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演劇からオペラ、そしてコンサートまで、あらゆるジャンルの舞台芸術で世界的な評価を得る演出家ロベール・ルパージュ。そんな彼の4年ぶりとなる来日公演『The Blue Dragon-ブルードラゴン』が2010年11月11日(木)~14日(日)東京芸術劇場にて行われる。
シルク・ドゥ・ソレイユ『KA』『TOTEM』でエンタテインメントの頂点を極めたかと思えば、この秋にはニューヨーク メトロポリタンオペラでワグナーの『ニーベルングの指輪』を演出するという、まさに全ジャンルの舞台芸術を自在に操るルパージュが4年ぶりに行う来日公演。
(c) Louise Leblanc
今回は世界中にセンセーションを巻き起こした『The Dragon's Trilogy(ドラゴンズ・トリロジー)』からのスピンオフ作品で東京芸術劇場に登場。映像などのテクノロジーと生身の身体表現をダイナミックに織り交ぜ、アイデアと驚きに満ちたスペクタクルを展開する。
急激な変貌を遂げる現代の上海。そこでギャラリーを開いているピエール、中国人アーティスト シャオ・リン、ピエールのかつての恋人で広告代理店幹部クレールの3人を中心に、現在と過去、そして未来をめぐる物語が展開。
(c) Yanick MacDonald
9時間にも及ぶ壮大な作品だった『Dragon's Trilogy』とはうってかわり、キャスト3名によるこの『The Blue Dragon-ブルードラゴン』は、繊細な人間関係の中に現代中国、ひいてはアジアの抱える問題と未来を映し出す、大人のためのエンタテインメントだ。ときにユーモアをまじえた語り口は、観客の呼吸を知り尽くした天才演出家のゆとりすら感じさせる。
(c) Érick Labbé
そして何といっても見どころはルパージュの代名詞ともいえるビジュアルセンス。書をはじめとするアジアの伝統と先端都市の風景を交錯させ、クールで幻想的なシーンを次々に繰り広げ、空港からアパート、ギャラリー、そして屋外の風景まで、アイデアに満ちた演出で詩的に表現。またシンガポール出身のダンサー、タイ・ウェイ・フォーの舞踊にも注目したい。アジアの伝統舞踊とコンテンポラリー・ダンスを融合した舞が、ルパージュ作品の美しさをいっそう引き立て、観客を幻想の世界へと誘う。
『The Blue Dragon-ブルードラゴン』は11月11日(木)から14日(日)まで東京芸術劇場の中ホールで上演される。芸術性とエンタテインメント性を見事に両立させたルパージュの世界をぜひこの機会に体感したい。
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ロベール・ルパージュ『The Blue Dragon-ブルードラゴン』
2010年11月11日(木)~14日(日)東京芸術劇場中ホール
料金:S席6,500円 A席4,500円 ※65歳以上の方はS席半額、25歳以下の方はA席半額割引あり。
ロベール・ルパージュ『The Blue Dragon-ブルードラゴン』※3カ国語上演・日本語字幕付き
作:マリー・ミショー/ロベール・ルパージュ
演出:ロベール・ルパージュ
出演:マリー・ミショー、アンリ・シャッセ、タイ・ウェイ・フォー
製作:エクス・マキナ
※詳細は特設サイトへ
アーティストプロフィール
作・演出
ロベール・ルパージュ
1957年カナダのケベック州生まれ。10代の頃、伝説のロックバンド・ジェネシスのステージを観て、舞台演出家を志す。舞台に映像表現を取り入れた先駆者として一世を風靡。最新のテクノロジーを積極的に取り入れる一方、東洋の文化、とりわけ日本の伝統芸能への造詣の深さを活かした演出も得意とする。卓抜した芸術性とエンタテインメント性の融合によって演劇以外のジャンルでも活躍し、世界のアートシーンで目を離すことができない存在である。2007年には、かつてピーター・ブルックやピナ・バウシュも受賞したEurope Theatre Prizeを受賞。
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※主な作品
<演劇作品>『アンデルセン・プロジェクト』(06年/世田谷パブリックシアター)、『月の向こう側』(02年)『ポリグラフ~うそ発見器』(96年/当劇場で開催のTOKYO演劇フェア'96参加作品)『HIROSHIMA-太田川七つの流れ』(95年/シアターコクーン)『テンペスト』(93年/東京グローブ座 主演:狂言師・野村萬斎)
<他ジャンルの演出作品>『女形(Eonnagata)』主演:シルヴィ・ギエム(バレエ)、『放蕩者のなりゆき』ベルギー・王立モネ劇場 指揮:大野和士(歌劇)、シルク・ドゥ・ソレイユの『KA』『TOTEM』、ピーター・ガブリエルのコンサート『シークレット・ワールド・ライブ』『グローイング・アップ・ライブ』
出演者
マリー・ミショー
1982年にケベック州立高等演劇学院を卒業後、Theatre Repereに6年間所属。過去数回にわたりルパージュ演出作品への出演経験があり、『ドラゴンズ・トリロジー』ではルパージュと共同執筆した他、同作ジャンヌ役でFTA最優秀女優賞を受賞。即興で演じることが得意で、国際的な俳優との共演も多い。
※主な出演作:『The IIiad』(演出:Alexis Martin)、『La Locandiera』(作:Carlo Goldoni)『Desordre Public』(作:Evelyne de la Cheneliere)、『ロベルト・ズッコ』(作:Bernard Marie Koltes)、『Old Masters』(作:Thomas Bernhard)他
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アンリ・シャッセ
舞台・テレビ・映画で活躍、古典・現代いずれの作品への出演も多い。舞台作品ではTheatre du Nouveau Monde(カナダ・モントリオールの劇場)での作品が多く、『La fausse suivante』 『L'avare』『マクベス』『オデュッセイア』等に出演。2002年には、『Le monde de Charlotte』でのLouis役が、Gemeaux Awards(カナダのテレビ界で活躍するフランス系カナダ人に贈られる賞)のベストパフォーマンスに選ばれた。
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タイ・ウェイ・フォー
シンガポール出身で、伝統的なダンスとモダンダンスを学ぶ。1997年、シンガポールのダンスカンパニーTampines Arts Troupeに参加。2004年には中国の泉州やスリランカでも公演を行った。2005年からはケベック州立高等ダンス学院でコンテンポラリー・ダンスを学び、伝統的な中国のダンスを数多く上演した。『The Blue Dragon-ブルードラゴン』は女優として最初の出演作で、本作品の全ての振付を担当している。