(c)Georgia-Film,1984
旧ソビエト連邦の厳格な検問の下、グルジア共和国で製作された本作は、1984年12月に完成し、86年10月、グルジアの首都トビリシでようやく公開された。
観る者に1937年のスターリン書記長による大粛清を想起させる内容は、その時代を真正面から批判した映画として、全世界の注目を集めた。その翌年1月モスクワで一般公開された際は、最初の10日間だけで実に70万人以上を動員したという。
同年5月、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、審査員大賞を獲得。その後、ソビエト全土の公開でも記録的な大成功を収め、「パカヤーニエ(ロシア語題名)現象」と呼ばれるに至った。その社会的反響は1991年のソビエト連邦解体にもつながるペレストロイカ(改革)、グラスノスチ(情報公開)の象徴となった。
物語は、架空の地方都市で一人の女性ケテヴァンが教会をかたどったケーキを並べるシーンから始まる。傍らにいた客の男が新聞を広げて「偉大な男が死んだ」と叫ぶ。
「偉大な男」とは、その街で長く市長として権力を振るっていた男ヴァルラム。ケテヴァンにとっては、かつて両親を粛清した上に殺害し、彼女の人生を大きく狂わせた張本人だった。
そしてケテヴァンの回想をとおして、ヴァルラムへの告発と、独裁政権下の粛清によって彼女の家族や市民が辿った苦難の道のりが、ときに幻想的に、力強く描かれてゆく。
『懺悔(ざんげ)』
http://www.zaziefilms.com/zange/
2008年12月20日(土)より岩波ホールにて公開、他全国順次公開
監督:テンギズ・アブラゼ
出演:アフタンディル・マハラゼ、ゼイナブ・ボツヴァゼ、ケテヴァン・アブラゼ、他
1984/ソビエト(グルジア)/153分
配給:ザジフィルムズ