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日程2011年08月23日 ~ 2011年09月23日
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時間12:00
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会場photographers' gallery 東京都新宿区新宿2-16-11-401
大友真志写真展「GRACE ISLANDS─南大東島、北大東島」
2011年8月23日(火)-9月30日(金)
12:00-20:00 月曜休
会場/photographers' gallery
展示内容:ゼラチンシルバープリント 約20点
[関連イベント]
◎写真集刊行記念トークイベント「孤島へ」
2011年9月10日(土) 19:00~
仲里効(批評家)×倉石信乃(写真史)×大友真志
会場/photographers' gallery
※詳細は追ってホームページにてお知らせいたします。
本展『GRACE ISLANDS─南大東島、北大東島』は、北海道出身の写真家・大友真志が沖縄県に属する小さな島、南・北大東島を取材し、構成されます。沖縄本島から東へ約360kmの沖合に位置する、かつて無人島だった島は、1900年に八丈島出身の実業家・玉置半右衛門によって開拓が着手され、サトウキビの単一栽培が行われていることから「シュガーアイランド」とよばれることもあります。大友は近年、自身が生まれ育った北海道の風景や、北広島市に住む家族のポートレートを継続的に制作・発表してきました。北海道と同じく、大東島が明治期に「開拓された」歴史を持っていることを契機とし、大友は大東島を訪れ、通うことになります。実際に島を訪れた大友は、「開拓されてからまだ歴史の浅い大東島の風景は、人の気配がわずかに感じられる程度で、原野の面影が残る北海道郊外の風景に似ていた」と語っています。
池、草むら、林、石、隆起珊瑚の岩などの自然を捉えた中に、サトウキビ畑、製糖工場、貯水池、ポンプ、ホース、給水塔、墓地、ガードレール、電柱などが、大東島特有の植物とともにあまり目立つことなく写されています。一見、主題とよべるようなものは判然としませんが、しかし、何もとりこぼすものがないように入念に写し取られた写真からは、ゆるやかにこの島の風景の全体が立ち現れるようです。
おそらく大友の風景写真の性格を特徴的なものにしているのは、主題や被写体と呼びうるものからの遠ざかりと、風景を「そこ」に停留させておくことへの意志なのだ。だからその風景との対峙はいつも、「写す」というよりも写り込んでしまうものを再び注視することによって成り立っている。風景とは、ついに特定の要素への集中的な関心に還元しては見失ってしまう「全体」のことだと、大友の写真は伝えている。(倉石信乃「島の明け」、大友真志写真集『GRACE ISLANDS』テキストより)