『伝説のディヴァイン』
第22回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が7月5日より開催。全てボランティアによって運営されており、プログラミングについても、世界の数多くの作品から映画祭のために選出し、 買い付け・交渉・字幕作成まで行なっているこの映画祭から、今回はそれぞれの作品を選出したプログラミングのスタッフのレコメンドにより、6作品をピックアップして紹介する。
『モスキータ&マリ』
『モスキータ&マリ』
7月5日(金)14:25~/7月14日(日)14:10~
監督:アウロラ・ ゲレロ/アメリカ/2012年/85分
LAのメキシコ系コミュニティに暮らすヨランダは大学進学を志す優等生の15才。厳格な親の期待を一心に受けアメリカン・ドリームを夢見ている。ある日、ヨランダの近所に個性的で風変わりなマリが越してくる。貧しい不法移民の一家で母と妹と3人で暮らすマリは、家族の生計を助けるためにビラ配りのバイトなどをし、その日稼ぎの生活をしている。そんなバックグランドが違うマリとヨランダは同じクラスになり、つるむうちにお互い意識し始める。口にできない感情、不確かな将来に対する思い、そんな2人を取り巻くさまざまな状況の変化によって次第に2人の関係は…。新進気鋭の監督が描く、あの思春期の甘酸っぱく何だか切ない、複雑な恋心をお楽しみ下さい。
『ママったらアルゼンチン』
『ママったらアルゼンチン』
7月6日(土)12:35~/7月15日(月・祝)19:40~
監督:リリアーナ・パオリネッリ/アルゼンチン/2010年/78分
40歳のルースは、10年以上同棲しているガールフレンドを母エステラに「お友達」と紹介してやり過ごしていた。ついに2人の関係に気づいてしまった母はショックを受けるが、一念発起してビアンバーに行ってみたり、その「筋」の本を読んでみたり、びっくりするような質問を投げかけたりと、娘のライフスタイルを理解しようと努力する。そんな熱心な母の姿とは裏腹に、娘のルースとガールフレンドはお互いすれ違い、雲域が怪しくなっていく…。母と娘の関係を通じて、セクシュアル・マイノリティの「家族」の姿を描く秀逸なコメディー・ドラマ、ついにアルゼンチンから上陸!思わずエステラみたいなお母さんがいたらなって思ってしまう心温まる笑いの名シーンをお楽しみに!
『インターセクション』
『インターセクション』
7月14日(日)16:15~
監督:グラント・ラフッド/ニュージーランド/2012年/68分
今年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で注目すべきはバラエティー豊かなドキュメンタリー。その中でも特に貴重な作品が、インターセックス(性分化疾患)をテーマにした『インターセクション』です。子どもを持った人なら誰でも「赤ちゃんは男の子?女の子?」と聞かれたことがあるでしょう。しかし2000人に1人の割合で、内外性器の特徴から完全に男児とも女児とも判別しづらい身体を持った子どもが生まれてくるのです。この作品では、ニュージーランドで初めてインターセックスであることをオープンにしたマニ・ブルース・ミッチェルを案内役として、世界中のインターセックスの人々のライフストーリーが語られます。彼らの涙あり笑いありの本音トークは、驚きと感動の連続。「性別=男女に二分されるもの」という固定観念が覆されること間違いなしの作品です。
『伝説のディヴァイン』
『伝説のディヴァイン』
7月6日(土)19:05~/7月15日(月・祝)14:10~
監督:ジェフリー・シュワルツ/アメリカ/2013年/86分
ドラァグクイーンの元祖として知られるディヴァイン。今年7月にはコンピレーション・アルバム『メイド・イン・イングランド』が公式リイシューされるなど、没後の今もなおその人気は健在です。『伝説のディヴァイン』では、いじめられっ子のシャイな少年であったハリス・グレン・ミルステッドがいかにして悪趣味の女王ディヴァインへと変貌を遂げたのか、その秘密に迫ります。映画監督ジョン・ウォーターズとの生涯にわたる友情、『ピンク・フラミンゴ』の映画史に残るお下劣シーン(犬の××を食べる!)の舞台裏、一度見たら忘れないあの奇抜なメイクの誕生秘話など、ファンにはたまらないエピソードが満載。また、家族との確執、浪費癖による金銭的な困窮、肥満との闘いなど、知られざる闇の部分も描かれています。ゲイ活動家ヴィト・ルッソの半生を追った『VITO/ヴィト』でも反響を呼んだ、ジェフリー・シュワルツ監督の最新作をお見逃しなく。
『ダニエル』
海外短編プログラム
短編集A:彼らはつながりあう
7月5日(金)16:25~/7月13日(土)11:45~
短編集B:彼女たちが掴むもの
7月6日(土)17:05~/7月14日(日)12:00~
2010年映画祭以来3年ぶりに、各国から集めた短編作品集を上映します。90分内でいろんなテイストの映画を楽しめます。ぜひ、お気に入りの作品を見つけてください。
短編Aは、ゾンビが登場するアポカリス物語『夜の森』、ロックミュージカル『ドクター・グラマー』という異色2作品で始まります。美しい夏の日を描いた『ダニエル』、倦怠期を迎えた二人が取る選択「ふたりの休暇」、移民カップルとゲイカップルの一夜を描く『ウィーンの夜』、冒頭のシーンに注目していただきたい『スロウ』、監督のカミングアウトともなった『1歳の誕生日』を上映します。
短編Bは、猫アレルギー持ち主人公のコメディ『猫、飼ってる?』、別れ話は傍から見ているとくだらなくて笑える、という監督のアイデアから生まれた『コーヒー&パイ』、MtFトランスジェンダーの主人公と男が淡々と交わす会話が印象的な『私を裸にして』、内気な女の子の成長物語「ポラロイドガール」、軍事訓練でお互いの気持ちを試される主人公達『裏切り』という魅力的な作品を揃えました。
『ヨッシ』
7月5日(金)10:40~/7月13日(土)21:00~
監督:エイタン・フォックス/イスラエル/2012年/84分
過去に当映画祭で中短編をフィーチャーし、また『ヨッシ&ジャガー』(第13回)、『バブル』(第16回)と観客から高い評価を得ていたエイタン・フォックス監督最新作が今年の映画祭で上映されます。
軍隊時代の恋人の死に向き合えず、不眠にさいなまれながら日々の診療を機械的にこなす医師のヨッシ。かたくなに心を閉ざす彼は、同僚たちとも打ち解けずに距離を保って接していた。そんなヨッシの生活が、亡くなった恋人の母の受診に対応したことや行きずりの相手としてネットで知り合った男に嘲られたことをきっかけに一変する。衝動的にイスラエル南部のエイラトへ旅に出た彼は、道中で陽気な軍人たちに出会う。その中には、かつての恋人ジャガーを思わせる、オープンリー・ゲイのトムがいた。彼との出会いを重ねていくうちにヨッシのかたくなな気持ちを徐々に揺れ動かし始める。
第22回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭
2013年7月5日(金)~6日(土)7月12日(金)~15日(月・祝)
東京ウィメンズプラザ、スパイラルホール
公式サイト:http://tokyo-lgff.org/2013/