(C)2008 Fortissimo Films/「TOKYO SONATA」製作委員会
ウェブダイスユーザーに『トウキョウソナタ』のレビューを書いていただきました。
【作品解説】海外映画祭で高い評価を受け、世界が認める巨匠、黒澤清監督が現代日本の家族を映し出した。一見、外から見ると平凡で幸せそうな家族。しかし、その平凡というのは以外と簡単に崩壊する。そんな日常の中に潜む閉塞感やそれぞれの家族の抱える悩みや問題を独特の空気感で描き出す。
■黒澤清監督インタビュー(プレスシートより抜粋)
ーこの作品を撮るきっかけをお聞かせ下さい。
プロデューサーから、マックス・マニックスさんの脚本を渡されて読みました。そこには、僕自身がオリジナルで書こうとすると到底思いつかないような、シンプルで力強い親子の物語が書かれていました。そんな話を僕に持ってきてくれたのは嬉しい驚きだったんです。僕は、これまでに、疑似体験であったり、崩壊した家族を描いたことはありますが、平凡な家族についての物語をストリートに描いたことは一度もありません。意図的にさけてきたところがあったのですが、マックスさんのシナリオを読んで、映画の素材としての可能性を感じ、やってみようと。それにここしばらくホラー作品が続いていて、違うジャンルのものがやりたいという思いも強かった。ですから、本当にいいタイミングでこのお話を頂いたんです。僕1人では、kの時期に、家族の物語をやろうという決心は、たぶんつかなかったんじゃないかなと思います。
ーストーリ展開について教えてください。シリアスな中にも、可笑しさ、滑稽さがありますね。
露骨なコメディーではないのですが、この映画はホームコメディということも出来るかもしれません。引いてみるととても小さいことなのに、本人が切羽詰って一喜一憂している姿は、傍からみるとちょっと可笑しいんです。でも、それが積み重なって僕たちは生きているわけですし、そういう小さなことが、外部の巨大な動きと連動してしまっているというのが今の我々の姿かもしれません。僕自身、東京で、ちいさなことに一喜一憂していきているという実感があり、そして、嫌が応にも外部の大きなちから、世界の動きに影響を受け、飲み込まれ溺れながら、とりあえず目の前のことをやっている気がします。大きな動きのほうを無視することはできないというのが、現代の日本で生きる人の実感だとすれば、その上でどこに希望があるのか。それを描くのが、この映画のひとつの大きなコンセプトでした。
ータクトルにもある「トウキョウ」への思いを聞かせてください。
これまでに何度も映画を撮ってきましたが、もともとマックスさんの脚本が全面的に東京を舞台にしたものだったということもあり、今回またしてもそうなりました。何度も撮っても東京は面白いです。もうとるところなんてないんじゃないかと思うんですが、探せば面白いところがいろいろあるんです。たとえば、ピアノ教室を撮影したところは、西葛西にある、よくある住宅地です。僕もああいう場所にカメラを向けたことは初めてなんですが、典型的な東京を感じさせる場所でした。、電柱や看板がごちゃごちゃしていて、小さな家が並んでいる。街をあるいていればどこにでもありそうな場所ですが、撮ってみると、思いもしなかった面白い空間だと改めてわかりました。
■『トウキョウソナタ』
9月27日、恵比寿ガーデンシネマ、シネカノン有楽町ほかにて全国ロードショー
カンヌ国際映画祭「ある視点部門」審査員賞受賞!
公式HP:http://tokyosonata.com/
監督・脚本:黒澤清
出演者:香川照之/小泉今日子/小柳友/井之脇海/井川遥/津田寛治/役所広司
製作:ENTERTAINMENT FARM/FORTISSIMO FILMS/博報堂DYメディアパートナーズ/ピックス
配給:ピックス