骰子の眼

cinema

東京都 ------

2008-05-10 00:08


『靖国』上映中止活動右翼の「表現の自由」を奪った国家権力

シネパトスに街宣車で押し掛けた右翼を『靖国』公開前日に警察が逮捕
『靖国』上映中止活動右翼の「表現の自由」を奪った国家権力

(写真上、5/10、公開後1週間経った渋谷シネアミューズ前。警察の車両が一台常時駐車し、警官がビルの前に立っている)

5月3日無事『靖国』が渋谷シネアミューズで公開されたが、初日当日には関係者の話によると警察からの情報により右翼の街宣車が10台以上押し寄せると言われていた。当日は憲法記念日で、幕張メッセで催される「憲法9条の会」で一部の右翼が街宣活動をした後、渋谷に午後やってくるという情報を警察はつかんでいたらしい。
幸い、映画は無事公開することができた。

しかし、その裏には以下に報道されたように初日の前日5月2日に警察はある右翼を逮捕したという事実があったのだった。

【毎日.jp】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080502k0000e040062000c.html

この野沢容疑者は、今回の映画上映中止問題の発端となった銀座シネパトスに街宣車で上映中止を訴えた男である。
逮捕容疑は、街宣車の車検の登録者と使用者が違うというもの。法律違反なのかもしれないが、逮捕するような事件でもないと思われ、あきらかに別件逮捕である。

銀座シネパトスに街宣活動をした野沢容疑者は逮捕されたため、『靖国』公開初日には当然街宣活動ができなかった。

右翼が街宣活動を行えるのは、表現の自由が日本国にあるからで、その右翼の表現の自由を奪う事ができるのは国家権力である。
多分、想像であるが、映画公開初日は多くのメディアが劇場に取材にきており、そこに街宣車がきたら警察のメンツが立たないので、平穏を維持するために、野沢容疑者を前日に別件逮捕したものと思われる。

メディアは今回の映画『靖国』の上映中止問題を「表現の自由」の問題として報道したが、それでは、右翼の表現の自由の問題はどうなのだろうか、映画の上映中止はあくまで劇場サイドの自主規制であるが、初日に右翼が上映反対するという表現の自由を「逮捕」という強行手段により、奪ったのは国家権力である。
こちらの方が問題は大きいと思われるのに、表現の自由を訴えたサイドからなんの発言もない。

「表現の自由」の問題として、webDICEでは、右翼の表現の自由を奪った国家権力の存在を伝えておきます。
別件逮捕という強硬手段で、権力はいつでも社会の「異分子」を逮捕し排除する事ができるということを覚えておきたいと思います。

「異分子」かどうかは国家権力が決めることなので、いつ、私たちが国家からみれば「異分子」と決めつけられるかもしれません。

                             (文/浅井隆)

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靖国


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