-
日程2019年06月15日 ~ 2019年07月15日
-
時間12:00
-
会場アキバタマビ21 東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 201・202
【展覧会コンセプト】
与太話は、単なるつまらない、意味のない話なのだろうか? この展覧会は、与太話というものの、土着的な本来の意義を模索し、現代社会の喪失という壁をすり抜け、詩的な無意識を炙り出し、所謂、十把一絡げな心象に水を差そうというものである。
「転回する与太話」の空間を共に構成する4名の作家は、およそ、同じような人間とは言えない。お互いがお互いをはみ出している。おそらく、彼らの呼吸のテンポは違うし、足並みを揃えようにもその一挙動一挙動の出自もままならない。そんな因果の果てにこの展覧会は存在し、そしてさらに言えば、その果てすらも、見ることが能わぬかもしれない有り様だ。だがそれは言うなれば、物語の果てをうやむやにし、“粋”をちらつかせ、人々の想定する意味づけをご破算にするという、まさしく、与太話の様だとも言える。作家たちが起こす現象は空間を共有し、作用しあい、お互いを変転させる。あげく、意味性は浮遊し、鑑賞者のそれぞれの心に、ミョ〜な居心地で着地する。きっと溌溂な気持ちでは帰路につけないだろう。首を傾げながら「なるほどなあ、、?」と、此れという言葉を探しあぐねるかもしれない。そんなヒリヒリとした天秤を揺らしながら、「転回する与太話」は人々の間を行き交う。
愚者と賢者は紙一重。愚か者として扱われる“与太者”が、日常を揺るがす様を、常識を変転させるその振る舞いを、4名の作家は検証し、是非のうかがえない物語を紡ぐのだ。
【出品者 略歴】
○山縣 俊介 YAMAGATA Shunsuke
1984年岡山県生まれ。2019年多摩美術大学大学院美術研究科博士前期(修士)課程修了。民族音楽とそれに伴う儀式、儀礼についての研究をしつつ、その分野を自らの美術表現に反映させながら作家活動をしており、展覧会などでの絵画作品の発表と共に、独自の仕組みで構築された「儀式のパフォーマンス」を年に2回行う。古代の儀式様式の中に垣間見える人間の根源的な表現を探ることで、時間や空間を気にしない現象をアウトプットする。
○倪力 Ni-Li
1994年上海生まれ。2019年多摩美術大学大学院美術研究科博士前期(修士)課程修了。現代インターネットに存在するメディア画像を素材とし、画像における社会の現代性に対する考えを持ちながら、社会という場と、そこにいる自分自身の存在を模索する。
○井上 瑞貴 INOUE Mizuki
1992年熊本県生まれ。
2019年多摩美術大学大学院美術研究科博士前期(修士)課程修了。
・自分の感覚から乖離してしまわぬよう、嘘を持った感覚での羅列を避けること。
・ノンフィクションのリアリティから飛躍させられる妄想力を持つこと。
・意味と表現は完全に同一には成れないことを理解すること。
○渡邉 洵 WATANABE Makoto
1994年福島県生まれ。2019年多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。僕は、「使用される身体」から新しい実在を探る。その身体が現れる場所は、科学や歴史、神話などの、いくつもの主体からつくりだされる。また、僕は踊ることで、いくつかの主体に対して身体を明け渡し、身体を使用させようとする。その場合身体は、呼び寄せた主体と主体の闘争の場として開かれる。これは祭りなのだろうか。
【展覧会詳細】
「転回する与太話」
2019年6月15日(土)〜7月21日(日)
12:00~19:00(金・土は20:00 まで)
火曜日休場
【イベント】
●オープニングパーティ
6月15日(土)18:00〜
●トークイベント
6月22日(土)18:00〜19:30
ゲスト:村山悟郎(美術作家)
6月29日(土)18:00〜19:30
ゲスト:中村 寛(多摩美術大学准教授)
[ゲストプロフィール]
村山悟郎(むらやま・ごろう)
1983年、東京生まれ。アーティスト。博士(美術)。
東京芸術大学油画専攻/武蔵野美術大学油絵学科にて非常勤講師。東洋大学国際哲学研究センター客員研究員。自己組織的なプロセスやパターンを、絵画やドローイングをとおして表現している。
2010年、チェルシーカレッジ MA ファインアートコース(交換留学)。2015年、東京芸術大学美術研究科博士後期課程美術専攻油画(壁画)研究領域修了。2015-17年、文化庁新進芸術家海外研修員としてウィーンにて滞在制作(ウィーン大学間文化哲学研究室客員研究員)。
主な展覧会に、「瀬戸内国際芸術祭」男木島浜口邸、香川(2019)、「21st Domani 明日展」国立新美術館(2019)、「The museum of plastic nation」AISHONANZUKA、香港(2018)、「Emergence of Order」大和日英ジャパンハウス、ロンドン(2018)、個展「座って見るために、画像を解除する」G/P Gallery(2017)、個展「シミュレーショナル・ポイエーシス」Spektakel、ウィーン(2016)、個展「監獄のファンタジー」小金井アートスポット シャトー2F(2015)、「東京芸術大学 大学院美術研究科 博士審査展」東京芸術大学美術館(2014)、「生成のヴィジュアル−触発のつらなり」Takuro Someya Contemporary Art, Kashiwa(2013)、「VOCA展 2013 現代美術の展望─新しい平面の作家たち」上野の森美術館(2013)、個展「成層圏 vol.6 私のゆくえ 村山悟郎」ギャラリーαM(2012)、「TRANS COMPLEX−情報技術時代の絵画」京都芸術センター(2012)、個展「第4回shiseido art egg ・絵画的主体の再魔術化」資生堂ギャラリー(2010)、「MOTコレクション・MOTで見る夢」東京都現代美術館(2009)などがある。
http://goromurayama.com/
中村寛(なかむら・ゆたか)
専門は文化人類学。アメリカと日本とを当面のフィールドとして、「周縁」における暴力、社会的痛苦、差別と同化のメカニズム、反暴力の試みや芸術・文化運動、ソーシャル・デザインなどのテーマに取り組んでいる。
著書に『残響のハーレム――ストリートに生きるムスリムたちの声』(共和国、2015年)。編著に『芸術の授業――Behind Creativity』(弘文堂、2016年)、『Lost and Found』(人間学工房、vol.1~4、2013?2017年)。主要論文に「芸術と呪術とカルト教団――森達也『A』をめぐる寓話的手紙」(『国立新美術館研究紀要』No.3、2016年)、「芸術と自殺と大量処刑――寓話的手紙」(『国立新美術館研究紀要』vol.5、2018年)、「アーカイヴへの不満――アフリカ系アメリカ人におけるアイデンティティをめぐる闘争」(『文化人類学』78(2)、2013年)、「文化運動としてのハーレム・ライターズ・クルー――人類学とアートの結節点の探求のために」(『多摩美術大学研究紀要』、2013年)など。訳書に『アップタウン・キッズ――ニューヨーク・ハーレムの公営団地とストリート文化』(テリー・ウィリアムズ&ウィリアム・コーンブルム著、大月書店、2010年)がある。《人間学工房》を通じた文化運動もおこなっている。
https://www.ningengakukobo.com/
【展覧会場】
アキバタマビ21
〒101-0021 東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 201・202
電話:03-5812-4558
URL: http://www.akibatamabi21.com
アクセス:
東京メトロ銀座線末広町駅4番出口より徒歩1分
東京メトロ千代田線湯島駅6番出口より徒歩3分
都営大江戸線上野御徒町駅A1番出口より徒歩6分
JR御徒町駅南口より徒歩7分
JR秋葉原駅電気街口より徒歩8分
※「アキバタマビ21」は多摩美術大学が運営する、若い芸術家たちのための作品発表の場である。ここは若い芸術家たちが、互いに切磋琢磨しながら協働し共生することを体験する場であり、他者と触れ合うことで自我の殻から脱皮し、既存のシステムや権威に依存することなく自らをプロデュースし自立していくための、鍛錬の場でもある――そうありたいという希望を託して若い芸術家たちにゆだねる、あり得るかもしれない「可能性」の場であり、その可能性を目撃していただく場所である。