骰子の眼

cinema

東京都 世田谷区

2009-05-17 19:30


こんな話、誰も思いつかない!妙に心に残ってしまう一作『ウルトラミラクルラブストーリー』クロスレビュー

「感覚と理性、不条理と常識、マスとコアなど様々な壁を易々と乗り越えた、脱農薬、脱脳味噌映画の最高峰」―いち早く本作を観たwebDICEユーザー皆が大絶賛!
こんな話、誰も思いつかない!妙に心に残ってしまう一作『ウルトラミラクルラブストーリー』クロスレビュー
2009「ウルトラミラクルラブストーリー」製作委員会

前作の自主映画『ジャーマン+雨』で、2007年度日本映画監督協会新人賞を受賞し数えきれないほどの賛辞を集めた映画界の超新星・横浜聡子監督がついにメジャーデビューを果たした作品『ウルトラミラクルラブストーリー』。出身地・青森県を舞台にした全篇津軽弁の脚本で、同郷の松山ケンイチに陽人役をオファー、まさかの青森出身監督×青森出身俳優×全篇津軽弁×オール青森ロケが実現した。

ウルトラミラクルラブストーリー01

主演は、『デトロイト・メタル・シティ』『人のセックスを笑うな』など作品ごとにまったく違う表情を見せる松山ケンイチ。新たに挑んだのは、故郷・青森を舞台にしたヘンテコ農業青年の恋のおはなし。全篇津軽弁のセリフを伸び伸びと言い放ち、プリミティブな身体であちこちに飛び跳ねて、スクリーンいっぱいに陽人の生の輝きを満たしている。その圧倒的な存在感は昨今の日本映画に類を見ないほど。

そして主役の陽人(ようじん)に慕われながらも元カレのトラウマから抜け出せない、少しヘンで秘密めいた東京の女・町子に麻生久美子が出演。暗さと奇妙さ、母性と狂気、様々な要素を内包する町子をしなやかに演じきり、衝撃のラストを締める。
他に、陽人の幼なじみで性格の悪い太(ふとし)役に人間の可笑しみと狂乱を描く劇団「はえぎわ」率いるノゾエ征爾(せいじ)や、映画史上稀に見るまさかの役に出演を快諾したARATAなど若手最有力俳優が登場。さらに陽人の祖母であり強靭な精神の持ち主・もつ役に渡辺美佐子、どこかとぼけた町で唯一の老医者・三沢役に原田芳雄、インチキくさいけど時々本当っぽい占い師・カミサマ役に藤田弓子など、超ベテラン俳優も見事集結!


ウルトラミラクルラブストーリー02

【ストーリー】
青森で農業をしながら一人で暮らす子どもみたいな青年・水木陽人(みずきようじん)。畑のキャベツは青虫のせいで今日も穴だらけだ。ある日陽人は、東京からやって来た保育士の町子に生まれてはじめての恋をした。けれど町子が青森に来たのはカミサマと呼ばれる占い師に会うため。なぜなら事故で死んだ元カレの首がまだ見つかっていないから…。でも陽人はそんな噂なんておかまいなし。町子先生と両思いになりたい!その気持ちだけで幼稚園に出向いては町子に迷惑ばかり掛けている。ある日、畑で遊んでいるときに陽人の身体に“ある出来事”が起きる。いつもの陽人をほんの少し変えるその出来事は、次から次へとあり得ない事態を巻き起こして─。



『ウルトラミラクルラブストーリー』
2009年6月6日(土)より、ユーロスペース、シネカノン有楽町、シネマート新宿他にて全国順次ロードショー

脚本・監督:横浜聡子
出演:松山ケンイチ、麻生久美子、ノゾエ征爾、ARATA、藤田弓子、原田芳雄、渡辺美佐子、他
2009年/日本/120分
配給・宣伝:リトルモア
公式サイト


レビュー(5)


  • しもちゃんさんのレビュー   2009-04-02 02:25

    究極の片想いが起こすミラクルなストーリー

    青森県を舞台にした、全編津軽弁の映画。 正直、訳がないと、会話を全部理解するのは無理かも。。。 子供がそのまま大きくなったような、落ち着きのない、どこか足りないような気もする青年・水木陽人(松山ケンイチ)。 農業を営み、近くに住む祖母と質素...  続きを読む

  • まろうさぎさんのレビュー   2009-04-02 23:37

    ヘンな監督×タダモノじゃない俳優 どっちの脳ミソも見てみたい

    「野獣のような」と横浜監督自ら言ったこの映画。まさに、野獣のように荒々しくて、純粋で、現代人ではとまどってしまうばかりの野性の魅力。水と木と太陽の自然人、水木陽人(松山ケンイチ)。彼の言動は、ヒトが獣だったころのパワーに満ち溢れ、彼はとにかく走り、叫...  続きを読む

  • 後三条町さんのレビュー   2009-04-11 09:19

    脳が揺すぶられる映画

    その強烈な個性は脳を激しく揺さぶるため、もしかしたら好き嫌いが分かれるかもしれません。 しかし、生命力を与えてくれる映画、見ると得する映画です。 日本だけでなく、ぜひ、世界中に観てほしいと感じました。 薄暗い部屋の中から映画は始まります。 ...  続きを読む

  • ブルースノーさんのレビュー   2009-04-12 15:09

    脱農薬、脱脳味噌映画の最高峰

    『ジャーマン+雨』の横浜聡子監督がメジャー映画を撮った、しかもキャストは松山ケンイチと麻生久美子、と聞いて、凄え大抜擢、でもそれはちょっと無理じゃないか?!と思うのは、ごく自然な反応だろう。だが、心配は無用だった。子供のような、ケモノのような生命力を...  続きを読む

  • まつばらあつしさんのレビュー   2009-04-13 08:24

    脳ミソも心臓も捧げるイノチガケの恋(笑)

     何とも不思議な映画である。  カタカナだけの長いタイトルからして、早口ことばみたいで可笑しいが、松山ケンイチ演じる主人公の「水木陽人(みずきようじん)」という名前が暗示するがごとく、彼は「水」と「木」と「太陽」の恵みを受けて農業に従事する青年、な...  続きを読む

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