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日程2008年11月06日 ~ 2008年11月10日
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時間00:00
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会場笹塚ファクトリー
[地図を表示]──現代かもしれないどこか海に近い町。
もしくは発達する気も失せてしまった海辺の田舎町。
その土地には風変わりな風習があった。
それは、死者の弔い方にある。圧葬(あっそう)と呼ばれるその土地特有のモノである。
その地方に伝わる土葬の一種で、遺体の肉を遺族の手により潰し、田畑にばらまき、
その土地に染み込ませ永劫見守って欲しいという願いを込められたものだったと言う……。
遺体を遺族の手により潰す、その痛みを遺族は決して忘れてはならない。
一方残った遺体の皮は集落毎に倉庫があり、年に一度行われる収穫祭の時にその皮に土を入れ、
案山子として掲げ、復活祭的目的として使用される。
しかしその「圧葬」はあまりに遺族には酷な為、直接手を下すことのないよう、
専門の作業員が「圧葬」を担うことになる。
彼らは「組」を作り、進んで酷な作業に取り組んだ。
「土地神がまた増える」と信じて。
彼らは人一倍真面目なのだ。
やがてその希少な職業は「野蛮」とされ、数少ない「世襲制」となった。
判別しやすいように、名前も名字の一部に「人偏」に「獣」の字をあてがった。
こうして彼らは「圧葬」のみに従事するという鎖につながれたわけだが、
遺体を潰す行為自体が問題視され「圧葬」の風習は禁止された……。
彼らは途端に無用となった。
埋葬法自体が野蛮ということで禁忌の風習とされただけだったが、
真面目な彼らは、自分たちを汚らわしく思ったに違いない。