骰子の眼

cinema

東京都 千代田区

2009-09-18 16:30


「アメリカの実像を垣間見せるリアリティがあり、胸をうつ力強さがある」─『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』クロスレビュー
(C)2008 The Weinstein Company, LLC All Rights Reserved

ハリソン・フォードが移民局の捜査官を務め、これまでのヒーロー像とは趣を変えた魅力を発揮する映画『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』が2009年9月19日より公開される。

現在、全米で1,100万人と言われている不法滞在者。今作はオバマ大統領就任後も依然として問題となっている国境を越えていこうとする人々の問題について、鋭くえぐった映画だ。監督そして脚本を担当するウェイン・クラマーは、これまでどんでん返しがサイコスリラー・ファンの間で話題を呼んだ「マインドハンター」(2004年)の脚本を務め、その後アクション『ワイルド・バレット』(2006年)のメガホンをとるという経歴を持つ。今作の堅実な演出と語り口、そして息をつかせぬアクション映画、サスペンスとしての高いクオリティにより、タランティーノからも絶賛を寄せられている。

Crossing Over
(C)2008 The Weinstein Company, LLC All Rights Reserved

この映画の成功は、ハリソン・フォードという唯一無二の個性を持つスターアクターを起用しながら、決して彼の存在感だけにおもねらず、舞台となるロサンゼルスの風土、そしてグローバル化を遂げた社会におけるテーマ性を、エンターテインメントとしてフィルムに残していることであろう。主人公の捜査官マックス・ブローガンを中心に、アシュレイ・ジャッド演じる人権派の移民弁護士デニス・フランケル、移民判定官コールを演じるレイ・リオッタ、ジム・スタージェスによるミュージシャンを目指す講師ギャビンをといった周囲をとりまく人物との関係を多角的に描き、人間ドラマとしても非常に見ごたえのある内容となっている。



『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』
2009年9月19日(土)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー

監督/脚本:ウェイン・クラマー
出演:ハリソン・フォード、レイ・リオッタ、アシュレイ・ジャッド、ジム・スタージェス、他
2008年/アメリカ/113分
提供:博報堂DYメディアパートナーズ、ショウゲート 配給:ショウゲート
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