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終了構想計画所 「無人=Atopia -月と太陽の運動を捉える島の習慣を巡って-」

  • 日程
    2015年03月07日 ~ 2015年04月05日

  • 時間
    11:00

  • 会場
    gallery COEXIST-TOKYO

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会期: 2015年3月7日(土)~4月5日(日) 月曜休廊
企画: 構想計画所
主催: 株式会社ZEエナジー
時間: 11:00~19:00
会場: gallery COEXIST-TOKYO
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gallery COEXIST-TOKYOでは、昨年の3月に開催し、多くの反響を呼んだ構想計画所による企画展を、本年も開催いたします。構想計画所は活動内容によって構成員が変化する、ゆるやかな活動体で、本展は小林耕二郎(彫刻)・酒井一有(詩人)・庄司朝美(画家)・前野智彦(美術家・構想計画所 所長)・三田健志(美術家)の5名で構成されています。

当ギャラリーにおいて2回目となる今回の展示は、海面の潮汐によって姿を変える「島」の形象のマケットを中心に構成されており、その形態は朔望(月の満ち欠け)と相似をなしています。この試みは、前回の展示『疑存島 − 他者なき世界の地図作成法 − 』のキーワードでもあった「無人島」と地続きの関係にありながら、本展と同時に開催される第18回岡本太郎現代芸術大賞展の出品作『Ω』(オーム)にも通底するテーマを持っています。

哲学者ジル・ドゥルーズは、あるテクスト(※1)の中で、島とは海と陸の生き生きとした闘いそのものであり、私たち人間が生を配する余地のない場であると述べ、さらに「いかなる島も理論的には無人である」と続けています。この定義は、海底火山の噴火や洪水など、島の起源と深く関わりながら定められたものですが、素朴に抱く島のイメージとは随分かけ離れた印象を私たちに与えます。それは遥か遠い昔の、あるいは神話の中に描かれている世界のように感じられるかもしれません。しかし、もしもこの定義が私たちにとって妥当なものであるとすれば、つまり私たちが生活している場所=島が、実際に海と陸の生き生きとした闘いの現場であるとするならばどうでしょう。

超長期に視点に立って考えてみると、大洋と大地は絶えず変化しており、決して安定したものではないことに気が付きます。このことについて、私たちは普段あまり意識することはありませんし、仮に意識していたとしたら、とても安心して生活を続けることなどできません。私たちは多くの災害の以後にありながら、また、来るべき未来に対してどれほど警告がなされようとも、それがあくまで警告に留まる以上、何も起こらない可能性を信じてしまいます。私たちの生活は、こうした「忘却」の上に成立していると言えるでしょう。これは裏を返せば、「忘却」なしに私たちは生活することはできない、ということになります。「いかなる島も理論的には無人である」という奇妙な表現はここから生まれます。

島=無人島が棲まうことの否定である以上、「忘却」は、私たちが生きていくために必要な能力=抵抗でもあります。しかし、彼らは『Ω』において、この忘却とは異なる抵抗のあり方を模索し、そのやり取り自体を、私たちが変化するための契機として提示しているようです。そして本展においては、この契機それ自体を、月と太陽の周期的な反復運動に連動する島の形象を通して描き出すことを試みています。私たちは彼らの表現を通して、島の起源にある破局が、絶対的で一回的な出来事から、周期的で反復可能な出来事へと書き換わる様を、目の当たりにすることになるでしょう。

彼らは、このどこにも存在しえないように思える島=無人島を、Utopia(理想郷)やDistopia(暗黒郷)といった表現とは異なる、Atopia(不気味な場所)として提示します。この不気味で困難な海と陸の闘いの場は、はたして私たち人間にとって、思考の対象となり得るのでしょうか?
重要なことは、まったくの彼岸であるような島との出会い、それに応答できない失語の状態を、芸術鑑賞として経験することにあると私は思っています。
なぜなら陸と海の争いに限らず、私たちがこの世界に棲まうことを否定するものや、個人が獲得した習慣の変容をせまる不気味なもの、困難な風景は、程度の差こそあれ、私たちの日常に偏在しているのですから。

gallery COEXIST-TOKYO

※1 ジル・ドゥルーズ『無人島、その原因と理由』翻訳:國分功一郎

【画像】『疑存島 ー他者なき世界の地図作成法ー』2014年 撮影:神宮巨樹

◆EVENT◆
4/4(土) 16:00〜
「潮汐について(仮)」 ゲスト:平倉圭 (横浜国立大学准教授/芸術理論)
参加費:500円(1drink付) 座席:30
・受付申し込みは、当日開始30分前より、先着順。満席の場合は立見になる場合がございます。

□お問い合わせ□
gallery COEXIST-TOKYO
東京都江東区木場3-18-17 2F
Tel:03-5809-9949
Mail:info@coexist-tokyo.com
Web:http://coexist-tokyo.com

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