2009年3月までの全8回のレクチャーには、東京に関わりをもって活動し続けてきた美術家や研究者、起業家などのゲスト講師を招いたトーク、そして参加者を交えたディスカションを展開。ほかにも80年代よりセゾン文化の隆盛を担ったクリエイティブ・ディレクター小池一子と、宮島達男やジュリアン・オピーといった第一線の現代美術作家をフィーチャーしてきたアート・ギャラリーSCAI THE BATHHOUSEの白石正美を迎える第2回や、11月には、常にアート以外のシーンも巻きこんでセンセーショナルな表現を続ける芸術集団Chim↑Pomなどが所属する無人島プロダクションの代表・藤城里香氏と、『webDICE』編集長の浅井隆が講師を務めるなど、普段では見られない組み合わせも多く、毎回異なるフィールドで活動する人たちによるスリリングな対話が期待できそうだ。
8月23日に開催される第1回は、「東京の解像度」をテーマに、都市の地下世界で織り成される闇と光を捉えた写真集『アンダー・グラウンド』などで知られる写真家の畠山直哉と、80年代からゼロ世代に至る思想やサブカルチャーを俯瞰した『ストリートの思想』を7月に上梓、東京芸術大学音楽学部音楽環境創造科准教授であり、社会学者でもある毛利嘉孝がゲスト講師として登場。東京を物質的なものと捉えたときに、距離を置くことで見えてくる「固い」東京と、人々の考えや身体がぶつかる「生々しい」東京。「潜る」、「飛ぶ」、「這う」をキーワードに、写真家と社会学者が東京像に迫る。
このシリーズは、東京の様々な人・まち・活動をアートで結ぶことによって、新たな文化を創造・発信する「東京アートポイント計画」の一環として、今年初めて開催される。キュレーターやアート・オーガナイザー6名が現代アートと視覚文化を考えるための場作りを目的として設立したNPO団体、Arts Initiative Tokyo(AIT/エイト)と、東京文化発信プロジェクト室(財団法人東京都歴史文化財団)、東京都による共催。
『Tokyo Art School』第1回
2009年8月23日(日)13時~16時
会場:ヒルサイドプラザ(東京都渋谷区猿楽町29-10)
時間:13:00~16:00(開場12:30)
入場料:一般1,000円/学生・AITメンバー800円
定員:100名(要予約・先着順)
※予約・その他詳細は、公式サイトから
講師:
畠山直哉(写真家)
筑波大学大学院芸術研究科修士課程修了。1997年に写真集『ライム・ワークス』および写真展「都市のマケット」により第22回木村伊兵衛賞受賞。2001年には、「ヴェネチア・ビエンナーレ」に日本代表として選ばれる。同年、写真集『アンダー・グラウンド』により第42回毎日芸術賞を受賞。一貫して、近代という時代性と都市の問題に関わっている。
photo by: Tim Macmillan
毛利嘉孝(東京芸術大学音楽学部音楽環境創造科准教授/社会学者)
ロンドン大学ゴールドスミスカレッジPh.D(社会学)取得。専攻は社会学・文化研究。特に現代美術や文化と都市空間の編成や異文化理解をテーマに、幅広く執筆や講演などを行う。主著に『文化=政治』(月曜社)、『ポピュラー音楽と資本主義』(せりか書房)、近刊本に、『ストリートの思想』(NHK出版)などがある。
第2回以降の開催日とテーマ、講師:
・2009年9月19日(土)オルタナティブ・スペースの歴史小池一子(クリエイティブディレクター)×白石正美(SCAI THE BATHHOUSE代表)
・2009年10月17日(土)はじっこから東京を考える
坂口恭平(建築探検家)×萱野稔人(津田塾大学学芸学部国際関係学科准教授
・2009年11月22日(日)プロダクションという方法
浅井隆(有限会社アップリンク社長/映画プロデューサー/webDICE編集長)×藤城里香(無人島プロダクション代表)
・2009年12月12日(土)特殊な東京
アンドリュー・マークル(フリーライター/編集者)×マーク・ダイサム(クライン ダイサム アーキテクツ(KDa)/建築家)
・2010年1月16日(土)『壁』の無い東京へ
塚本由晴(アトリエ・ワン/建築家)×安冨歩(東京大学東洋文化研究所教授/社会科学者)
・2010年2月20日(土)共生のための環境へ
藤浩志(美術家)×飯島博(NPO法人アサザ基金 代表理事)
・2010年3月13日(土)テクノロジー・情報・身体
藤高晃右(Tokyo Art Beat・NY Art Beat共同設立者)×ドミニク・チェン(NPO法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン理事/株式会社ディヴィデュアル共同)