『ミス・ジーンズ・フィンランド』より
近年、ますます注目を浴びる北欧の映画界から、注目の映画作家たちを紹介するトーキョーノーザンライツフェスティバル2014が2月8日（土）より開催される。この映画祭は、アップリンクが行なう配給サポートワークショップの受講生が2011年立ち上げ、企画と運営を行なっている。日本で触れる機会の少ない旧作や劇場未公開作品をセレクトし、音楽イベントやカフェレストランとの連動企画により、北欧のカルチャーを深く知ることのできる内容となっている。フェスティバルのスタッフによるwebDICE読者へのレコメンドをお届けする。
『ラグナロク（仮題）』
実在するバイキング船と北欧神話をベースにしたアクション・アドベンチャー
日本では、なかなか劇場公開には至らない、北欧のエンターテインメント大作を一足先にご紹介します。
博物館に展示されているバイキング船から、北欧神話で「終末」を意味する「ラグナロク」についての記述を発見したシングル・ファーザーの学者が、子どもたちを連れてバイキングの宝を探す冒険へと旅立つ─実在するバイキング船「オーセベリ船」と北欧神話をベースにしたアクション・アドベンチャー。ノルウェー本国で、2週連続興行収入第1位を記録した大ヒット作です。
北欧でもハリウッド映画は大人気で、国産の作品もファミリー向けの作品が人気（デンマークはやや事情が違いますが…）。『コン・ティキ』で証明されたように、ノルウェーの大作のクオリティは高いです。そして、主演は先述の『コン・ティキ』で注目を浴びているポール・スヴェーレ・ハーゲン。その娘役には、トーキョーノーザンライツフェスティバル2013で上映した『真実の恋』のマリア・アネット・タンデロー・バルグリュード。前作とは違い、ビミョウなお年頃、思春期の少女を演じています。
原題：Gaten Ragnarok／英題：Ragnarok
監督：ミケル・ブレネ・サンデモーセ（Mikkel Branne Sandemose）
2013年／ノルウェー／ノルウェー語（Norwegian）
字幕：日本語／94min
提供：インターフィルム
◎上映スケジュール
2月8日（土）11:00～
2月10日（月）21:10～
『NOKAS』
ノルウェーで実際に起きた史上最悪の現金強奪事件の実録物
次もノルウェーからの作品です。
ノルウェーで実際に起きた史上最悪の現金強奪事件の実録映画です。特殊部隊に変装した11人が、白昼堂々警備会社NOKAS（ノカス）を襲い、5700万クローネ（日本円で約9億円）を強奪。イースターで警察は手薄、警察犬まで休暇を取っていた2004年4月5日に犯行は行われました。犯人がアジトで準備をするところから始まり、逃走するまでの３時から８時30分までが、事情聴取と目撃情報を元に生々しく描かれていきます。
犯行グループのひとりが「『ヒート』とか嘘ばっかだ」と語るように、実際の犯行現場ってこうなんだろうな、と思わせるリアルな描写が新鮮。そして、犯人と警察官の間で緊迫した銃撃戦がすぐそこで繰り広げられているのに、市民は平然と道を横切って行く姿には驚きます。市民は訓練か何かだろうと思っているのです。ノルウェーの都市であるスタヴァンゲルが、いかに平和な町であるかが分かり、その辺もおもしろいです。日本で起きたらどうなるんでしょう？
原題：Nokas/英題：Nokas
監督：エーリク・ショルビャルグ（Erik Skjoldbjarg）
2010年／ノルウェー／ノルウェー語（Norwegian）
字幕：日本語・英語【With English subtitles】/87分
◎上映スケジュール
2月8日（土）13:30～
2月10日（月）19:00～
2月14日（金）21:10～
『ミス・ジーンズ・フィンランド』
ロックと恋に彩られた青春グラフィティ
1977年、フィンランドの片田舎で、鬱屈した日々を送っていた少年が、ロックと恋で自分を変えて行く姿を描いた青春グラフィティ。学校では冴えない主人公のヴァルデは、ミス・ジーンズに選ばれた美少女のピケに密かに恋をしているけれど…。フィンランドのロック・ミュージシャン、カウコ・ロユフカの自伝的小説が原作で、劇中の音楽も彼が手掛けています。
自分は特別な存在であると信じながらも、なかなか自分の殼から抜け出せない青春時代。でも、その殼を破る決意した時、世界は広がってゆく。時に痛みを伴いながらも。そんな時間の流れが瑞々しく描かれています。ヴァルデと同様に、ルー・リード、デヴィット・ボウイ、パティ・スミス、キャプテン・ビーフハートらに熱中した方には特にオススメです！また、フィンランドのアカデミー賞にあたる、ユッシ・アワードで衣装デザイン賞を受賞した、70年代ファッションにもご注目ください。
原題：Miss Farkku-Suomi／英題：Miss Blue Jeans
監督：マッティ・キンヌネン（Matti Kinnunen）
2012年／フィンランド・スウェーデン・アイルランド
フィンランド語（Finnish）
字幕：日本語／89分
◎上映スケジュール
2月11日（火）13:00～
2月13日（木）16:40～
2月14日（金）14:20～
『マリア・ラーション 永遠の瞬間』
激激動の時代を生きた実在の女性写真家
TNLF2014では、スウェーデン映画界の重鎮でありながら、日本ではあまり知られていないヤン・トロエル監督にスポットを当て、2作品を上映。そのうちの1作品をご紹介します。
20世紀初頭のスウェーデンの港町を舞台に、激動の時代を生きた実在の女性写真家。生活に困窮したマリアは、かつてクジで当てたカメラを売ろうと写真店を訪れます。しかし、そこで店主から教えられたカメラの魅力に、のめりこんでいき……。労働運動や第一次世界大戦などの社会情勢を背景に、物語は、マリアの長女マヤの視点から語られています。
飲んだくれては暴力を振るい、ストライキに参加しては稼ぎを失うような夫でも、親に反対されては簡単には離婚もできない。マリアは葛藤しながらも、カメラを通して自己を解放させていきます。
フィンランド移民であるヒロインのマリア役には『街のあかり』のマリア・ヘイスカネン。『未来を生きる君たちへ』のミカエル・パーシュブラントがマリアの夫役を演じています。
原題：Maria Larssons eviga ogonblick/英題：Everlasting Moments
監督：ヤン・トロエル（Jan Troell）
2008年／スウェーデン・デンマーク・ノルウェー・フィンランド・ドイツ
スウェーデン語・フィンランド語（Swedish, Finnish）
字幕：日本語・英語【With English subtitles】／131分
◎上映スケジュール
2月10日（月）15:50～
2月11日（火）18:30～
2月13日（木）10:30～
『アンバサダー』
中央アフリカの“血に汚れたダイヤ”をめぐる社会派ドキュメンタリー
近年、北欧からは、優れたドキュメンタリー作品が多く輩出されています。今回はデンマークのドキュメンタリーを上映します。
デンマーク人のマッツ・ブリュガー監督が、自ら中央アフリカのリベリア領事兼大使として現地に乗り込み、“血に汚れたダイヤ”の取引の真実に迫る、命がけの潜入ルポ。
ダイヤの産出国であるアフリカの外交官の肩書は、高額で売買されていて、外交官仲介業者なるものが存在します。なぜなら、外交官には、ダイヤを海外へ持ち出せるという”特権”があるから。ブリュガーは業者から、13万5千ドルで「駐 中央アフリカ共和国リベリア領事兼大使」という肩書のパスポートを買い、現地で裏の世界の人間と次々に会い、その様子を隠し撮りしていきます。
”命がけ”で”隠し撮り”する緊迫した社会派ドキュメンタリー。のはずなのに、出て来る人物がそれぞれ怪し過ぎておかしいし、このブリュガー監督も、スキンヘッドで葉巻をくわえたりしているのですが、お人好しそうな風貌で、全体的にはコメディタッチの仕上がりになっています。
原題：Ambassadøren/英題：The Ambassador
監督：マッツ・ブリュガー（Mads Brügger）
2011年／デンマーク
デンマーク語・英語・フランス語(Danish, English, French)
字幕：日本語・英語【With English subtitles】／93分
◎上映スケジュール
2月8日（土）20:30～
2月12日（水）16:00～
2月13日（木）19:00～
2月13日（木）19:00の回 上映後にトークショー
ゲスト：イェンス・イェンセン（元デンマーク大使館 文化・報道・広報担当官）
（文：細川典子［トーキョーノーザンライツフェスティバル・スタッフ］）
特別企画
TPB AFK：世界最大ファイル共有サイト vs ハリウッド
監督とのSkype Q&A有り！著作権と言論の自由をめぐるハリウッドとの闘いを描いたドキュメンタリー
スウェーデンを拠点に2003年に開設された世界最大のファイル共有サイト「ザ・パイレート・ベイ」を巡る4年間に渡った裁判の顛末を描いたドキュメンタリー。ハリウッド映画業界から訴訟を起こされた共同創立者、ピーター、フレドリク、ゴッドフリーの3人に密着。WEB上の検閲行為に反対し、著作権と言論の自由を主張する彼らの人物像に迫る。
★上映後はスウェーデン在住のクローゼ監督とSkypeでQ&Aを開催
監督：サイモン・クローゼ
原題：TPB AFK:The Pirate Bay Away From Keyboard
2013年／スウェーデン・デンマーク・ノルウェー・イギリス・オランダ・ドイツ／スウェーデン語・英語（Swedish, English）／85分
2014年2月16日（日）17:50開場/18:00上映開始
会場：渋谷UPLINK ROOM
料金：入場無料・1ドリンク代￥500
※こちらのイベントはWEBでの予約制となります。ご予約はアップリンクのHPまで
http://www.uplink.co.jp/event/2014/22474
アイスランド音楽特集
アイスランド音楽シーンの現在 Vol.4
～mumとアイスランド・エアウェイブスの今を追う～
4回目となる今回も、日本でますます注目されるアイスランド音楽シーンを掘り下げます。人気グループ、mumの来日時やアイスランドでのスペシャル映像を中心に、アイスランド・エアウェイブス2013 をご紹介。話題のAsgeirの素顔にも迫ります。ここだけの情報が満載!
2014年2月9日（日）START 1st/16:00 2nd/19:00
会場：渋谷アップリンク・ファクトリー
料金： 2,000円（1ドリンク付）
ナビゲーター：小倉悠加（ICELANDia）
http://www.uplink.co.jp/event/2014/22294
こちらのイベントは予定数に達した為、受付を終了しました。
CAFE
カフェ/レストラン Tabela（タベラ）
ノーザンライツフェスティバル スペシャルメニュー
北欧のあったかメニューでこころと体をあたためませんか？
サーモンのムニエル ディルソース ノルウェー風 ブラックカラント（くろすぐり）添え
1,200円
《提供時間》
平日 18:00～
土日祝 OPEN～
ラッグムンク スウェーデン風じゃがいものパンケーキ リンゴン（こけもも）ジャム付き
650円
《提供時間》
平日 18:00～
土日祝 17:30～
セムラ
450円
スウェーデンでは「セムラ」、フィンランドでは「ラスキ アイスプッラ」と呼ばれ、北欧ではとても親しまれているお菓子。カルダモン風味が特徴です。
《提供時間》
平日 OPEN～
土日祝 OPEN～
北欧ティー
650円
スウェーデンでは「セムラ」、フィンランドでは「ラスキ アイスプッラ」と呼ばれ、北欧ではとても親しまれているお菓子。カルダモン風味が特徴です。
《提供時間》
平日 OPEN～
土日祝 OPEN～
カフェ/レストラン Tabela（タベラ）
平日：ランチ11:45～16:00
ティータイム16:00～18:00
ディナー18:00～23:00
土日祝：ランチ12:00～16:00
アフターランチ16:00～17:30
ディナー17:30～23:00
※ラストオーダー22:30
定休日なし・連日営業
東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1F [地図を表示]
TEL 03-6825-5501
トーキョーノーザンライツフェスティバル2014
2014年2月8日（土）～14日（金）ユーロスペース＆アップリンク
公式ホームページ http://tnlf.jp/
公式twitter http://twitter.com/tnlfes
