骰子の眼

cinema

東京都 新宿区

2013-01-11 22:00


正論を振りかざすことの怖さ、真面目な人が些細なきっかけで壊れてしまうことを学校生活の中で描く

独自の教育理論で問題を解決していく教師を描く映画『鈴木先生』クロスレビュー
正論を振りかざすことの怖さ、真面目な人が些細なきっかけで壊れてしまうことを学校生活の中で描く
(C)2013映画「鈴木先生」製作委員会

決して高い視聴率ではなかったものの、テレビ放送時より熱烈な支持を集めていたドラマの映画化。河合勇人監督、脚本の古沢良太、そして主演の長谷川博己ほか、テレビ版と同じキャスト、スタッフが集結していることもあり、画面のなかにある種の一体感が感じられるところが興味深い。舞台となる学校の生徒役の俳優たちの演技のアンサンブルも自然でリアリティがあり、現在の中学生が抱える人間関係の問題や葛藤に観客がすっと入っていくことができるようになっている。そこにはもちろん、鈴木先生役の長谷川博己の存在感が欠かせない。学園ドラマのいわゆるヒーロー的な超越した存在ではなく、守る妻もいながら女性生徒に妄想を繰り広げてしまうという人間臭いキャラクターを作り出すことにより、黒縁メガネの奥に眼光鋭く、生徒たちの内面を洞察していく姿に強い説得力を与えている。

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(C)2013映画「鈴木先生」製作委員会
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(C)2013映画「鈴木先生」製作委員会

生徒会選挙そして文化祭という学校生活の中での祝祭的行事を通して、学校がひとつの社会であること、そして生徒と先生が同じように議論し成長していくことを描いていくところが今作の魅力であると思う。学級会議や放課後の風景など、学校生活の中の細かいディティールが丁寧に描写されていることにより、生活を続けていくなかでふと訪れる小さな問題が、大きな問題の根本であることをあらためて考えさせられることになる。

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(C)2013映画「鈴木先生」製作委員会




映画『鈴木先生』
2013年1月12日(土)より、角川シネマ新宿、丸の内TOEI、渋谷TOEI他にて全国ロードショー!

「今の学校教育は、手の掛からない生徒の“心の摩耗”の上に支えられている――」一見普通に見える生徒達ほど、心の中には鬱屈したものを抱えていると感じている、黒縁メガネとループタイがトレードマークの悩める国語教師・鈴木先生(長谷川博己)。教育現場の常識を打ち破り、独自の<鈴木式教育メソッド>を駆使して、理想のクラスを作り上げようと奮闘しているが、妊娠中の妻・麻美(臼田あさ美)がいるにも関わらず、自身の“実験教室”に不可欠な“スペシャルファクター”となる女子生徒・小川蘇美(土屋太鳳)を重要視するうちに、良からぬ妄想をすることもしばしば。やがて、二学期が始まり、生徒会選挙と文化祭の準備に追われるなか、教育方針の対立により“壊れてしまった”天敵の家庭科教師・足子先生(富田靖子)が、休養から復活。さらに、ドロップアウトしてしまった卒業生・勝野ユウジ(風間俊介)が学校に立てこもり、小川が人質に取られるという史上最悪の事件が発生。 どうする、どうする、鈴木先生!?

出演:長谷川博己、臼田あさ美、土屋太鳳、風間俊介
田畑智子、斉木しげる、でんでん、富田靖子
夕輝壽太、山中 聡、赤堀雅秋、戸田昌宏、歌川椎子、澤山薫、窪田正孝、浜野謙太
北村匠海、未来穂香、西井幸人、藤原薫、小野花梨、桑代貴明、刈谷友衣子、工藤綾乃
原作:武富健治「鈴木先生」(双葉社刊/漫画アクション連載)
監督:河合勇人
脚本:古沢良太
音楽:大友良英
主題歌:androp「Rainbows」(WARNER MUSIC JAPAN/unBORDE/respire)
企画・制作プロダクション:ROBOT
製作:映画「鈴木先生」製作委員会(テレビ東京/角川書店/双葉社/ROBOT/電通/ミラクルヴォイス/テレビ大阪/GyaO!/ワーナーミュージック・ジャパン)
共同配給:角川書店/テレビ東京
配給協力・宣伝:ミラクルヴォイス

公式サイト:http://www.tv-tokyo.co.jp/suzukisensei/
公式twitter:http://twitter.com/SUZUKI_SENSEI
公式FACEBOOK:http://www.facebook.com/MOVIEsuzukisensei


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