黒澤明監督の『デルス・ウザーラ』
2011年3月に開催され好評を博したロシア映画を集めたプログラムの第2弾『100年のロシアPartII 旧ソ連映画特集』が9月17日(土)より渋谷アップリンク・ファクトリーで開催される。ロシアでも高い人気を誇る黒澤明が日露共作で1975年に完成させた『デルス・ウザーラ』をはじめ、当初予定されていた作品に加え、ソ連当局から公開禁止処分を受けながらも『フルスタリョフ、車を!』などを発表してきた巨匠アレクセイ・ゲルマン監督による3作品の上映が決定。開催期間も9月25日(日)まで延長されることになった。会期中には黒澤作品のスクリプターでありシベリアで撮影された『デルス・ウザーラ』のロケにスタッフとして参加した野上照代さんほかゲストによるトークも行われる。100年にわたる壮大なロシアの変遷、それを映画でめぐるこの企画で上映される各作品を紹介する。
上映作品
『デルス・ウザーラ』
監督:黒澤明
1975年アカデミー賞最優秀外国語映画賞/モスクワ国際映画祭グランプリ他
先住民族の猟師デルス・ウザーラとロシア人探検家アルセーニエフの交流を、世界のクロサワが、シベリアの大自然を背景に描いた壮大な物語。アルセーニエフの探検記が原作。
(1975年/141分)
日時:9/17(土)12:30(トーク付)|9/18(日)18:15|9/19(月祝)20:45|9/20(火)15:15|9/23(金)12:30|9/25(日)12:30
『機械じかけのピアノのための未完成の戯曲』
『機械じかけのピアノのための未完成の戯曲』
監督:ニキータ・ミハルコフ/原作アントン・チェーホフ
1977年サン・セバスチャン国際映画祭金の貝殻賞
チェーホフの戯曲「プラトーノフ」をもとにした才気あふれる作品。19世紀末の没落貴族の退廃的な暮らしを背景に、描かれる人間喜劇。ミハルコフの名前を世界に知らしめた。
(1976年/102分)
日時:9/18(日)10:15|9/19(月祝)18:15|9/23(金)20:45|9/24(土)15:15
『メキシコ万歳』
『メキシコ万歳』
監督:セルゲイ・エイゼンシュテイン
1979年モスクワ国際映画祭名誉金賞
後世に多大な影響を与えた傑作「戦艦ポチョムキン」で知られるエイゼンシュテインが、メキシコ2000年の歴史を描いた。1931年から1932年にかけてメキシコで撮影したままに残されていたフィルムを、エイゼンシュテインの同僚アレクサンドロフが47年後に編集して完成させた伝説の映画。
(1931~1979年/88分)
日時:9/17(土)20:45|9/18(日)12:30(トーク付)|9/23(金)10:15
『モスクワは涙を信じない』
『モスクワは涙を信じない』
監督:ウラジーミル・メニシェフ
1981年アカデミー賞最優秀外国語映画賞/文化庁芸術祭優秀賞
モスクワに暮らす3人の若い女性の20年間に及ぶ、恋愛・不倫・未婚の母・友情・悩みなどを描き、ソ連国内で6500万人という驚異的な動員を記録した映画。
(1979年/140分)
日時:9/18(日)15:15|9/20(火)12:30|9/24(土)12:30
『誓いの休暇』
『誓いの休暇』
監督:グリゴーリ・チュフライ
1960年カンヌ国際映画祭最優秀作品賞・最優秀青少年映画賞/サンフランシスコ国際映画祭監督賞/ロンドン国際映画祭監督賞他多数受賞
戦場で功績をたてて6日間の休暇を与えられた若い兵士アリョーシャは、往復2日間かかる故郷の母のもとに向かうが、その道のりは遠かった……。世界中で絶賛された感動作。
(1959年/84分)
日時:9/17(土)10:15|9/18(日)20:45|9/22(木)15:15
『ベルリン陥落』
『ベルリン陥落』
監督:ミハイル・チアウレリ/音楽ドミトリー・ショスタコーヴィチ
1949年スターリン賞第一席/1950年カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭最優秀作品賞
第二次世界大戦の東部戦線を旧ソ連側から描いた戦争スペクタクル。スターリンの神格化が問題となり、一時は映画の存在すら否定されていた!
(1949年/152分)
日時:9/19(月祝)12:30|9/22(木)12:30
『鶴は翔んでゆく』
『鶴は翔んでゆく』
監督:ミハイル・カラトーゾフ
1958年カンヌ国際映画祭グランプリ・最優秀女優賞/フランス映画高等技術賞
ヴェロニカとボリスは愛し合っていたが戦争が二人を引き裂いた。ボリスは出征し、ヴェロニカは爆撃で両親を失う。そして、戦争が終わってもボリスは帰らなかった……。戦争の非情さを背景に愛をみずみずしく描き、世界的に大ヒット。当時の日本公開題名は「戦争と貞操」。
(1957年/96分)
日時:9/19(月祝)10:15|9/20(火)20:45|9/23(金祝)18:15
『復活』
『復活』
監督:ミハイル・シヴェイツェル/原作:トルストイ
1962年ロカルノ国際映画祭最優秀女優賞/国際批評家連盟賞
中年以上の年齢の人々には「カチューシャ可愛いや~」の歌で知られる、文豪トルストイ原作による小説の映画化。2001年には『カオス・シチリア物語』等で知られるイタリアのタヴィアーニ兄弟によって再映画化され、日本でも公開された。
(1960~1961年/166分)
日時:9/19(月祝)15:15|9/23(金祝)15:15
『大祖国戦争』
『大祖国戦争』
監督:ミハイル・シヴェイツェル/原作:トルストイ
1942年、パルチザン部隊に投降した一人のロシア兵士。彼はかつてドイツ軍に寝返ったことを後悔していたが、部隊内では裏切り者への厳重な処罰を主張する者もいる。果たして彼は汚名をそそぐことができるのか……。徹底したリアリズムでドキュメンタリーのように描かれる第一級のサスペンス。15年間上映禁止に!
(ドキュメンタリー/1965年/137分)
日時:9/17(土)18:15|9/20(火)18:15|9/21(水)12:30(トーク付)
『道中の点検』
『道中の点検』
監督:アレクセイ・ゲルマン
1987年ベオグラード国際映画祭最優秀男優賞
1942年、パルチザン部隊に投降した一人のロシア兵士。彼はかつてドイツ軍に寝返ったことを後悔していたが、部隊内では裏切り者への厳重な処罰を主張する者もいる。果たして彼は汚名をそそぐことができるのか……。徹底したリアリズムでドキュメンタリーのように描かれる第一級のサスペンス。15年間上映禁止に!
(モノクロ/1971年/97分)
日時:9/20(火)10:15|9/25(日)15:15
『戦争のない20日間』
『戦争のない20日間』
監督:アレクセイ・ゲルマン
1977年ジョルジュ・サドゥール賞(仏)受賞
第二次世界大戦まっただ中の1942年暮れ、従軍記者ロバーチンは休暇を利用して中央アジアのタシケントに行く。妻との離婚、従軍記の映画化、新たな恋など、さまざまな人との出会いが抒情溢れる映像で描かれる。本作は小規模ながらソ連で公開された後、フランスでも公開。絶賛され、ゲルマンの名を西欧社会に印象付けた!
(モノクロ/102分/1976年)
日時:9/22(木)10:15|9/25(日)10:15
『わが友イワン・ラプシン』
『わが友イワン・ラプシン』
監督:アレクセイ・ゲルマン
1986年ロカルノ国際映画祭銅豹賞・FIPRESSI賞受賞
スターリンの粛清が始まる前の1930年代、ソ連の田舎町。殺人鬼ソロビヨフを追う刑事ラプシンは、女優のナターシャと出会う。彼はナターシャに心を寄せるが、彼女はラプシンの友人でジャーナリストのハーニンに好意を持っていた。だが、ハーニンはソロビヨフと素手で渡り合った後、町を出てゆく……。
(カラー/98分/1984年)
日時:9/21(水)10:15|9/24(土)10:15
日時:2011年9月17日(土)~9月25日(日)
会場:渋谷アップリンク・ファクトリー
料金:当日一般¥1,200/シニア¥1,000/UPLINK会員¥800
前売一回券¥1,000/三回券¥2,700/パスポート¥7,000(50枚限定)
※前売券は、9/24(土)・9/25(日)の延長期間中もご利用いただけます。
トークショー開催!
2011年9月17日(土)『デルス・ウザーラ』上映前
ゲスト:野上照代さん(黒沢作品スタッフ/『母べえ』原作者)
2011年9月18日(日)『メキシコ万歳」上映前
ゲスト:植草信和さん(元「キネマ旬報」編集長)
2011年9月21日(水)『大祖国戦争』上映後
ゲスト:下斗米伸夫さん(法政大学教授・ソビエト政治史)
協力:ロシア文化フェスティバル/アイ・ヴィー・シー
企画:パンドラ