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いまは亡き偉大なサルサ歌手エクトル・ラボーの生涯を描いた映画『エル・カンタンテ』。音楽界での成功を夢見て、17歳で故郷プエルトリコからニューヨークにやって来たエクトルは、情感あふれる美声でナイトクラブに集まる人々を魅了し、60年代後半のサルサムーブメントに乗って瞬く間にスターへの階段を駆け上がっていく。しかし、歌手としてのまばゆい栄光の影で、私生活は破滅の一途を辿っていった。ドラッグや酒に溺れ、約束を破り、かけがえのない家族を失い、やがて自殺未遂まで……。20年間連れ添った妻ですら、彼を深い闇から救い出すことができなかった。
それでも、いかなる時も彼は歌い続けた。そして人々は彼を愛し、求め続けた。なぜ彼の歌はこれほどまでに人の心を震わせ、胸をかきむしるのか? その答えは、映画の中にある。
自分たちのルーツ、ラテン音楽の偉大なアーティストであるエクトル・ラボーの歌を現代に蘇らせたい。『エル・カンタンテ』は、ジェニファー・ロペスのそんな情熱から生まれた映画である。女優・歌手としてショウビズ界のトップに君臨しながら、一貫してニューヨリカン(NYのプエルトリカン)魂にこだわってきた彼女は、自身の制作会社、その名も「ニューヨリカン・プロダクションズ」の第一回作品に本作を選び、エクトル役にサルサ界の若き帝王、マーク・アンソニーを指名。マークは、エクトルの色気とステージカリスマを完璧に体現し、映画を成功に導いただけでなく、サントラ盤をビルボード・ラテン・チャートで堂々の一位に送り込むという快挙をも成し遂げた。
映画の語り部であるエクトルの妻プチに扮するのは、プロデューサーのジェニファー本人。情が厚く気性の激しいプチ役を、フェロモンと迫力たっぷりに演じて圧巻だ。監督は、ルベン・ブラデス主演でサルサ歌手の栄光と挫折を描いた『クロスオーバー・ドリーム』(85)や、ストリート詩人ミゲル・ピニェロの伝記映画『ピニェロ』(01)などで知られ、“ラテン系NY映画の詩人”の異名を持つキューバ出身のレオン・イチャソ。
『エル・カンタンテ』
2009年7月25日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
監督:レオン・イチャソ
出演:マーク・アンソニー、ジェニファー・ロペス、ジョン・オルティス、他
2006年/アメリカ/114分
配給・宣伝:アートポート
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