(2008年8月渋谷ROOTS TANKにて)
PAPA U-GeeのライブやCDジャケットでお馴染み、ポジティブで南国的なエネルギー溢れるライブペインティングやイラストを描くペインティング・アーティスト”Kads MIIDA(カッズミイダ)”。幅広いフィールドでライブペインティングをするMIIDA氏が、新たな試みで様々なミュージシャン、アーティストと共に10月3日から2日間アップリンク・ファクトリーでライブペインティングセッションを開催する。自身でオーガナイズ、出演するMIIDA氏に話を聞いた。
(Kads MIIDA作品)
── ミイダさんと言うと、よくレゲエのライブでライブペインティングをされておりますが、 活動のジャンルはレゲエに絞られているのですか?
「特に絞っている訳ではないのですが、始まりがレゲエの現場だったので。 サウンドシステムの横ででかい音でレゲエを聞きながらゲリラ的に始めたのが今のスタイルに繋がっていると思います。 始めた当時と今も、好きな音楽と一緒に大きな絵が描きたいという衝動は変わりません」
(Dragon作品)
── 今までどのようなミュージシャンンとライブペインティングをやってこられましたか?
「きっかけは横浜のサウンドシステムBANANA SIZEで、同じく横浜のレゲエ夜と言うイベントでMIGHTY MASSA,SHANDI-I,YOYO-C,Pr.CHINNEN、STONED ROCKERSなどのレゲエアーティストと共演してきました。またPAPA U-Gee with ZION HIGH PLAYAZとはCDジャケットの絵を描いているので、リリースツアーに同行して金沢、奈良、大阪、静岡、神奈川、東京と廻りました。 最近、同じペインター同士の合作もやってて、DragonとはBAGDAD CAFE THE trench townのライブで、Gravity freeとはロックのイベントで描きました。 レゲエやロック以外では、焼津で地元の子供達の太鼓、アフリカ人のパーカッショニストのオランドゥー、アイヌの楽器トンコリ奏者OKIさんなどです」
(gravity free作品)
── ライブペインティングの見所をお聞かせ下さい。
「基本的には映画を見てるみたいに全部見てほしいです。 時間と共に変わって行く絵とアーティストの動きや心の変化。 あと音楽との関わりはライブペインティングの重要な見所です。 たとえば音に煽られて筆が早くなったり、色と音色が同じイメージになったり、音と絵が同時に止まったり。 継続的では無いですが音と絵がシンクロする瞬間を感じて楽しんで下さい」
── どちらかで、絵を学ばれたのですか。海外にもよく行かれたとお聞きしますが。
「美術系の学校でデザインやイラストを先攻してましたが、基本的にはアルバイトや仕事で絵を覚えました。ペインティングに関しては独学です。 強いて言えば、子供の頃通った絵の教室で先生に習った色の重なりや構図は今でも大きく影響してます。 海外旅行は70年代のアメリカが最初で、仕事を始めてからアジア、ジャマイカ、 アフリカ、ヨーロッパなど行きました。 旅での制作で印象的なのは、エチオピアでラスタマン達の集会所に描いた壁画、メキシコでの陶器の絵付け、バンコクでのディスコの壁画などです」
── 先日の吉祥寺earth riddimでもPJ(ダブセンスマニア)さんとライブペインティングされてましたね。 かなり、お客さんも入って、皆ミイダさんの書いている姿、完成されていく絵に 見入っていたようですね。大勢の人の前で描くのは緊張しませんか?
「いい意味での緊張感は大切にしてます。ライブペインティングはたくさんの人に見られているからこそ描ける絵を追求する場なので、楽しんでます」
PJとのライブペインティングセッション(吉祥寺earth riddimにて)
──ライブペインティング後、実際に絵を買われた方もいらっしゃるとお聞きしました。 その時は、その場で交渉して、決まるんですか?(可能なら、実際の作品と金額を教えていただきたいです) 。
「そんなに頻繁には無いですが、絵を買ってもらえる場合は事前に交渉する時が多いです。 壁画をライブで描く場合もあるし、描いた会場やお店にそのまま飾ってもらう場合もあります。 でも先日、イベントで描いた直後によく行く料理屋のマスターが描いた絵を買ってくれました。 マスター曰くイベントの雰囲気を持って帰りたかったみたいです。 ありがたいです、値段はプライベートなことなので(笑)....」
── ライブペインティングで描いている時は、お客さんの雰囲気とか、音楽とかに合わせて描いているのですか? それとも描く前に、こう描こうとがっちりイ メージをするのですか?
「何も考えられないで先が見えないまま描いていた事もありました。でもそれもライブペインティングの醍醐味だと思います。作品を消化しきれず見ている人も 不安感がのこる状態です。今の自分は描く前にある程度作品の完成をイメージして、 後は場所や雰囲気、音に任して描きます。でもあまり完成にはこだわらずその場でしか感じられない衝動を大切に 自由に描いてます」
── 今回のアップリンクでのイベントでは、どのような目標を据えていますか。 また、お客さんにメッセージがあれば教えてください。?
「クラブやライブハウスの片隅で夜な夜な行われているライブペインティングを その音楽も含めて主人公にしたイベントを考えてます。 アーティストの持つパワーと空間が作り出すパワーで一つの作品を作り上げたいと思ってます。 ライブペインティングは現場で発展した遊びなので、皆さんそれぞれリラックスして参加して下さい、そして楽しんで下さい。 」
■Kads MIIDA(カッズ・ミイダ)PROFILE
1961年生まれ。東京造形大学卒業。自由に表現すること、自然の一部であること”をテーマに、旅を通して生命観溢れる作品を個展で発表。95年『COOL COUNTER』でラスタマンのライフスタイルを油絵で表現。97年『UN GRAN SOL』では和をテーマに、2000年『DEEP AND LATE』では赤、2002年『BLUE PAIN』『PAPA LAND』では青、といった色の新しい世界を発表。メディアでのグラフィック活動から、ファッション、ミュージシャンとのコラボ等その表現領域を広げている。
『 Kads MIIDA presents “LIVE PAINTING SESSION” 共鳴するアートとサウンドのライブセッション! 〜Introductory chapter of the Liveth art〜』
会場:アップリンク・ファクトリー(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F)[地図を表示]
・10月3日(金) 開場 19:00 / 開演 19:30
live painting:gravity free × kads MIIDA
sound:maccafat/ 井上民雄/HOMERUN
・10月4日(土) 開場 19:00 / 開演 19:30
live painting:Dragon × kads MIIDA
Sound:Ras Takashi/HOMERUN
出演者+鈴木慎一郎によるトークショー
※両日共各¥2,000(1DRINK付) ・主催:レゲエ夜、アップリンク