フランス映画祭2014で上映された『素顔のルル』と『間奏曲はパリで』は、中年女性の物語。どちらもストーリーは違えど、同じテーマだ。
いってみれば、夫婦生活に疲れた女性の「幸せ探し」。
最近の日本では、「アラフォー」や「アラフィフ」などと呼ばれ、長い結婚生活を経て子育ても終盤にさしかかるというのに、20代に劣らず美しくアクティブな世代として取り上げられることが多いけれど・・・。
実のところは、この2作品の主人公のように夫婦生活にマンネリを感じているし、少しばかり(いや、かなり)疲れているのではないだろうか?
『素顔のルル』の主人公は、外の世界が見たいと就職面接を受けるも落ちてしまい、ひょんなことから冒険をすることに。数日間のアバンチュールあり、老婦人との友情あり、でシリアスになりがちなテーマでもコメディタッチで描かれている。
最終的には、やはりそうか、というところに落ち着くのだが・・・。
一方、『間奏曲はパリで』の主人公ブリジッドは、畜産家の夫と二人暮らし。息子は夢を追ってパリへ、娘はマルティニーク島へ行ってしまい、夫との生活に疲れている。ある日、近所で開かれたパーティーにやってきていたイケメン男子と出会い、彼を追うようにしてパリへ乗り込む。夫には、「発疹の診察に行く」と告げて。もちろん、ここでもアバンチュールが待ち受けている・・・しかも、相手はイケメン男子だけではなかった。
特筆すべきは、挿入曲で、フランスのロックバンドの楽曲とフランク・シナトラの深みのある歌声との対比が素晴らしい。これは、そのまま、「若さゆえに軽いイケメン男子」と、「やさしいけれど物足りない。だけど自分に対する理解度は深い夫」との違いを表わしている。
(それにしても、ブリジッドを演じたイザベル・ユペールはシリアスもの出演が定着していたけれど、実はコメディエンヌとしての才能も抜群だということがわかった。60歳とは思えない彼女の美しさに感動。すっかり好きになってしまった)
日本には、こうした世代のこのような心情に触れる作品がなくて、残念。
20代にありがちな「好きよ嫌いよ」、熟年の「ドロドロ不倫」、あるいは生死を分ける悲恋・・・だけが愛のテーマじゃないのに、ね。などと思う。
『素顔のルル』
http://unifrance.jp/festival/2014/films/05.html
『間奏曲はパリで』
http://unifrance.jp/festival/2014/films/08.html
フランス映画祭2014
http://unifrance.jp/festival/2014/