骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2008-08-13 11:10


森達也、松江哲明、古澤健が初日ゲストに。『ガンダーラ映画祭』幕開け!

本日13日は『トウキョウソナタ』の黒沢清が、明日14日は山下敦弘がトークゲストで出演!
森達也、松江哲明、古澤健が初日ゲストに。『ガンダーラ映画祭』幕開け!
左より森達也、松江哲明、古澤健

プロフェッショナルで活躍する映画監督たちがノー予算・ノーギャラで短編ドキュメンタリーに挑み、決して他では観られない怒涛の作品が集結した『イメージリングス第3回ガンダーラ映画祭』が、今週より渋谷アップリンク・ファクトリーで始まった。

初日の11日(月)は、ガンダーラ映画祭の顧問を担当する森達也(映画監督/ドキュメンタリー作家)、同映画祭に出品した松江哲明(『童貞。をプロデュース』監督)、古澤健(『トライワイトシンドローム~デッドクルーズ』監督)を招いてのトークイベントを開催。ガンダーラ映画祭のコンセプトでもあるドキュメンタリーの話題が中心となった。

ガンダーラトーク1

ガンダーラ映画祭を主催するしまだゆきやす氏が「ガンダーラ映画祭の感想は?」と森氏に聞くと、「僕は第1回目から顧問だけど、こういう場でのトークは初めて(笑)※。面白いか面白くないかと言ったら、僕は面白かったですよ。あと、松江さんの作品は面白かった。才におぼれすぎてる」と述べた。

(※)過去にロフトプラスワンに出演しています。

今回松江氏がつくったのは、自分を被写体にセックスとビデオテープと嘘で塗り固められた日常を記録した『セックスと嘘とビデオテープとウソ』という、AVをつくってきた松江哲明らしい作品だ。
「濃いセルフドキュメンタリーを久しぶりにつくりたいと思っていたんです。ちょうどこれをつくってるときに、『デトロイト・メタル・シティ』のメイキングをつくっている最中で、それはどちらかというと『童貞。をプロデュース』みたいなエンターテイメントなドキュメンタリーを求められていた。だから、振り幅を逆にした濃いのをガンダーラ映画祭でやりたいなと思っていました」と、制作のきっかけを話した。


また、セルフドキュメンタリーについて、「『童貞。をプロデュース』のパート1もパート2も自分なりの演出というか、嘘のところも入れています。今回撮ったのは正直言って、僕の中では嘘ついてないですよ。編集で嘘を入れてるんです。だから、見てる人はどこに嘘入れているかわからないと思うんですけど、出演していた女性たちはこれを見て怒った(笑)。すごい嘘付いてるねって言われました。でも、嘘を付かないと気持ちを言えないというか、照れ隠しなのか、そういう部分がありましたね」と語った。

ガンダーラトーク3

古澤氏の作品は、セクハラやドタキャンなど大学映研の実態について自分自身を赤裸々に撮った『古澤健のMっぽいの、好き。』。この作品をつくったきっかけには、「今年ホラー映画を撮った時に、これを俺がやる意味ってなんなんだろうってところに突き当たっちゃったんですよ。それはいろんな失敗も含めてなんですけど、これは自分がやる必要がなかった、じゃあ、なんで映画監督目指したんだろうと思って、ものすごい迷宮にさまよいこんでしまって。そんなときに、偶然にもガンダーラ映画祭に誘われて、まったく自分がそれまで思ってもみなかったドキュメンタリーという、身の周りの出来事からやってみようかなってことがきっかけとして与えられた。まだドキュメンタリーについて全然わからないんですけど、そういう意味で言うと僕の中ではドキュメンタリーの方はわかりやすく、自分の中で殺してる普段の自分という、“たかだかそんなこといいじゃん”っていうものを出せるのかなぁと思ったんです」。


これに対して森氏は、「僕は半端だけど、みんなちゃんとしてるからガンダーラ映画祭はメリハリがきいている(笑)」と述べ、「今後、森さんはドキュメンタリーを撮ってみようかという気にはならないのか」という問いに対して「ならないですね」と、あっさりかわした。

最後に、来年のガンダーラ映画祭について「もっと若手の監督を起用してみては」と森氏の顧問ならではのアドバイスが送られ、トークイベントは幕を閉じた。

本日13日(水)のトークゲストは、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞した『トウキョウソナタ』監督の黒沢清と古澤健が出演する。以降、山下敦弘、大根仁、花くまゆうさく、グレートマエカワ(フラワーカンパニーズ)、Chim↑Pom、枡野浩一、井土紀州、綿井健陽という豪華ラインナップで、残りわずかのガンダーラ映画祭は華やかに疾走する。

(文:牧智美)

ガンダーラ映画祭

イメージリングス第3回ガンダーラ映画祭
「ノーインテリジェンス~映画界のラスプーチンと呼ばれて」

2008年8月24日(日)まで
会場:アップリンク・ファクトリー(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F)[地図を表示]
料金:1,000円(各回入替え制/当日券のみ)
主催: IMAGE RINGS
※上映時間は公式ホームページをご覧ください

ガンダーラ映画祭公式ホームページ

【参加作家】
山下敦弘&向井康介、井土紀州、Chim↑Pom、古澤健、真喜屋力、花くまゆうさく、松江哲明、綿井健陽、しまだゆきやす


  • ★平日18:30の回終了後、ゲストトークショーあり!
  • 8月13日(水) 黒沢清×古澤健
  • 8月14日(木) 山下敦弘
  • 8月15日(金) 大根仁(TVディレクター)×花くまゆうさく
  • 8月18日(月) Chim↑Pom
  • 8月19日(火) 枡野浩一(歌人)
  • 8月20日(水) 井土紀州
  • 8月21日(木) グレートマエカワ(フラワーカンパニーズ)×花くまゆうさく
  • 8月22日(金) 綿井健陽

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コメント(1)


  • 佐藤秀樹(サトッス)   2008-08-14 01:54

    昨日全プロを一気に鑑賞しました!面白かったなあ!
    Chim↑Pomの「アイムボカン」に感動…
    すげえパワー