骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2009-02-27 17:24


ピンク映画史の全貌が明らかに!かつてない全42作品を一挙公開『日本性愛映画史1965-2008』28日から

アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『おくりびと』の滝田洋二郎監督のピンク作品も上映!
ピンク映画史の全貌が明らかに!かつてない全42作品を一挙公開『日本性愛映画史1965-2008』28日から
滝田洋二郎監督『痴漢電車 下着検札』(1984年/64分)。張作霖爆死の際に失われた黒真珠をめぐって展開するミステリー。竹中直人が全篇松本清張の物まねで怪演

アカデミー賞外国語映画賞に輝いた『おくりびと』の滝田洋二郎をはじめ、周防正行(『それでもボクはやっていない』)、黒沢清(『トウキョウソナタ』)、井筒和幸(『パッチギ!』)、廣木隆一(『ヴァイブレータ』)、瀬々敬久(『感染列島』)など、今の日本映画を支えている映画監督たちにはピンク出身が多い。
そんな現在一線で活躍している監督たちのピンク作品の特集上映『WE ARE THE PINK SCHOOL! 日本性愛映画史1965-2008』が、2月28日(土)より渋谷イメージフォーラムにて開催される。

歓びの喘ぎ
現在大ヒット中の『禅ZEN』を監督した高橋伴明が、公害問題、近親相姦、右翼団体などタブーなテーマを力強く描き出した『歓びの喘ぎ 処女を襲う』(1981年/62分)

1960年代初頭に誕生して以来、脈々と製作が続けられている日本のピンク映画。あくまでもドラマにおける性愛表現を追求したそのスタイルは、世界のポルノ映画史の中でも希有な存在である。条件を満たせば、内容については自由な映画作りができ、野心的な作品が多く生み出された。また、有名映画のパロディや、ニュース性の高い事件をすぐに映画化するなど、気取らずに面白さを追求するスタンスが映画ファンの心を掴んできた。

アナーキー・イン・じゃぱんすけ
カンヌ映画祭で大きな反響があった『感染列島』の瀬々敬久監督のピンク作品『アナーキー・イン・じゃぱんすけ』(1999年/68分)。90年代にサトウトシキらと共に“ピンク四天王”と呼ばれ、海外映画祭やミニシアターの上映で絶大な支持を得た

近年では日本映画における未発見のジャンルとして海外でも注目されており、ニッポン・コネクション(ドイツ)、ロッテルダム国際映画祭(オランダ)、ウディネ映画祭(イタリア)、ピンク・フィルム・フェスティバル(韓国)などで特集上映が行なわれている。

低予算で量産されるピンク映画の現場は映画の学校でもあった。小規模な現場ゆえに、監督にはプロデューサー的な資質も求められ、演出以外にも映画製作の全てを学ぶことができた。

濃厚不倫 とられた女
ピンク四天王の監督たちの助監督を務め、90年代半ばにデビューを果たした若手監督たちを“ピンク七福神”と呼んだ。いまおかしんじらと共に活躍している女池充監督『濃厚不倫 とられた女』(2004年/58分)

ベルリン国際映画祭で上映され、「国辱映画」と物議を醸した若松孝二監督『壁の中の秘事』(1965)など初期の代表作、山本晋也や高橋伴明、滝田洋二郎らが活躍した70~80年代、新たなファン層を開拓した“ピンク四天王”、“ピンク七福神”、そして、竹洞哲也や城定秀夫ら、将来を嘱望される新進監督たち、各時代を代表する全42作品を一挙公開。かつてない規模でピンク映画史の全貌が明らかになる!

わいせつステージ2
ロマンポルノが生んだ最後の新人監督としてデビューした後藤大輔監督『わいせつステージ 何度もつっこんで』(2005年/63分)

【『WE ARE THE PINK SCHOOL!』開催に寄せられたコメント】

「ピンク映画は先生であり、学校。社会の縮図でもある。そこから人生を学んだ」

―滝田洋二郎(『痴漢電車 下着検札』監督)

「“一般映画”という言葉は嫌いだ。自分にとっては全て同じ映画。話があれば明日からでもピンク映画を撮る!」

―高橋伴明(『歓びの喘ぎ 処女を襲う』監督)

「ピンク映画は最後のプログラム・ピクチャー。ひとりで何でもやってたからプロデューサー的発想もみんな持っている。しぶといよね、みんな。だから大きな映画も小さな映画もできるんだ」

―廣木隆一(『ぼくらの季節』監督)

「ピンク映画の助監督を始めたのは26歳の頃、向井寛監督率いる獅子プロダクションに入り、滝田洋二郎監督の『痴漢宅配便』が一番最初についた作品でした。助監督を3年間やれば監督になれると言われ、何とか3年後に29歳で監督になりました。ピンク映画の世界は貧しくても何でもありの世界だと思います。作り手が自分の思いをダイレクトに、より実験的に先鋭したかたちで、それも商業映画の枠の中で伝えられる世界だと思います。そして何より若い作り手たちの表現手段だと思います。僕は学生の頃、若松プロの映画や高橋伴明監督のピンク映画を見て、そう思い、ピンク映画に入りました。そして、その表現への思いは今もピンク映画の若い監督たちの中に残っていると思います。今回のイメージフォーラムでの公開は、現在へ至るピンク映画に関わる人々のそんな思いの歴史を辿ることも出来る画期的な上映だと思います」

―瀬々敬久(『アナーキー・イン・じゃぱんすけ』監督)


『WE ARE THE PINK SCHOOL 日本性愛映画史1965-2008』
2009年2月28日(土)~3月20日(金)

日本性愛映画史

会場:シアター・イメージフォーラム
(東京都渋谷区渋谷2-10-2)[地図を表示]
上映作品:全42作品
料金:一般1,400円/学生・シニア・会員1,000円/前売券1,200円(劇場窓口、チケットぴあ)
※リピーター割引あり(半券提示で一般料金より200円引き)
【お問合せ】イメージフォーラム TEL:03-5766-0116

公式サイト


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