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日程2017年03月18日 ~ 2017年04月18日
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時間11:00
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会場アーツ前橋
加藤アキラは、1960年代に前橋を舞台に活動した「群馬NOMOグループ」の作家として活躍しました。車の整備工として勤めるかたわら、作品制作を行っていた加藤は、アルミニウムやワイヤーブラシなど身の回りにある道具や素材を用いた作品で注目を集め、1969年には全国的に評価の高い新人が選出される「現代美術の動向展」(京都国立近代美術館)に選出されます。1970年に開催された「現代美術野外フェスティバル」(こどもの国、横浜)以後一旦制作活動を休止しますが、1975年に活動を再開。1980年代に入り、竹などの自然素材、金属板と皮など有機的素材を用いた彫刻や大型インスタレーションを制作し、「アートドキュメント’87」(栃木県立美術館)、「’87現代美術の祭典 野外彫刻展」(埼玉県立近代美術館)などにも出品し復活の狼煙を上げます。
以後、舞踊家・田中泯(みん)とのコラボレーション、宇都宮市内商店街を使ったアートプロジェクトへの参加や第13回日本国際パフォーマンスアートフェスティバル【NIPAF】(前橋文化研究所)でのパフォーマンスなど創作活動の幅を広げてきました。
加藤は、身の回りで廃棄されていく日用品や自然の素材を寄せ集め、それらに僅かな細工を施す[ブリコラージュ]によって作品へと昇華させます。リノベーションやオーバーホールなどかつての物を再生させ、新たな価値観を付与することが求められる時代、日常に埋もれて行く産業製品などに息吹を与える加藤の作品は、多くの示唆に富んでいます。群馬を代表する現代美術家のひとりとして、加藤アキラの活動を総覧する初の展覧会をご高覧ください。
※ブリコルール(器用人)とは、ありあわせの道具や材料を用いて自分の手でものを作る人のこと。フランス語のbricoler(繕う)に由来
開催概要
【展覧会名称】「加藤アキラ 孤高のブリコルール」
【会期】3月18日(土)~5月30日(火) 65日間
【開館時間】11:00~19:00(入場は18:30まで)
【休館日】水曜日(5月3日(水)は開館)
【会場】アーツ前橋 地下ギャラリー
【観覧料】一般:500円/学生、65歳以上、団体(10名以上):300円/
高校生以下:無料
※4月16日(日)は「前橋中心商店街ツナガリズム祭り」のため観覧無料
※障害者手帳等お持ちの方と介護者1名は無料
※トワイライト割(17:00以降にご来館された方):300円
【主催】アーツ前橋
【後援】上毛新聞社、朝日新聞社前橋総局、毎日新聞前橋支局、読売新聞前橋支局、産経新聞前橋支局、東京新聞前橋支局、日本経済新聞社前橋支局、共同通信社前橋支局、時事通信社前橋支局、群馬テレビ、FM GUNMA、まえばしCITYエフエム、前橋商工会議所
イベント
① ワークショップ「加藤アキラと作る竹作品」
日時:4月29日(土)14:00~18:00
会場:アーツ前橋 地下ギャラリー
定員:40名(要事前申込)
対象:小学生以上(小学生の方は保護者同伴)
参加費:無料(要観覧券)
講師:加藤アキラ、寺澤徹(デザイナー(寺澤事務所・工房 代表))
内容:竹を割り、竹かごの編み方で作品作るワークショップを行います。完成し
た作品は本展会期中、アーツ前橋ギャラリーにて展示いたします。
② 田中泯(みん) ダンス「物とカラダの間で」
日時:4月23日(日)/5月28日(日) 13:00~18:00
踊 り:田中泯(舞踊家)
会場:アーツ前橋 地下ギャラリー
内容:1989年、加藤アキラの作品と共演した田中泯が再び加藤アキラの作品とアーツ前橋を場として踊ります。
*上記の時間内に複数回踊ります。
③ トーク「アート思い出ばなし」
日時:5月6日(土)14:00~16:00
会 場:アーツ前橋 スタジオ
出 演:加藤アキラ、佐々木耕成(美術家)、吉田富久一(美術家)
定 員:約30名(申込不要)
参 加 費:無料
内容:加藤アキラの活動を振り返るトークセッションを行います。
④ 「学芸員によるギャラリーツアー」
日時:4月1日(土)、5月14日(日)14:00~
集合場所:アーツ前橋 1階総合案内前
参加費:無料(申込不要/要観覧券)
内容:担当学芸員による作品の解説ツアー
作家紹介
加藤アキラ
1937年群馬県高崎市生まれ。本名・昭。中学卒業後、車の整備工として働きながら松本忠義の画塾に入る。1965年「第1回群馬アンデパンダン」展に出品。群馬NOMOグループに加入。1966年「第10回シェル美術賞展」佳作受賞、1969年「現代美術の動向」展(京都国立近代美術館)に招待出品、同年「第4回ジャパン・アート・フェスティバル」優秀賞(通産大臣賞)を受賞するなど頭角を現していく。その後、個展を中心に活動し「アートドキュメント’87」(栃木県立美術館)、「'87現代美術の祭典 野外彫刻展」(埼玉県立近代美術館)、1989年「RASENDO SPIRITUAL REJOICE 加藤アキラ 田中泯 立体作品と舞踏」(RASENDO、群馬)、1993年に「現代美術への招待―加藤アキラ・金井訓志展」(高崎市美術館)、第13回日本国際パフォーマンスアートフェスティバル[NIPAF](前橋文化研究所)、2010年「社会芸術"自力更生車+α計画"2010 in 宇都宮とその周辺」(宇都宮市内商店街)、2013年「アーツ前橋開館記念展 カゼイロノハナ」(アーツ前橋)など美術館から屋外のアートプロジェクトまで活動の幅は広い。
加藤アキラって誰?
●現在79歳。群馬を離れず創作活動を続けてきたアーティスト。
●群馬トヨタで車の整備工を務めながら創作活動を始めた。
●身の回りにある日用品、道具などを素材として作品を作っている。
●1960年代に群馬で結成された前衛美術家集団、「群馬NOMOグループ」に加入した。
●シェル美術賞展、ジャパン・アート・フェスティバルなど現代美術の主要なコンクールに入選・受賞。
●1969年、京都国立近代美術館が主催し、全国で活躍する作家を選出して行われた「現代
美術の動向展」で群馬県から唯一選ばれた。
●1970年代前半、「高崎ウィンナー」のテレビコマーシャルを制作した。
●1989年、舞踊家・田中泯と作品で共演した。
●1960年代後半に輝かしいキャリアを得ながら全国区の評価とは距離を置き、地域の中で
活動を続けてきた作家
なぜいま加藤アキラか?
①近年の再評価
1963年、群馬で結成された前衛美術家集団「群馬NOMOグループ」に加入したことをきっかけとして、大きく飛躍した作家である。近年各地域の前衛美術運動の研究が進むなか、2016年、群馬県立近代美術館にて開催された「群馬NOMOグループの全貌」展によって、注目が集まっている。
②産業時代を背景に誕生した作家
1960年代、高度経済成長期のただなかにあった日本で、車の整備工として働いていた加藤は、身の回りにあった道具や金属や磨くという行為そのものを作品制作へ転用した〈Report〉シリーズを完成。当時の若手・新人らがこぞって応募し活気を呈した、シェル美術賞展、現代日本美術展、国際青年美術家展、ジャパン・アート・フェスティバルなどのコンクールに立て続けに入選・受賞する。
③孤高のブリコルール(器用人)
ブリコルール(器用人)とは、ブリコラージュする(ありあわせの道具や材料を用いて別の目的に役立てる)人を指す。加藤は、私たちが日常生活のなかで使い捨てる割り箸、廃棄されていくエアコン部品、煙突から出た煤などに細工を施し作品へと昇華させる。
リノベーション、コンバージョン、オーバーホールなど残された物を再生させる新たな価値観が求められる時代、加藤の日常に溢れる素材への鋭い観察眼と物に息吹を与え価値の表出を変える精緻な手仕事はさまざまな示唆に富む。
本展の見どころ
① 初期から新作までを通して、加藤のこれまでの活動を一挙に紹介する展覧会です。
② 破損して部品を失った作品、インスタレーションや型が残っているものの紛失してしまった作品を、作家の手によって、現在の素材を使い、当時の形を忠実に再現した作品を復刻版として出品します。
③ 2006年、前橋市在住のデザイナー寺澤徹と加藤アキラのコンビで前橋の歴史を紡ぐライトアップ関連ワークショップ「空蚕(くうさん)牧場」を中心市街地において実施しました。そのコンビが再び復活。ワークショップ参加者と共に作品を作り、完成した作品を本展会期中、アーツ前橋ギャラリー内に展示します。
④ 1989年、群馬県・高崎市にあったアートスペース「RASENDO」で加藤の作品と共演した国内外で活躍中の舞踊家・田中泯を招き、本展を新たな場として田中泯ダンス「物とカラダの間で」を行います。時間は13:00〜18:00の間に複数回踊ります。いつ、どの作品の前で踊り始めるかは田中次第。ご覧になりたい方は、加藤アキラの展覧会場から離れず楽しみにお待ちください。
⑤ 写真のみを残し、一切の断片も残っていない作品を含め、加藤アキラがこれまで制作した作品すべて掲載した図録を出版します。
同時開催企画
【展覧会名称】「Art Meets 04 田幡浩一/三宅砂織」
【会期】3月18日(土)~5月30日(火)65日間
【開館時間】11:00~19:00(入場は18:30まで)
【休館日】水曜日(5月3日(水)は開館)
【観覧料】無料
【主催】アーツ前橋
【協力】WAITINGROOM