(c) 2010 PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.
これまで『ビッグ・リボウスキ』(1998年)をはじめとして、ひどい目に巻き込まれる主人公を中心に、そのついていない人物像を丁寧に描くことで、その翻弄される生き方をユーモアに変化させる。『トゥルー・グリット』で言えば、父親を殺された少女マティ・ロスがそれに当たる。誰もが『ビッグ・リボウスキ』のデュードを連想するであろう、ジェフ・ブリッジス演じる酒に目がない連邦保安官ルースター・コグバーンと、正義感が強いがどこか抜けているマット・デイモン扮する連邦保安官を従えて復讐への旅を続けていく。明晰な頭脳と行動力を持つ子供であることを端的に観客に伝えるエピソードの積み重ねを、街角での死刑シーンをはじめとした西部開拓期の人々の生活の描写とともに淡々と続けていく。
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『バートン・フィンク』(1991年)よりタッグを組むロジャー・ディーキンスによる撮影は、舞台となる平野を徹底的に荒涼とした風景として映し、大仰な銃撃シーンを極力廃し、父親殺しの犯人の追跡そのものを主題にするのではなく、そこまでの過程で生まれる、3人の主人公の関わりあいのなかから、コーエン兄弟は勧善懲悪の枠組みをとっぱらう試みを行う。アメリカの原風景とも言えるストーリーを脱構築することにより、コーエン兄弟作品にある解りやすいブラックユーモアは影を潜め、語り部となる大人となった少女の口調からも苦渋の色が濃いことも、今作をこれまでのコーエン兄弟作品とは異なるタッチであることを示している。
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映画『トゥルー・グリット』
3月18日(金)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズ他全国公開
キャスト:ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン、バリー・ペッパー、ブルース・グリーン、ヘイリー・スタインフェルド
監督・脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
製作:スコット・ルーディン、ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ
原作:チャールズ・ポーティス
撮影:ロジャー・ディーキンス
音楽:カーター・バーウェル
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
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