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2016-12-09 19:20


「夢はディズニー」ゲームから映画業界へ―吉祥寺に新映画館17年初春オープン

3スクリーンを有するシネマ・カフェ「ココロヲ・動かす・映画館◯」
「夢はディズニー」ゲームから映画業界へ―吉祥寺に新映画館17年初春オープン
「ココロヲ・動かす・映画館◯」完成予想図(外観)

映画配給会社のココロヲ・動かす・映画社◯(まる)が、東京・吉祥寺にシネマ・カフェ「ココロヲ・動かす・映画館◯」を2017年初春にオープンすることが発表された。webDICEでは社長・総支配人の樋口義男さんに話を聞いた。

グローバル企業としてのディズニーを目指しています

ココロヲ・動かす・映画社◯は、ゲームのCG・プログラミング制作などを行っている株式会社デジタルワークスエンターテインメントを母体に2016年創立した。

デジタルワークスエンターテインメントは、IT系の人材派遣業務を行う株式会社ドゥキャリアほか国内外5法人、海外にも支社を置き総従業員数1,000人の企業グループの一部門。東京・代々木のオフィスには200人のスタッフをかかえる。同社はゲーム業界のデベロッパーを担い、人気ゲーム『妖怪ウォッチ』シリーズや『ポケモン』など様々なゲームのCG・プログラミング制作の一部を受注。スクエア エニックスと共同でゲームアプリ『予言者育成学園 Fortune Tellers Academy』の開発も手がけている。

ココロヲ・動かす・映画社◯の配給第一弾作品は、現在公開中の台湾映画『私の少女時代 -Our Times-』。そして、2015年の東京国際映画祭でグランプリ&最優秀女優賞を受賞したブラジル映画『ニーゼと光のアトリエ』が12月17日に公開される。2017年には、イギリスから届いた美しい庭の物語『マイ ビューティフル ガーデン』が4月にシネスイッチ銀座ほかにて公開。そしてYEBISU GARDEN CINEMAでハリウッドの名ストーリーボード作家とリサーチャーの老夫婦を描くドキュメンタリー『Harold and Lillian: A Hollywood Love Story(原題)』が公開。第72回ベネチア映画祭(2015)で最優秀男優賞(ファブリス・ルキーニ )&最優秀脚本賞(クリスチャン・ヴァンサン)の2冠、第41回セザール賞(2016)で最優秀助演女優賞を受賞したフランス映画『Courted(原題)』がシアター・イメージフォーラムで公開が決定している。そのほか、ひとりのインド人女性の旅を描きインドで大ヒットした『クィーン』、世界中の映画祭でまねかれ劇中で日本発祥のテレフォン・ウォーキングを題材にしていると話題の『Aloys(原題)』の公開も準備している。また、今年の東京国際映画祭で観客賞と最優秀男優賞を獲得したフィリピン映画『ダイ・ビューティフル』の配給権も獲得している。

樋口義男さん
「ココロヲ・動かす・映画館◯」社長・総支配人の樋口義男さん

ゲーム業界から映画業界へ向かうようになった理由を樋口さんは「今までゲームの制作はしてきましたが、キャラクターの版権を使ったビジネスに到達するために、子供の頃からずっと観てきた映画を自分たちが制作して、世の中に出していきたいと思ったんです。グローバル企業としてのディズニーを目指して、2020年には、より大きなテーマパークを関東に作ろうと考えています」と語る。

もともと映画監督を目指していた樋口さんは、今年から映画の配給事業を皮切りに自身の夢へ向けて本腰を入れて取り組み始めた。「数年後には、年間30本以上の作品を配給できるよう体制を整えていきたいです」と意気込む。

アート系映画の街再び、作るなら吉祥寺

今回発表された「ココロヲ・動かす・映画館◯」は、JR・井の頭線吉祥寺駅から徒歩2分、かつて伊勢丹吉祥寺店があったコピス吉祥寺の目の前に立地。

「ココロヲ・動かす・映画館◯」のグーグルマップ

吉祥寺には現在、東口に東亜興行株式会社が運営する「吉祥寺オデヲン」、北口に東興映画株式会社運営の「吉祥寺プラザ」というふたつの映画館がある。「爆音映画祭」などを開催してきた映画館「バウスシアター」は、2014年5月31日に閉館した。樋口さんが目指すのは、吉祥寺の地域の“ホームタウン・シアター”。「以前西荻窪に住んでいて、バウスシアターに自転車で通っていました。アート系映画の街だったのが、いまちょっと寂しくなっているので、作るなら吉祥寺、というこだわりがありました」

「ココロヲ・動かす・映画館◯」は、3階建ての建物に3スクリーンを有し、1階は一般的な映画館で約70席を完備。2階は飲食しながら映画やライブを楽しむことができる約70席のスペースになる。そして3階スペースはVRシアターや映画に関連した展示やイベントを開催するという。編成については、ココロヲ・動かす・映画社◯が配給する映画はもちろん、ロードショー作品をプログラミングしていく。

「ココロヲ・動かす・映画館◯」
「ココロヲ・動かす・映画館◯」完成予想図(2階内観)

「ココロヲ・動かす・映画館◯」のコンセプトは「出会い」。「いい作品との出会い、感動の出会い、人との出会いがコンセプトです。映画を観た人がそのあとに映画に関して感想を話したい時があると思います。この映画館は来た人がみんな話せる環境を作ろうと考えています。定期的な感想会やここの劇場で何を上映したいかみんなで考える会、新人発掘の会など、いろいろな催しを開いていきます」

料金体系については、2階スペースは、作品によっては映画開始30分までは無料、1時間以内800円、それ以降は1,500円と、映画館では珍しい課金制の導入を計画している。

設備については、10月に閉館した映画館「広島シネツイン」の35mmフィルム用上映機器とDCPを「シネツイン」を運営していた株式会社序破急から貰い受け使用。「広島シネツイン」で使われていた、座り心地がいいと評判の両肘掛け付きシート(フランス・キネット社)も持ち込まれる。

「ココロヲ・動かす・映画館◯」
デジタルワークスエンターテインメントのオフィス内に置かれた、「シネマ・ジャック&ベティ」から譲り受けたシートの前の樋口さん。このシートはオフィスに新しく作る上映室に使われるという。後方は、内装工事練習用に作られた壁。

総費用は8,000万円程度。「ここだけのつもりではなく、今後店舗数を増やしていきたいので、なるべく安く抑えたいです。こういったコンセプトがお客さんに受け入れてもらえることを願います。内装工事も、業者に依頼してパッと作って終わりではなく、できるだけ土日や普段の仕事が終わってから自分たち会社のスタッフで作って、お客さまを迎え入れれば、愛情がたっぷりな映画館になるんじゃないかと思います。なので今、オフィスの奥で壁や床の張替えの練習をしています(笑)。現在お手伝いしてくれるボランティアを募集中です。お問い合わせはinfo@maru-movie.comまでお願いします」。部分的なプレオープンは2017年1月末~2月を予定している。

「ココロヲ・動かす・映画館◯」
デジタルワークスエンターテインメント東京オフィスにある、内装工事練習用の部屋。写真左下に見えるのが張替え練習中の床。

夢のプロジェクトへ新たな一歩を

今後の『ココロヲ・動かす・映画館◯』の展開について樋口さんは、「私にとってディズニーランドで言えばエントランス。ここを入口にして、夢のプロジェクトへ新たな一歩を踏み出していきたい。そして映画の上映だけでなく、イベント展示など多角的な企画を通してお客さんの反応をみていきたい」と語った。

また同社は映画制作にも着手。「井の頭自然文化園で飼育されていて、今年の6月に亡くなった国内最高齢の象の“はな子”のドキュメンタリーを、アニメと実写を混ぜた手法で、実験的に来年の5月までに作ろうと思っています」。監督は?と聞くと「僕がやろうと思っています」とのこと。

そして3階のVRシアターで上映するために、象の“はな子”のVRも計画中。「3DのCGで“はな子”を作って、お客さんがバナナをあげたり、ちょっとした会話ができたりといった体験がバーチャルでできれば、喜んでいただけるのではと思っています」。樋口さんはかつて、何気なく井の頭公園に行き“はな子”を見ていたそうで、“はな子”にいろいろと勇気づけられた恩返しがしたい、と今回の企画を立案した。そして、『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』のヒットに触発され、「アート系アニメーションを手がけたい」と構想も明かした。

最後に、樋口さんがいちばん好きな映画について聞いた。「王道の『スター・ウォーズ』も好きですが、反対に『ニュー・シネマ・パラダイス』や『イル・ポスティーノ』といったアート系のちょっとマニアックな作品も好きなんです」

(取材:浅井隆、駒井憲嗣)



「ココロヲ・動かす・映画館◯」
2017年初春オープン

住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-15

キーワード:

吉祥寺 / 映画館


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