骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2009-04-05 15:00


「これはチベットの真実だと信じることができた」―『風の馬』クロスレビュー

「世界に伝えたいという意図や、撮影の苦労を感じる画角、“(公開)保留”の文字を見ると、そうしてまで作ろうとした気力が画面の中に充満しているのを感じる」
「これはチベットの真実だと信じることができた」―『風の馬』クロスレビュー

世界中から注視されているチベットには、報道規制により、現在外国からのカメラが入ることは許されない。『風の馬』は1998年に、チベットのラサやネパールで監視の目をかいくぐり撮影された劇映画である。本作は、実話をもとにチベット問題を真正面から捉えた衝撃作として、世界各地で上映され芸術的な賞賛と政治的な論争を呼んだ。ここに描かれていることは、今も変わらないチベットの現実である。

風の馬場面01

【ストーリー】
チベットの首都ラサ、通りには監視カメラが設置され、この地に「自由」はない。歌手のドルカは、中国人の恋人の助けで中国の国営テレビへの出演が決まる。ある日、ダライ・ラマの肖像の掲示を中国政府が禁止し、これに抗議した勇気ある尼僧が投獄された。残忍な拷問の末、別人のように変わり果てた尼僧は、幼い頃共に遊んだ従妹のペマだった。ドルカに言いようのない怒りが込み上げる。

「尼僧のペマが中国の宗教弾圧に抗議して「フリー・チベット!」と叫ぶシーンが最も危険な撮影でした。百人以上のチベット人エキストラを使った撮影では、すぐにこの映画が知れ渡ってしまうのは明白です。撮影が終わった晩、すべてのテープはアソシエイト・プロデューサーの手に渡り、彼はそれを持ってアメリカ行きの飛行機に飛び乗りました。翌朝、警察がホテルにやってきて、検閲のためにテープを引き渡せと命じましたが、我々に言えたことは「もうそれはネパールにはない」ということだけでした」(ポール・ワーグナー監督)



『風の馬』
2009年4月11日(土)より渋谷アップリンク他、全国順次ロードショー

監督・脚本・編集:ポール・ワーグナー
出演:ダドゥン、ジャンパ・ケルサン、他
1998年/アメリカ/97分
配給・宣伝:アップリンク
公式サイト

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キーワード:

風の馬 / チベット / 北京五輪


レビュー(3)


  • みかん星人さんのレビュー   2009-03-09 12:39

    『風の馬』を観た、、、

    「Free Tibet」という言葉が世界を席捲していたのは去年の今頃で、 日本でも、長野での聖火リレーが全国の注目を浴びたのは08年4月26日だった。 けれどその後、多くの人々にとって「チベット問題」は忘れられてしまった。 だか、去年の日本の騒...  続きを読む

  • kai369さんのレビュー   2009-03-10 06:43

    風の馬を見てきて

    昨日、風の馬とゆう映画の試写会に行ってきました。 お天気は雨がかなり降っていたけれども、 どうしても見たかったので ズボンがびしゃびしゃになりながら足を運びました。 中国が国内で自治区を設けてチベットを支配下においていることは、 知っている...  続きを読む

  • くろうさぎさんのレビュー   2009-03-16 14:32

    チベットで何が起こっているか

    鳥葬には、チベット人の思想が最もよく表れている。 チベットでは人が死んだとき、その肉体を大地に還し、鳥や虫たちに食べつくしてもらう。 人間は生き物の命を殺め、それを食べて生きていくしかないのだが、われわれの最期はただ灰になるだけ。一方で、彼らは自...  続きを読む

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