三つの相 -ニールトン・クラーク,古屋俊彦,劉旭光-」
     (川口現代美術館、川口) 出展
     「第2回桐生有鄰調査団展 緩やかな螺旋」(有鄰館、桐生) 企画、出展
1994年  「新宿少年アート」(歌舞伎町界隈、新宿) 出展
     「第1回桐生有鄰調査団展 静かな時間」(有鄰館、桐生) 企画、出展
     「いずみわくプロジェクト 学校美術館構想展」(和泉中学校、東京) 出展
1993年  「00-コラボレーション -詩と美術-」(佐賀町エキジビット・スペース、東京) 
      共同企画、出展
     「第2回国際サウンド・カルチャー・フェスティヴァル−有鄰館の音響−展
     (有鄰館、桐生) 出展

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