今年のサントリーサマーフェスティバル〈ザ・プロデューサー・シリーズ〉のプロデューサー池辺晋一郎氏(左)
サントリー芸術財団が毎年夏に開催する「サマーフェスティバル」が東京都港区赤坂のサントリーホールで2013年9月1日(日)から10日(火)まで開催される。20世紀の音楽、そして最新の音楽の双方を紹介してきたこのフェスティバルだが、今回より〈ザ・プロデューサー・シリーズ〉がスタート。年毎に代わるプロデューサーが、現代の名曲の数々や、音楽の枠におさまりきらないステージなど、より多彩でチャレンジングな企画内容を発信する。シリーズ第1回となる本年は「池辺晋一郎がひらく」が行われる。
黒澤明監督の『影武者』(1980年)『夢』(1990年)今村昌平監督の『復讐するは我にあり』(1979年)『楢山節考』(1983年)などの映画音楽を手がけるほか、数多くのテレビ番組の音楽も担当するなど、多彩な活動を展開してきた池辺晋一郎氏の音楽世界を〈ジャズ、エレキ、そして古稀〉〈インプロヴィゼーション×ダンス〉〈リゲティを消化しよう!―3人のピアニスト〉〈演劇とオーケストラが出会うとき〉という4つの企画に凝縮する。
〈ジャズ、エレキ、そして古稀〉は、現代の音楽も手がける異色のジャズバンド、角田健一ビッグバンドが東京都交響楽団に舞台で“一騎打ち”するプログラムや、クラシックギターの俊英、鈴木大介が初めてエレキギターに挑む野平一郎の《炎の弦》(2002年の日本初演は、元フランク・ザッパのギタリスト、スティーヴ・ヴァイ)など、出演者にとってもチャレンジが求められる内容。
鈴木大介
〈インプロヴィゼーション×ダンス〉は、池辺氏が若い頃から関心のあったエスニック・ミュージックとダンスを組み合わせた即興による上演。第1部「アイデンティティを越えて」では、さまざまなジャンルのミュージシャンが、自分たちの国籍、民族性を越えたインプロヴィゼーションを行う。第2部「大自然―畏れと共生、そして美」では、ダンサーが加わってのインプロヴィゼーションとなり、これは、東日本大震災への思いが込められている。
〈リゲティを消化しよう!―3人のピアニスト〉は、現代の作曲家として池辺氏が最も共感するリゲティの集大成とも言える「エチュード」全曲を菊地裕介、金子三勇士、泊真美子という3人の日本の若手ピアニストが演奏する。
菊地裕介 ©井村重人
金子三勇士 ©三浦興一
泊真美子
〈演劇とオーケストラが出会うとき〉の『良い子にご褒美』は、演劇にも造詣が深く、数多くの作品の音楽を作曲してきた池辺氏が30年余り日本での上演を熱望してきた作品。ストッパード原作・プレヴィン作曲による冷戦時代のソヴィエトの政治犯を主題に、俳優とオーケストラがステージで協演する。
トム・ストッパード 写真提供:早川書房
アンドレ・プレヴィン ©Lilian Birnbaum
また「サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ」は、今年から3年間監修を務める細川俊夫氏をテーマ作曲家として迎え、管弦楽と室内楽の2公演を行う。室内楽公演では、25歳の時に作曲した「原像」から最新作までをディオティマ弦楽四重奏団が演奏。また管弦楽公演では、今年ドイツで全日完売して話題になったオペラ〈松風〉より〈松風のアリア〉、委嘱新作トランペット協奏曲をメルクル氏の指揮で初演する。欧米で注目を集めているソプラノ歌手・ハンニガンの歌唱(リゲティ作品では指揮と歌唱)も見逃せない。
細川俊夫 ©Kaz Ishikawa
ディオティマ弦楽四重奏団
準・メルクル
バーバラ・ハンニガン ©Elmer de Haas
戦後の日本音楽界の発展に大きな影響を与えた、故芥川也寸志氏の功績を記念して、1990年に創設された「芥川作曲賞」。前年度(1月~12月)に国内外で初演された日本人新進作曲家による管弦楽曲の中から、もっとも清新かつ将来性に富む作品1曲を公開の演奏選考会形式により選定し、同賞を贈賞。受賞者には新しい管弦楽曲の作曲が委嘱される。今年は稲森安太己、酒井健治、大胡恵各氏の作品の演奏の前に、第21回芥川作曲賞受賞記念サントリー芸術財団委嘱作品である山内雅弘の『
国内最大規模の現代音楽祭、サントリーサマーフェスティバルの新たなスタイルに期待したい。
公演詳細&ニュースは→ サントリー芸術財団サマーフェスティバル公式ホームページ http://www.suntorysummer.com/
サントリー芸術財団
サマーフェスティバル 2013
2013年9月1日(日)~9月10日(火)
会場:サントリーホール
新企画 ザ・プロデューサー・シリーズ 池辺晋一郎がひらく
9月2日(月)19:00 大ホール
〈ジャズ、エレキ、そして古稀〉
◇曲目
ロルフ・リーバーマン:ジャズバンドと管弦楽のための協奏曲(1954)
野平一郎:エレクトリックギターと管弦楽のための協奏曲《炎の弦》(1990/2002)
池辺晋一郎・小出稚子・権代敦彦・猿谷紀郎・新実徳英・西村朗・野平一郎:古稀を祝う7作品による管弦楽[サントリー芸術財団委嘱](2013)世界初演
◇出演
指揮=杉山洋一、エレキギター=鈴木大介
ジャズバンド=角田健一ビッグバンド、管弦楽=東京都交響楽団
9月6日(金)19:00 ブルーローズ(小ホール)
〈インプロヴィゼーション×ダンス〉
◇演目
1.アイデンティティを越えて
2.大自然―畏れと共生、そして美
◇出演
演奏:シタール=新井剛、ウード=常味裕司、ヴァイオリン=太田惠資、三味線=本條秀五郎、笛=紫竹芳之、パーカッション&ドラムス=クリストファー・ハーディ、ピアノ=フレデリック・ヴィエノ、ベース=ジェフ・カリー、サックス&フルート&ディジュリドゥ=アンディ・ベヴァン
ダンス:白井さち子、鈴木美奈子、鈴木陽平、田村裕子、松本大樹
コーディネーター:上田亨
照明プランナー:林順之 音響:羽生田徳美
9月8日(日)15:30 ブルーローズ(小ホール)
〈リゲティを消化しよう!―3人のピアニスト〉
◇曲目
ジェルジ・リゲティ:
ピアノ・エチュード第1巻(1985)*
ピアノ・エチュード第2巻(1988-94)**
ピアノ・エチュード第3巻(1995-2001)***
カプリッチョ第1番(1947)*
インヴェンション(1948)**
カプリッチョ第2番(1947)***
◇出演※1
ピアノ=菊地裕介(*)、金子三勇士(**)、泊真美子(***)
※1 自動ピアノによる「ピアノ・エチュード第2巻14 A」の演奏があります。
9月10日(火)19:00 大ホール
〈演劇とオーケストラが出会うとき〉
◇演目
『良い子にご褒美』―俳優とオーケストラのための作品(1976)日本初演
作:トム・ストッパード、音楽:アンドレ・プレヴィン
上演時間:約1時間(休憩なし)日本語上演
台本翻訳・演出=村田元史、制作=演劇企画JOKO
◇出演
指揮=飯森範親
俳優:劇団昴 アレクサンドル=鳥畑洋人、イワーノフ=牛山茂、サーシャ=堀川恭司(劇団ひまわり)、医者=北川勝博、教師=服部幸子、大佐=三輪学
管弦楽=東京交響楽団
サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ No.36 テーマ作曲家〈細川俊夫〉
9月3日(火)19:00 ブルーローズ(小ホール)〈室内楽〉
◇曲目
細川俊夫:原像(1980)
書(カリグラフィー)(2007/2009)よりI、II、IV、VI
開花(2007)
沈黙の花(1998)
遠い声(2013) 日本初演
◇出演:ディオティマ弦楽四重奏団
9月5日(木)19:00 大ホール〈管弦楽〉 18:35~プレ・トーク(細川俊夫、柿木伸之)
◇曲目
フランチェスコ・フィリデイ:全ての愛の身振り(2009/2011) 改訂版初演
細川俊夫:松風のアリア―オペラ『松風』より―(2010/2013) 改訂版初演
トランペット協奏曲『霧のなかで』(2013)世界初演 [サントリーホール委嘱]
ジェルジ・リゲティ:ミステリーズ・オブ・ザ・マカーブル (1974-77/1991)
◇出演
指揮=準・メルクル、ソプラノ・指揮(リゲティ作品)=バーバラ・ハンニガン、トランペット=ジェロエン・ベルヴェルツ、チェロ=多井智紀、管弦楽=東京フィルハーモニー交響楽団
第23回芥川作曲賞選考演奏会
9月1日(日) 15:00 大ホール
◇曲目
山内雅弘(1960-):
第21回芥川作曲賞受賞記念サントリー芸術財団委嘱作品
第23回芥川作曲賞候補作品(演奏順未定)
稲森安太己:リヴァーシ ~管弦楽のための戦略(2011)
酒井健治:ヴァイオリンとオーケストラのための協奏曲(2011)
大胡恵:親和性によるグラデイション第4番(2012)
◇出演
指揮=大井剛史、ヴァイオリン=成田達輝
管弦楽=新日本フィルハーモニー交響楽団
公開選考会(候補作品3曲演奏後にステージ上で公開選考を行います。)
司会:片山杜秀
選考委員:伊藤弘之/川島素晴/糀場富美子
贈賞式
【入場料】
ザ・プロデューサー・シリーズ 池辺晋一郎がひらく
〈ジャズ、エレキ、そして古稀〉(大ホール)
9月2日(月):S席=4,000円 A席=3,000円 B席=2,000円 学生=1,000円
〈インプロヴィゼーション×ダンス〉(ブルーローズ(小ホール)自由席)
9月6日(金):一般=3,000円 学生=1,000円
〈リゲティを消化しよう!―3人のピアニスト〉(ブルーローズ(小ホール)自由席)
9月8日(日):一般=3,000円 学生=1,000円
〈演劇とオーケストラが出会うとき〉(大ホール)
9月10日(火):S席=5,000円 A席=3,500円 B席=2,500円 C席=1,500円 学生=1,000円
◇サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ テーマ作曲家〈細川俊夫〉
室内楽(ブルーローズ(小ホール)自由席)
9月3日(火):一般=3,000円 学生=1,000円
管弦楽(大ホール)
9月5日(木):S席=4,000円 A席=3,000円 B席=2,000円 学生=1,000円
◇芥川作曲賞選考演奏会(大ホール)
9月1日(日):一般=2,000円 学生=1,000円(全席指定)
監修 ※3:池辺晋一郎
監修 ※4:細川俊夫
主催:サントリー芸術財団
協賛:サントリーホールディングス株式会社
協力 ※5:(社)日本作曲家協議会、(社)日本音楽著作権協会
助成:芸術文化振興基金
制作協力:東京コンサーツ
※3 ザ・プロデューサー・シリーズ
※4 サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ
※5 芥川作曲賞選考演奏会
お問い合わせ・電話予約
東京コンサーツ 03-3226-9755
サントリーホールチケットセンター 03-3584-9999
チケットぴあ 0570-02-9999 [Pコード 196-997]
東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650
※就学前のお子様の同伴・入場はご遠慮ください。
※学生席はサントリーホールチケットセンター窓口のみ取り扱い。
購入時に学生証提示、お一人様1枚限りです。
サントリー芸術財団ホームページ http://suntory.jp/SFA/