骰子の眼

cinema

東京都 品川区

2013-04-16 23:10


魂を残そうとした霧社事件での人々の戦いの意味を次の世代に語り継ぐ

安藤政信、木村祐一出演、人間の誇りを問うウェイ・ダーション監督作『セデック・バレ』クロスレビュー
魂を残そうとした霧社事件での人々の戦いの意味を次の世代に語り継ぐ
映画『セデック・バレ』より (c)Copyright 2011 Central Motion Picture Corporation & ARS Film Production ALL RIGHTS RESERVED.

映画『セデック・バレ』は日本が植民地として統治していた台湾で実際に起きた、先住少数民族の抗日武装蜂起「霧社事件」をテーマとしている。台湾史上最大のヒットを記録した2008年の監督作『海角七号/君想う、国境の南』で知られるウェイ・ダーション監督は、『海角七号』の収益により、1999年には脚本を書き上げていたこのテーマについて製作を始めることができたという。この事件を通して台湾と日本の歴史、ひいては文化と信仰の衝突という広い視座で描くことを決めた監督は、前後編合計総製作費が7億台湾ドル(約20億円)、そしてセデック族のキャストには原住民を起用し、総勢15,000人余りという出演陣とともに、240日という撮影日数を費やし今作を完成させた。

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映画『セデック・バレ』より (c)Copyright 2011 Central Motion Picture Corporation & ARS Film Production ALL RIGHTS RESERVED.

種田陽平によるプロダクションデザインもあいまって、現代の人々に狩猟民族・セデック族と日本軍の攻防を圧倒的なスケールで描いている。2部構成・計276分という上映時間も、スリリングなアクション・シーンを豊富に盛り込むことにより、決して飽きさせない。セデック族の人々を取り巻く愛憎や葛藤をメインに、安藤政信、木村祐一ほか日本の俳優陣の好演も、日本軍との生々しい攻防を現代に伝えることに成功している。ウェイ・ダーション監督の、この悲劇を映画化しなければいけなかったという情熱が画面からまざまざと伝わってくる。

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映画『セデック・バレ』より (c)Copyright 2011 Central Motion Picture Corporation & ARS Film Production ALL RIGHTS RESERVED.



映画『セデック・バレ』第一部:太陽旗 第二部:虹の橋
4月20日(土)より渋谷ユーロスペース、吉祥寺バウスシアターほか全国順次ロードショー

【第一部:太陽旗】
台湾中部の山岳地帯に住む誇り高き狩猟民族・セデック族。その一集落を統べる頭目の子モーナ・ルダオは村の内外に勇名をとどろかせていた。1895年、日清戦争で清が敗れると、彼らの暮らす山奥にも日本の統治が広がり、平穏な生活は奪われていく。それから35年、頭目となったモーナは依然として日々を耐え抜いていた。そんな中、日本人警察官とセデック族の一人が衝突したことをきっかけに、長らく押さえ込まれてきた住民たちが立ち上がり…。

【第二部:虹の橋】
連合運動会が開催されていた霧社公学校を襲撃したセデックの決起部隊の手によって、戦う術を持たない多くの日本人は女子供の区別なく命を奪われた。日本軍は直ちに鎮圧を開始。山岳地帯の地の利を活かして戦うセデックの前に苦戦を強いられるが、圧倒的な武力を誇る日本軍と警察を前に、セデックの戦士たちは一人また一人と命を落としていく。男たちが絶望的な戦いに挑むなか、セデックの女たちもまた選択を迫られ、それぞれが信じる道を選ぶことに。決着のときは近づいていた…。

出演:リン・チンタイ(林慶台)、ダーチン(大慶)、安藤政信、マー・ジーシアン(馬志翔)、ビビアン・スー(徐若瑄)、木村祐一、ルオ・メイリン(羅美玲)、ランディ・ウェン(温嵐)
監督・脚本:ウェイ・ダーション(魏徳聖)
製作:ジョン・ウー(呉宇森)、テレンス・チャン(張家振)、ホァン・ジーミン(黄志明)
撮影:チン・ディンチャン(秦鼎昌)
プロダクションデザイン:種田陽平
2011年/台湾/カラー/セデック語・日本語/第一部「太陽旗」144分・第二部「虹の橋」132分・計276分/シネマスコープHD/原題『賽德克·巴萊』/英題『Seediq Bale』
提供:マクザム、太秦
配給:太秦

公式サイト:http://www.u-picc.com/seediqbale/
公式Facebook:http://www.facebook.com/seediqbale.movie

▼『セデック・バレ』予告編



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