アンヴィルの登場に騒然となるステージ前付近
10月24日(土)より公開となるドキュメンタリー映画『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』の試写会が、10月20日(火)お台場Zepp Tokyoにて開催。本編上映後にアンヴィル本人が登場し、予期せぬライヴ・パフォーマンスを披露した。 アンヴィルは映画本編上映のエンドロールが終わった直後に登場。終了と同時にスクリーンが上がり、ステージにスペシャル・ゲストのアンヴィルが現れると、会場を埋め尽くしたおよそ1,000人の観客がステージ前に押し寄せる状況となり、Zepp Tokyoの場内は一時大騒乱となった。アンヴィルが代表曲「メタル・オン・メタル」を演奏すると、前方に殺到した観客を中心にして場内はたちまち興奮に包まれた。
試写会場に突然登場しライヴを行ったアンヴィル
他にもこの日は上映前に今作を支持するTOKIOの長瀬智也によるビデオコメントの上映、そしてアンヴィルとガバシ監督によるトークが行われた。
「キアヌは今日ここに来るはずだったんだ」
サーシャ・ガバシ監督トーク
襟川クロ(以下襟川): さてそれではこの映画をお撮りになりました、サーシャ・ガバシ監督をお迎えしましょう。
サーシャ・ガバシ監督(以下ガバシ監督): (会場からの大きな声援に)まだなんにもしていないのに、こんな拍手をいただいて申し訳ありません。
襟川:(革ジャンを着たガバシ監督に)今日のファッションはロックンローラーですね!
ガバシ監督:すっかりロックです(笑)。
襟川:ところで、今回のアンヴィルのドキュメンタリーをなぜお撮りになろうと思ったのですか?
ガバシ監督:最初のきっかけは16歳のとき、彼らの音楽にすぐ惹かれて大ファンになって、その結果彼らのローディーとしてツアーにずっと付いていくという経験を青春時代にしました。それ以来、一度もアンヴィルのことを忘れたことはありません。それからあっという間に20年という月日が流れました。その間彼らとはまったくコンタクトをとっていなかったんですけれど、ふとしたことから彼らに連絡をとったところ、メンバーのリップスもロブもまったく変わらなくて、すごく熱いものを胸に持ったまま、ずっとその情熱を抱きつづけたまましっかり活動を続けていたんです。そんな素敵な彼らに出会った時、これこそ私が求めていたストーリーなんだと思いました。
襟川:その求めていたストーリーがアメリカで上映されて、見事に話題になりました。
ガバシ監督:信じられないですね。私の友達はもちろん、多くのヘヴィメタル関係者だけでなく、俳優の方々や多くのアーティストまで、本当に想像以上の反響をみなさんからいただきました。その中のひとりがキアヌ・リーブスなんです。実は彼はロンドンで一年前にオープニングのこのような場で出て応援団長として来てくれたんですけれど、それからアメリカでのオープニングにもやはり来てくれました。そして実は、今日も本当は彼はここに立っているはずだったんです。彼自らここに来たいと言ってくれていたんですけれど、私が脚本を書いた映画(『Henry's Crime』)の撮影がもう間もなく始まるということで、どうしてもスケジュールがとれなかったんです。なので、ここで彼から預かってきたメッセージをみなさんにお伝えしたいと思います。「ぜひ皆さんも2009年度の僕のいちばんお気に入りの映画を心から楽しんでください」!
襟川:すごいですね!ところでこの映画がキアヌ・リーブスさん、ダスティン・ホフマンさん、マイケル・ムーアさんなどなど蒼々たる皆さんたちのハートを掴んでいるムーヴメントになってしまったのは、なぜだと思われますか?
ガバシ監督:それは、多くの方が共感できるものがこの映画にあるからだと思います。有名無名関係なく、もし夢を持っているなら、そしてなにかをなし得ようと日々戦い続けているなら、この映画はヘヴィメタルという枠を越えて、それ以上の多くの人の心に届くものじゃないかと思います。皆さんのなかにも、もっと大きなものに憧れ、そしてそれをなんとか自分の手に入れようとがんばっている人はいっぱいいると思います。そういう方の心に届く作品だったんじゃないかと思います。
襟川:皆さんもきっと今夜は、心に届いて愛がいっぱいになってお帰りになると思います。
(左より)MCの襟川クロさん、サーシャ・ガバシ監督、リップス、ロブ、G5
「あらゆるものを越えた友情あるいは家族の物語」(ガバシ監督)
襟川:アンヴィルは日本での久しぶりのライヴ、06年のラウドパーク以来の来日ですが、いかがですか?
スティーヴ・"リップス"・クドロー(以下リップス):今まで日本には何度も来ました。84年のスーパーロックも良かったし、2006年もすばらしかったけれど、今年がやっぱりいちばんアメイジングです!
襟川:先ほどサーシャ監督がおっしゃったんですけれど、アンヴィルが映画になるということで、被写体体験、いかがでしたか?
リップス:監督が「僕がカメラを持って君たちをめちゃめちゃ付いて回って全部撮りまくりたいんだけど」って言った時に、「これはすごくおもしろくなるんじゃないか、絶対楽しいからやろうぜ!」って気持ちになったよ。
襟川:でも実際、表も裏も全部見せてくれたわけでしょ、ご自身たちのハラハラするようなケンカのシーンとか、ある意味サスペンスフルな場面もありましたが?
リップス:あらゆるところに付いてきただけじゃなくて、トイレの外で音を拾われたときにはさすがに「ちょっと待ってよ」という感じだったね(笑)。
襟川:今日はこんなスタンディングの状態で、いつもの映画と全然雰囲気が違って、たぶん映画ファンの皆さんはアンヴィルのエネルギーにのみ込まれちゃってるなって雰囲気がします。ガバシ監督は実際にずっと付き添っていらっしゃいましたが、被写体としてのアンヴィルの魅力や大変だったことを教えてください。
ガバシ監督:皆さんご覧になっていただいてお解りの通り、ほんとうに最高の人たちです。音楽家としても最高だし、人間としても最高の人たちです。一般的に「あ、ヘヴィメタルね」みたいな先入観や偏見を持つ人がいるかもしれません。しかし、ここに映されている全ての真実を見たときに、あらゆるものを越えた友情あるいは家族の物語がここにあって、皆さんが自分を照らし合わせて、自分たちのものとして見ていただけるものじゃないかと思ったんです。
襟川:たぶん今日のこの会場の前半分は大変なアンヴィルファンで、後ろの方は映画ファン。そういう全部を取り込んでしまうという魅力があるということですね。実は私も映画に登場する84年の西武球場に行っていたんですよ。それもDJだったんです。だから実はアンヴィルと共演しているんです。私もオープニングのシーンのどこかにいたんですよ。それから25年経ってますけれど、未だに現役で活動しているなんてすごいですね。
ガバシ監督:映画を観ていただいてお解りになると思うのですが、この映画で日本はとても大切な役割を果たしています。つまり皆さんはアンヴィルにとってのヒーローなんです。日本の皆さんに心から感謝を言いたいと思います。ほんとうにありがとうございます。
襟川:ありがとうございます。最後にアンヴィルのメンバーそして監督から今日のこのエネルギッシュな会場のへの思い並びにメッセージがありましたら、お願いします。
リップス:ひとついいメッセージがあるんです。来年またやってきて皆さんにお会いしたいと思っています。
ロブ・ライナー:心から日本の人たちが大好きです。だからここにまた帰ってきて皆さんの前でロックンロールできることが楽しみです。
G5:ほんとうに心から愛しています。そして日本の皆さんの存在がなければこの映画はなかったと思っています。ありがとうございます。
ガバシ監督:僕の本当に言いたいメッセージは全てこの映画の中にぎっしりと詰められています。しかしあえてここでひとつ言わせていただくなら、ソニー・ミュージックと配給会社のアップリンクに心からお礼を申し上げたいと思います。ソニー・ミュージックは一年も前に映画を観て、ロサンゼルスに来て、そしてその映画を日本の皆さんに届けようと努力して僕たちを支えてくれました。そして今回聴いてもらった「メタル・オン・メタル」は実は彼らの新しいアルバム『ディス・イズ・サーティーン』にボーナス・トラックとして入っています。だからぜひCDやTシャツを買って、ソニーやバンドを支えてあげてください(笑)。
アンヴィルの登場に熱狂するファン
さらに鳴りやまぬ歓声に応え、アンヴィルは予定にはなかったアンコール曲を10月21日に発売となる最新アルバム『This Is Thirteen ~夢を諦めきれない男たち~』から演奏。ライヴさながらの熱い試写会は幕を閉じた。(文:駒井憲嗣 写真:畔柳雪子)
映画『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』
2009年10月24日(土)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ川崎、TOHOシネマズららぽーと横浜、吉祥寺バウスシアターほかにて公開
監督:サーシャ・ガバシ
出演:スティーヴ・“リップス”・クドロー(ANVIL)、ロブ・ライナー(ANVIL)、ラーズ・ウルリッヒ(Metallica)、レミー(Motorhead)、スコット・イアン(Anthrax)、スラッシュ(元Guns N'Roses/Velvet Revolver)、トム・アラヤ(Slayer)ほか
配給:アップリンク
2009年/アメリカ/81分
公式サイト
公式twitter
公式MySpace
アンヴィル
『This Is Thirteen~夢を諦めきれない男たち~』
映画のサウンドトラック的ニューアルバム
2009年10月21日(水)リリース
SICP-2416
2,520円(税込)
Sony Music Japan International
★ご購入はコチラから