骰子の眼

art

東京都 目黒区

2008-06-11 19:05


森山大道の足跡を辿る:写真展クロスレビュー

「作為などいらない、愛するこの世界をただ記録したいだけ。復活を遂げた森山の作品はどこまでも猥雑でパワフルだ」―6月29日まで東京都写真美術館にて写真展開催中。
森山大道の足跡を辿る:写真展クロスレビュー
(写真上)ハワイ 2007年

“アレ、ブレ、ボケ”と形容されるハイコントラストや粗粒子画面の荒々しい写真表現で60~70年代の日本の写真界に一石を投じた、現代日本を代表する写真家・森山大道。「足跡」と「今」の2つの展覧会によって構成されており、写真の根源を突き詰める森山大道の作品群を一堂に楽しめる。

森山大道_青山

『Ⅰ.レトロスペクティヴ1965-2005』は、森山大道の写真人生でキーポイントとなる70年代後半および、現在の充実した活動へとつながる80~90年代以降の作品が充実した回顧展。『Ⅱ.ハワイ』は、写真集「ハワイ」から厳選した作品及び未発表作品約60点に特大サイズのプリントを加え、一堂に公開する。

(写真右)青山(「エロスあるいはエロスではないなにか」)1968年 東京都写真美術館蔵

森山大道コメント(パンフレットより抜粋):
「東京で唯一の写真美術館である当館におけるぼくの初の個展が、観に来てくださる人々の目にどのように映るものか。もし一点でも、人々の心にインスピレーションをもたらし、写真という無音の世界からのメッセージが伝わるとするならば幸いである。
それにしてもぼくは、現在でも路上をほっつき歩いて、相も変わらず、人を写し物を写し、犬を写し花にレンズを向けている。<スタート>カメラでスタートした中学生のころと、何ひとつオレは変わっていないなあと思い、つくづく感心し可笑しくもある。」



森山大道展 Ⅰ.レトロスペクティヴ1965-2005/Ⅱ.ハワイ

会期:5月13日(火)~6月29日(日)
会場:東京写真美術館 2階・3階展示室
(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)[地図を表示]
開館時間:10:00~18:00(木・金は20:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで
休館日:毎週月曜日(祝祭日の場合は翌日)
観覧料:一般1,100円、学生900円、中高生・65歳以上700円
※展覧会はフロアごとに観覧することもできます。詳細は公式HPをご覧ください。

主催:東京都写真美術館・産経新聞社、特別協賛:カルティエ、協賛:EPSON、協力:タカ・イシイギャラリー

東京写真美術館公式ホームページ

レビュー(2)


  • 深谷直子さんのレビュー   2008-05-31 00:32

    視ること:森山大道展

    戦後の写真界に忽然と現れ、「アレ、ブレ、ボケ」に代表される革新的な手法で衝撃を与えてきた森山大道。路上から日常の断片を撮り続けるストリート・カメラマンとして人生を貫く一方で、近年はハワイの雄大な自然を写すという、自分の内にあった「もう1本の水脈」を探...  続きを読む

  • ラスガナルカナルさんのレビュー   2008-05-31 16:42

    ノストラジックな疑似体験

    日曜日、大勢の観覧者が詰掛ける東京都写真美術館。雑踏の中、『森山大道展 “レトロスペクティブ1965-2005” “ハワイ”』へと侵入すれば、いつの間にか森山大道の壮大な世界に入っていた事に気づく。静寂、閉塞、妄執、雄渾、流転、情熱、希望と森山大道の...  続きを読む

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