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5月

07

終了『フィルムメーカーズ 個人映画のつくり方』刊行記念 松本俊夫×吉増剛造 トークイベント

日本を代表する映画作家と詩人による、豪華な映像とトークによる饗宴!

  • 日程
    2011年05月07日

  • 時間
    13:00

  • 会場
    青山ブックセンター

海外個人映画の第一人者たちによる文章の翻訳、日本の個人・実験映画作家たちへのインタビューを通し、創作の方法論や過程などの「秘訣」に迫る『フィルムメーカーズ 個人映画のつくり方』。
その刊行を記念し、数々の実験映画と『薔薇の葬列』『ドグラ・マグラ』などで知られる劇映画監督・松本俊夫氏と、現代詩のトップランナー・吉増剛造氏によるトークイベントを開催。当日は、両氏の短編作品上映も。

日時:2011年5月07日(土)13:00~15:00(開場12:30~)
料金:1000円
会場:本店内・カルチャーサロン青山
定員:120名様
参加方法:以下の2通りの方法からお申し込み頂けます。
・オンラインストアにて受付いたします。
・開催店舗にて受付いたします。
※入場チケットは、イベント当日受付にてお渡しします。
※当日の入場は、先着順・自由席となります。
※電話予約は行っておりません。

▼詳細・お問い合わせ
http://www.aoyamabc.co.jp/event/moviemakers/
青山ブックセンター本店03-5485-5511(受付時間10:00~22:00)

●プロフィール
松本俊夫(まつもと・としお)
実験映画の第一人者であり、日本屈指の映画理論家。一九三二年に愛知県名古屋市生まれ。
東京大学文学部美学美術史学科を卒業後、新理研映画においてPR映画を手がけ、『銀輪』(55)を演出。実験工房の北代省三、山口勝弘らと脚本を練り、特殊撮影に円谷英二、音楽に武満徹を迎えたそのコラボレーションは、日本最初のカラーによる実験映画となった。
記録映画『潜凾』(56)にて映画監督としてデビュー。六〇年代に手がけた『西陣』(61)、『石の詩』(63)、『母たち』(67)の一連のシネポエム作品は、アヴァンギャルドとドキュメンタリーが相克する作風として世界的な評価を得て、『西陣』『母たち』は共にヴェネチア国際記録映画祭サン・マルコ金獅子賞を受賞した。六〇年代から九〇年代にかけて、日本における実験映像の先駆者として『白い長い線の記録』(60)から『エングラム(記憶痕跡)』(87)へと至る実験映画を作り、また『メタスタシス(新陳代謝)』(71)から『ディシミュレーション(偽装)』(92)へと至るビデオアート作品を次々に発表し、国内ではいち早くインターメディアや映像インスタレーションを手がけた。
一方、これまでに『薔薇の葬列』(69)、『修羅』(71)、『十六歳の戦争』(74)、『ドグラ・マグラ』(88)の四本の実験的な劇映画を発表。同時に「記録映画」「映画批評」などの映画雑誌において批評と独自の映画理論を展開し、「映像の発見」(63)、「表現の世界」(67)、「映画の変革」(72)として纏められた評論集は、劇映画、ドキュメンタリー、前衛・実験映画を「映像」という観点から横断的に論じる思想書として不朽の名著となっている。


吉増剛造(よします・ごうぞう)
1939年生まれ、詩人。
現代詩の書き手として、長年にわたり詩壇をリードしてきた吉増剛造。それと同時に、吉増剛造は第一線で活躍する音楽家、舞踏家、映像作家、写真家らと共に朗読を中心とするパフォーマンスを続けてきた。また、多重露光による独自の写真世界を構築しており、写真家としての側面も注目を集めている。
二〇〇六年七月からは小型ビデオカメラを手に持ち、個人的な映画の試みを開始。それはgozoCinéと呼ばれるようになり、ブラジル、熊野、アメリカ、奄美群島、東北などを経巡った撮影の旅が、一九本の短編映画として記録された。二〇〇九年には、それらをまとめた『gozoCiné キセキDVD+BOOK』を刊行。それ以降もgozoCinéの撮影を続けており、それらは時に講演やトークのなかで上映され、また朗読パフォーマンスのプログラムのなかにgozoCinéの上映が組み込まれるなど、個人映画の上映形態としても非常にユニークである。
撮影者本人が文学者や芸術家に所縁のある土地を訪ねながら、詩の朗読や即興的に喚起された言葉を語るという行為をビデオカメラの前で行なう。さらに撮影をしながら身体パフォーマンスを演じ、時にはサヌカイトや宝貝といった物体を楽器として演奏しながら、小型のテープデッキを使ってサウンドトラックを重ねる。それらすべてを撮影者である吉増剛造が即興的なライヴとして行なうところに、個人映画の或る究極の形が示されている。同時に、吉増詩のキーワードである「歩行」という行為がビデオカメラとの出会いによって、はじめて音像化された形で記録されるようになったという点も重要である。

金子遊(かねこ・ゆう)
1974 年、埼玉県生まれ。映像作家・脚本家。大学在学中に制作した16 ミリ映画『わが埋葬』でメディアウェイブ・フェスティバル(ハンガリー)正式出品。2008 年『ぬばたまの宇宙の闇に』で、奈良前衛映画祭NAC 賞(最優秀作品)受賞。09年に「批評の奪還 松田政男論」で映画芸術評論賞・佳作受賞。劇場公開作品にドキュメンタリー映画『ベオグラード1999』がある。

●書籍紹介
映画はいまや、企画から取材、撮影、編集、仕上げまで、たった一人の手で作ることができます。高品質の家庭用ビデオカメラとパソコンを使った、アマチュアによる個人映画・映像作品が多数生み出されています。その中で、芸術表現として認められるような個人・実験映画をつくる作家たちは、独自の技法を試行錯誤しながら、作品をつくり、発表しています。本書では、現在活躍中の日本人作家10 名を中心に個人映画のつくり方を紹介します。
A5判/上製本/340 頁/定価2,625 円(税込)/2011 年4月初刊行予定

内容紹介
フィルムメーカーズ 個人映画のつくり方』は、前衛・実験映画の形成期から現代へといたるまで活躍し続けている国内外の映像作家たちに取材し、その創作の秘密を「作家が同じ作り手へむけて発した言葉」によって構成する画期的な書物である。
目を引くのは、第一章に収録されたスタン・ブラッケージ、マヤ・デレン、ジョナス・メカス、クリス・マルケルらの文章やインタビューの翻訳である。
彼らは商業映画とは一線を画する境域で、映像アートの世界を切り拓いてきた個人映画のパイオニアであった。本書によれば、個人映画とは「個人が絵画や彫刻を制作し、詩や俳句や短歌を書くように、映像によって表現された作品」とのこと。
ポロックの抽象表現を内在化したブラッケージのハンドペインティング映画、身体パフォーマンスと夢の無意識を映像に定着したマヤ・デレンのシュルレアリスム映画、ウォーホルやジョン・レノン、オノ・ヨーコら同時代の芸術家を記録し続けたメカスの日記映画、動画から切りだしたストップモーション写真で映画を構成した『ラ・ジュテ』のクリス・マルケル。彼ら個人映画の作家たちが何を考え、どのように表現技法を磨いてきたのか、豊富な証言が時代の息づきと共に開示されている。日本語では本書でしか読むことのできない、貴重なテクストばかりである。
それにも増して『フィルムメーカーズ』が新マストアイテムとしての価値を持つのは、第二章の日本を代表する実験映像作家へのインタビューによってである。
松本俊夫、かわなかのぶひろ、飯村隆彦、金井勝、鈴木志郎康、吉増剛造、出光真子、伊藤高志、原將人、石田尚志のインタビューでは、その代表作の創作過程と方法論が詳述されている。とくに松本俊夫が処女作『銀輪』を撮ったときの実験工房、武満徹、円谷英二とのコラボについてこれだけ詳しく語っている文章は類がない。また、伊藤高志が『SPACY』の写真アニメーションの技法、『THUNDER』や『GHOST』でのバルブ撮影の方法をすべて明らかにしてしまっている。
これはあらゆる映像作家に必携のマニュアルだと言えよう。さらに巻末には黒坂圭太、岩本憲児、上野昂志、西村智弘、クリストフ・シャルル、越後谷卓司、水由章、阪本裕文、岡村恵子ら豪華執筆陣による作家論を一挙に掲載。ビデオカメラの高品質化とノンリニア編集の普及によって「映画」と「映像」の垣根が完全に取り払われた現在、映像作家として生き残るために必要なすべての知がこの一冊には詰まっている。

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